中古楽器が店頭に並ぶまで

〜エレキギター編〜

1. 「全て中古品ですよ」お客様が驚くTC楽器のこだわり

私たちTC楽器もここ新大久保の地に店舗を構えて30年以上。おかげさまで今では年間16,000点以上の楽器を扱うまでとなりました。そんな我々スタッフがお客様から頂く質問で意外と多いのが「中古品はどこにあるの?」です。そんなご質問に我々は胸を張ってお答えします。「全て中古品ですよ」これは私達にとって最高に嬉しいお言葉です。普段新品の楽器屋さんに行き慣れている方が当店にご来店頂いても違和感なくご覧頂ける。新品の輝きはないかも知れません。

傷やどうしても取れないサビ、くすみははあるもののそれでも新品に負けない清潔感を意識して我々は日々楽器を磨き、修理、調整しております。時には「埋まってたんかいっ!」と突っ込みたくなる様な汚れたギターもあり、そんなギターが再び次のオーナー様の元へ嫁ぐ日を思いつつ我々はギターを磨きまくっております。リサイクルショップに並んだ楽器をご覧になった事はございますか?ネックの曲がったまま、弦が錆びて埃もかぶったままのギター。「リサイクルショップで買ったら修理代の方が高くついた」なんて笑えない笑い話も良く聞きますが、専門店ならきちんと調整してきれいに磨くのは当たり前。我々は専門店として単に商品だけでなく”清潔感”と"調整された安心感"というポリシーを付加価値としてお客様にご満足頂けるよう日々心がけています。

TTC楽器のスタッフは中古楽器の豊富な知識があるだけでなく、メンテナンスのプロでありみんな楽器が大好きなんです。そのギターが一番良い状態で購入してもらえるよう、一本一本に高い技術と暖かい心を込めて調整してます。

2. 中古エレキギターが入荷してから店頭に並ぶまで

それでは当店でギターが入荷してから店頭に並ぶまでをご紹介致します。

今回取り上げますのがFender '74 Stratocasterおよそ35年前の楽器だけあってかなり年期が入っています。

特にブリッジ周りや指板表面の汚れがすごいですね。

先ずは音を出します。
クリーニング、調整の前にネックの状態や電気系統の確認をしておけば、分解時に適切な処置ができます。

まずこちらで大まかな埃などを拭き取ります。
家庭用のお掃除グッズ"クイックルワイパー"。これがサッと拭くだけで着いた埃が戻らなくて大変便利!

第一の磨き。ざっと全体の大まかな汚れを落とします。

次に弦を外していきます。

ペグも取り外します。

全部ばらすなんて!・・・一見して手間に見えますが、ペグの隙間を縫って磨くよりは効率も仕上がりも良いです。

第二の磨き。ヘッド、ボディーから細かい部品まで磨いていきます。

TC楽器には2種類のクロスを取り揃えております。

左側が一般的な"シリコンクロス"。右側が"ハイパー ミクロクロス" です。

クロスはこちら

目の細かさの違いが判りますでしょうか?

ミクロクロスは高度なファイバーテクノロジーを駆使して加工された超極細繊維で、繊維そのものが汚れを拭き取り易く出来ています。

ご家庭でもミクロクロスは一枚もっておいた方が良いと思います。

ペグも一つ一つ丁寧に磨いていきます。

細かいところは綿棒で。

ここまでピカピカになります。磨く前と比べると一目瞭然ですね。

次にフレットを磨いていきます。業務用のコンパウンド"ソーラー・ラビングコンパウンド極細"かなり目の細かい物を使っております。

よくかき混ぜて磨きます。

フレットの隙間に入り込まぬ様に少量をクロスに取り、フレットを一本一本磨いていきます。

 

ローズ指板等の場合は木部の導管に入り込まぬ様マスキングテープを使います。

 

見よ!この高速スクラッチ!どんな錆びもピカピカに!

 

フレットの隙間のゴミも掻き出します。

磨き前と比較してピカピカというのが見て取れます。

ピックガードも外し磨きます。一切の手抜きは致しません。

ピックガードとボディーの間にも汚れは入り込んで行くのです。

塗装を痛めないように磨き上げます。

 

ハイ。綺麗になりました。

 

スタンプ入りのグレイボビン・ピックアップ、CTS製ポットのデイトも確認。セラミック・コンデンサーにCRL製スイッチ・・・オリジナルパーツもしっかりチェックします。

 

ピックアップの側面に汚れがたまります。

 

ワイヤーを切らないように慎重に埃を落としていきます。

電気系のチェックも行います。

次にブリッジ。

やはりこちらもばらします。細かいオリジナルパーツも無くさないように要注意!

ネジの頭を磨きます。

 

スプリング内のホコリやくすみを取ります。

 

ネジ、コマ、スプリングなど6弦分全て磨いていきます。

 

ブリッジプレートもこの輝き!

ここまでの所要時間約40分。

 

ここで大まかな磨き作業は完了です。指板の黒ずみもほとんど無くなりました。

第三の磨き。最後の仕上げにワックスで磨きます。

塗装を痛めないようにこすり過ぎは厳禁!これで艶が甦ります。

 

あとは弦を張っておしまい・・・ではありません。

ネック、弦高、オクターブなど各所を調整していきます。

次にお使いになる方の事を考えて可能な限り弾き易いように、その楽器のポテンシャルを最大限に引き出すように・・・。

こうして磨かれ調整されたギターは我がTHE中古楽器屋の鬼軍曹・・・ではなくギター担当責任者の厳しいチェックをパスしないと店頭に並ぶ事を許されません。

 

今回1回目のチェックはあえなくNG・・・。ギターの調整は良いが磨きがもう一つとのことで。

厳しい~!

 

炎の再磨き!

今度はどうだ!

ここまでやってようやくOKが!これで晴れて店頭に並ぶ事が出来たのでした。

最後に

さて私たちの扱う楽器はもちろんここまで手の掛からない物もありますし、どこから手をつけて良いか分からない楽器もあります。しかしどんなコンディションでも私達は一生懸命に楽器と向かい合っています。修理費などの限界と戦いながら、決してあきらめたりはしません。どんな楽器も最善の方を探し、可能な限り良い状態に調整してお客様の元にお届けしています。
なぜなら我々にとっては数百本の商品の一本であっても、次に所有して弾いて頂くお客様にとっては大切な一本のギターだからです。ここまでやって初めて我々はプロフェッショナルと自覚しています。

この記事を書いた人:松井(TC楽器 店長)

協立楽器新宿店店長を経てTC楽器に入社。店長としてビンテージギターフロアやエレキベース、アンプ、パーツ等ジャンルレスに担当を歴任。著名ミュージシャンからの信頼も厚い、業界屈指のエレキギター販売の第一人者。好きなミュージシャンはB’z。趣味は競馬やゴルフ。

保有資格・実績: 楽器鑑定士歴20年、ギターマガジン等への執筆・監修協力

▶︎執筆記事はこち
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