Gibson Bassの歴史~EBシリーズ編~

1-1.導入 Gibsonベースの誕生

ギター界では絶対王者的な存在であるGibson。
19世紀末にマンドリンやアーチトップ・ギターの工房として始まったGibsonは、洗練された木工技術と美しいアーチを誇る高級弦楽器メーカーでした。

1952年、ギタリストのレス・ポール氏との共同開発により生まれた「Les Paul」は、美しいメイプルトップとゴールド仕上げ、甘く太く伸びやかなサステインを備え、エレキギターの至高の完成形として君臨することとなります。

しかし当時ソリッドエレキギターとして先駆けていたのは他ならぬFenderでした。
1950年代、テレキャスターのヒットを皮切りに、数々のモデルを発売。ボルトオンネック、フラットなボディ、シンプルなアッセンブリーといった大量生産に適した工業的な設計で、世界に「エレキギター」というものを広めた立役者となりました。

そんなFenderが1951年に世界初のソリッドエレキベース「Precision Bass」を発表したことで、エレキベースの歴史はスタートしました。
コントラバス(ウッドベース)とは大きく異なり、ソリッドボディにボルトオンネック、フレットが打たれることによって正確な音程を容易に弾くことができるプレシジョンベース。1957年に現在の形となり、今なおエレキベースのスタンダードとして君臨しています。

一方GibsonはFenderに遅れをとること約2年後、1953年に同社初のエレキベース「EB-1」を発表します。
Fenderのアプローチは、伝統的な弦楽器作りとは正反対の「工業製品としての革新」ともいえるものでしたが、Gibsonが選んだのはFenderを模倣することではなく、自らのプライドでもある伝統的な技術をベースへと持ち込むアプローチでした。

1-2.Gibsonベースのアイデンティティ

Gibsonは、自社のアーチトップギターやレスポールで培った製造技術をそのままベースへと織り込みました。

マホガニー材の重厚なボディ、セットネック構造、そしてギタースタイルから継承されたハムバッカー・ピックアップ。
バイオリン型のボディシェイプで、「コントラバスからの進化」という印象が非常に強いです。
そのアプローチは理にかなっており、当時のベース奏者(=コントラバス奏者)にとってPrecision Bassはギターのように構えねばならないことから、新しい演奏方法に踏み切ることを躊躇し、すぐには受け入れられなかったという背景があります。
それを逆手にとったGibson。EB-1には立奏用としてボディエンドにスタンドポールを取り付けられるようになっており、コントラバスのように立てて弾くことも想定されていました。
(Gibsonのエレキベースの構想自体は1930年代からあったと言われています)

フレットが打たれたギター的構造でありつつも、コントラバス奏者にとっての心理的ハードルを下げる為、形状はコントラバスに可能な限り近づけるようにしたというのがEB-1です。

ちなみにバイオリンベースというとHofnerの500/1が有名ですが、このモデルはクラシック楽器メーカーとしてのノウハウを生かし、バイオリンのデザインをそのままエレキベースへと転用して1956年に発表されたものです。
「バイオリンベース」という呼称がいつ定着したのかは定かではありませんが、バイオリンシェイプの構造で言えば、1953年に登場したGibsonのEB-1のほうが先行していました。もっとも、EB-1はバイオリンの再現というよりも「アップライトベースの小型化」をコンセプトに設計されており、両者にはデザインのアプローチに大きな違いが存在します。

このようにGibsonのベースは「コントラバスからの進化」という系譜を辿り、Fenderのベースとは違ったコンセプトで作られたことが分かります。
EB-1の登場以降、GibsonはEB-0、EB-2をはじめ、独自の発展を遂げたモデルを次々と製作します。

2-0.時代の音に喰らいつき続けたGibson

 コフマンとの共同経営を解消したレオ・フェンダーは、1947年に社名を「Fender electric instrument  company」に改名。1948年には世界初の量産型ソリッドボディのエレキギターを開発。1949年にそれをEsquire(エスクワイヤー)として発表します。

 その後はみなさん知る通り、テレキャスター、プレシジョンベース、ストラトキャスター、ジャズマスター、ジャズベース、ジャガーなど、今も受け継がれる楽器たちが生み出されます。

2-1.EB-1 (1953〜1958年 / 復刻1970〜1972年)

当時のポピュラーミュージック(ジャズやカントリー)では、コントラバスが絶対的な主役。ギターのように横に構えるFenderのプレベに対して心理的抵抗を感じていたベーシストたちに向け、Gibsonは「慣れ親しんだバイオリン型ボディ」と「縦持ち(アップライト)を可能にする伸縮式エンドピン」というアプローチで挑みました。
しかし、当時はまだエレキベースという存在自体が市場に浸透しきっておらず、オリジナル(1953〜1958年)の総出荷本数はわずか546本という結果に終わります。
1970~1972年の間に復刻されますが、そちらも総出荷本数は473本と、セールスは芳しくなかったことが伺えます。

30.5インチのショートスケール、セットネック構造。ボディ底部に収納・装着可能なメタル製の「伸縮式エンドピン」が標準付属していました。

・1953年〜1958年(オリジナル)
ボディ&ネック:マホガニーのソリッドボディ。バイオリンを模したシェイプで、ボディトップ&バックにはバインディングが施され、トップには黒いFホールのペイントがデザインされています。

ピックアップ:ネック最寄りに配置された初期型の大型シングルコイル・ピックアップ。ブラウンのプラスチックカバーで覆われていました。

ペグ:バンジョーペグが採用されている点も、コントラバスに近づけた構造です。

ブリッジ:ブリッジ/テールピースが一体成形されたバーブリッジ。スタッドに載せるだけのシンプルな構造です。

・1969年(復刻)
出荷記録は1970年からとなっていますが、製造年としては1969年となっています。

ボディ&ネック:マホガニーのソリッドボディは変わらず、Fホールのペイントが廃止。シンプルなルックスになりました。

ピックアップ:70年代のEB-0やEB-3と同型の、大型クロームメッキ金属カバーで覆われたハムバッキングPU「サイドワインダー(マッドバッカー)」を搭載。

ペグ:通常のサイドノブ型に変更。

ブリッジ:各弦のサドル位置調整が可能なチューン・オー・マチック型ブリッジを採用。オクターブピッチの精度と弦高調整の容易さが劇的に改善されました。

使用アーティスト

Felix Pappalardi(フェリックス・パパラルディ)

Felix Pappalardi(フェリックス・パパラルディ)
1960年代にCreamを初め様々なバンドやミュージシャンのアルバム制作に参加してアレンジャーや音楽プロデューサーを務めた。1960年代末から70年代半ばにかけて、創生期のアメリカン・ハードロックの代表格の一つであるMountainのベーシスト兼ヴォ―カリストとして活動した。
EB-1を強烈に歪ませた重低音サウンドは後世のベーシストに大きな影響を与えた。

Musician singing into a microphone while playing an electric bass guitar.

2-2.EB-2(1958~1961,1964~1972)

1958年、Gibsonはギター史に輝く金字塔「ES-335」を発表します。アコースティックの空洞感と、ソリッドギターの耐フィードバック性能を両立した画期的なセミアコースティック構造でした。
この革命的デザインをすぐさまベースへと転用し、同年1958年に発売されたのがEB-2です。
EB-1が生産終了に向かう中、Gibsonは「高級感あふれるセミアコボディ」という新たな回答を提示します。
ギターのデザインを転用しながらも、サウンドはやはりコントラバスを意識したものとなっており、音楽シーンへのアプローチはEB-1から継続したものと考えられます。

・1958年
30.5インチ・ショートスケールのセミアコースティック構造
ボディ&ネック:メイプル・レイヤードボディ、マホガニー・セットネック。
ピックアップ:ネック最寄りにブラックのプラスチックカバー(最初期のわずかな期間はブラウン)で覆われたシングルコイルPUを1基搭載。
コントロール:1ボリューム/1トーン
パーツ:バンジョーペグ、バーブリッジ

・1959年
コントロール:プッシュ式のVari-toneスイッチが追加。内蔵のコンデンサーとコイルの組み合わせにより、特定の周波数(EB-2では低音域)をパッシブでカットするスイッチで、ES-335などにも搭載されていました。

・1960年
パーツ:バンジョーペグを廃止し、クルーソンペグが採用。ブリッジに後付けできるミュート機構が開発されました。

・1961年
一度生産終了となり、同年のプライスリストではEB-3に置き換えられました。

・1964年
再販となったEB-2。仕様はこれまでと大きく変わらず。

・1966年
ピックアップを2基搭載した、EB-2Dが発売。リアピックアップにミニハムバッカーを搭載し、より輪郭のあるサウンドを実現。

・1972年
EB-2、EB-2D共に生産終了。

使用アーティスト

Steve Swallow(スティーヴ・スワロウ)

ジャズ界においてウッドベースからエレキベースへと完全転向した先駆者。
元々ジャズのウッドベース奏者としてゲイリー・バートンやジミー・ジュフリーのグループで活躍していたスワロウは、1960年代末に楽器の展示会でたまたま試奏したチェリーレッドのGibson EB-2に一目惚れし、そのままエレキベースへと完全に転向したと言われています。

Musician playing an electric bass guitar on stage.

2-3.EB-0(1959年〜1979年)

1958年にEB-1の生産が終了した後、Gibsonは当時ギターで大ヒットしていた「Les Paul Junior」のダブルカッタウェイ・シェイプをベースに転用し、1959年に「EB-0」を発表します。
EB-1のコントラバス奏者をターゲットにしたコンセプトとは大きく異なり、「よりギタリストが持ち替えやすいエレキベース」として標準化を目指したモデルでした。
1961年にSGシェイプとなり、その後ロングスケールのバリエーションが発売される息の長いモデルとなりました。
SGシェイプといえばEB-3を思い浮かべる方も多いと思いますが、EB-0も実は約20年間のロングセラーを誇るモデルです。
生産終了の20年間でGibsonのソリッドボディベースの全販売台数のほぼ3分の1を占めていたベストセラーでもあります。

1960年代後半のロックムーブメントで人気を博したのはもちろん、その重厚な低音はジャズやR&B、レゲエなどでも好まれました。

・1959年〜1961年(Les Paul Jr.シェイプ期)
30.5インチ・ショートスケールのソリッドボディ
総生産本数は約500本程度で、市場に多くは出回りませんでした。

ボディ&ネック:マホガニーボディ、Les Paul Jr. DCと同じボディシェイプ。カラーはチェリーレッド。
ピックアップ:ハムバッキングPU「サイドワインダー」をネック寄りに1基搭載。
パーツ:バンジョーペグ、バーブリッジ

・1961年
馴染み深いSGシェイプが導入。同時期にモデルチェンジしたLes Paulと歩みを合わせた移行でした。1961年の出荷本数は500本を超え、その人気が伺えます。

ボディ&ネック:マホガニーボディにワンピースマホガニーネックのセットネック構造。SGスタイルのボディシェイプでチェリーレッドの他、ペルハムブルーなどのカスタムカラーもありました。
ピックアップ:ブラックのプラスチックカバー
パーツ:クルーソンペグに変更。ブリッジは引き続き一体型のバータイプ。ボディ中央部にピックアップカバーが追加。実質的にはカバーというよりフィンガーレストとして機能しています。

・1962年
EB-0F発売。SGスタイルになったEB-0にファズトーンを搭載したモデルになります。
1962年、Gibson傘下であるMaestroから発売された世界初のファズペダルFZ-1 Fuzz Tone。GibsonはこのFZ-1回路をEB-0に組み込むという革新的なアイディアを実現しました。
元来アップライトベースの音域を意識したブーミーなサウンドであるEB-0に、ファズトーンを組み合わせることによってオルガンベースのような唸るトーンとなりました。
アップライトベースからオルガンベースへ。当時の音楽シーンで需要のあったベースサウンドへ迎合する形でEB-0も進化したと言えるでしょう。
しかしセールスは好調とはいかず。1962年から1965年の間に出荷されたのはわずか265本でした。

・1964年
ピックアップ:クローム製のカバーに変更

・1968年
パーツ:2点支持のチューン・オー・マチック型ブリッジへと移行

・1970年
スロテッドヘッド仕様へと移行。
クラシックギターのようにヘッドストックに縦長の穴がくり抜かれ、ペグの軸がその穴を横切るように取り付けられている構造となり、ペグは後ろ向きに取り付けられます。
この仕様は1969年後半から1971年後半までの短い製造期間ですが、当時EB-0の人気がピークにあり、1970年の出荷本数は2896本。比較的現在の市場でも見られる仕様です。

ピックアップ:エスカッションマウントになり、高さ調節が可能に。
パーツ:フィンガーレストのないピックガード。トップジャックからサイドジャックに変更となりました。

・1970年
EB-0L発売。
1969年に出荷本数のピークを迎えていたEB-0ですが、徐々にセールスは落ち込み始めていました。当時はロックがメインストリームに乗り始めた時代。ギターの音色がより歪むにつれて今までのブーミーなベースサウンドは居場所を失い始めていました。
そこで誕生したのがEB-0のロングスケールバージョンであるEB-0Lです。
ショートスケールからロングスケールになることにより、弦のテンションは強く、よりハリのあるサウンドへと変化しました。

EB-0Lは1970年代半ばから生産本数を大幅に減らしますが、1979年の生産終了までEB-0と並行してラインナップし続けました。

・1972年
常に変化し続けたEB-0ですが、この年には大きな転換期を迎えます。
スロテッドヘッドは廃止されソリッドヘッドストックへ戻されました。新たにメイプルネックが採用。またピックアップの位置が変わるなど、サウンドにも大きく影響の出る仕様変更が行われました。
ブリッジのミュートが廃止されたことからも、アップライトベースのようなサウンドの需要が減り、より複雑化したアンサンブル内で存在感を出すための仕様変更であったことが伺えます。

ボディ&ネック:マホガニーボディ、3Pメイプルネックを採用。

ピックアップ:これまでネックエンドにぴったりとくっつく距離でしたが、後方(ボディセンター付近)に配置され、中高音域がより強調されるデザインとなりました。

パーツ:ブリッジ下のミュートが廃止。出力ジャックは1970年以前の位置であるトップ面に戻されました。ピックガードの形状が変更。シャーラー製のペグはペグボタンが大きく、英語圏では「Elephant ear buttons(象の耳)」と呼ばれているようです。

Brown electric bass guitar on a white background.

・1979年
最終的な出荷は1979年まで続きましたが、1975年以降の生産本数は二桁にとどまり、生産終了を迎えました。

使用アーティスト

Mike Watt(マイク・ワット)

Minutemen、Firehose、The Stoogesのベーシストとして知られる。
元々はEB-3を愛用していましたが、ツアー中の盗難で失い、その後継としてEB-0を入手。ショートスケールの操作性を愛し、自ら現代的なピックアップへとカスタマイズして使用しました。アタック感あふれるピック弾きと縱横無尽なベースラインで、「ブーミーな低音」というEB-0のイメージを覆し、パンクにおける新たな可能性を打ち立てました。

Dennis Dunaway(デニス・ダナウェイ)

Alice Cooperのベーシスト。
メタリックグリーンにペイントした彼のEB-0は通称“Frog”と呼ばれド派手なカスタムが施されています。リアにFender Precision BassのスプリットPUをマウントしているのも大きな特徴。
Frogは現在ロックンロールの殿堂博物館(Rock and Roll Hall of Fame)に収蔵されています。

Musician playing bass guitar, wearing shiny pants, with long hair.

2-4.EB-3(1961~1979年)

EB-0とよく似たモデルであるEB-3。EB-0がSGシェイプとなった1961年に同じくSGシェイプを持ったEB-3が発売となりました。
端的に言えばEB-0にリアピックアップを追加した仕様で、現行で発売されている「SG Standard Bass」の原型とも言えるでしょう。
時代的には1960年にFenderが2ピックアップのJazz Bassを発売した直後になります。EB-3がJazz Bassの発売を受けて開発されたものかは明らかではありませんが、サウンドのアプローチでいえば類似していると考えられますね。

EBシリーズの総出荷本数でいうと実はEB-0の方が多いのですが、EB-3はシリーズの中で一番知名度が高く、代表モデルと言われています。
その理由としては1960年代後半から数多くの著名アーティストが使用してきたことに由来します。
Creamのジャック・ブルース、Rolling Stonesのビル・ワイマン、David Bowieのバックを務めたトレヴァー・ボルダーなど、1960〜70年代のロックやブルースの名手たちに愛用されました。

・1961年
EB-0と同じく、SGシェイプのマホガニーボディ、マホガニーネックのセットネック構造。
30.5インチ・ショートスケールのソリッドボディです。
大きな違いはピックアップとコントロールにあります。

ピックアップ:フロントPUはEB-0と同じく、ネックエンド付近にレイアウトされたハムバッカーでブラックのプラスチックカバー。リアPUには後にEB-2Dでも採用されるミニハムバッカーを搭載。リアPUは初めからエスカッションマウントとなっており、高さ調節が可能でした。

コントロール:4ポジション・ロータリー・スイッチ。単なるピックアップセレクターではなく、内部回路を通すことによって、①フロント(ローカット)②リア③ミックス④フロントという多角的なトーンを選択できるように。

パーツ:ニッケルのバーブリッジ、トップジャック

・1963年
ピックアップ:フロントPUもメタルのカバーに変更

・1965年
コントロール:ノブの間隔が狭くなりコンパクトに。ギターのSGと同じキャビティサイズ/同じ形状になりました。

・1967年
パーツ:2点支持のチューン・オー・マチックブリッジに変更。ブリッジ下に取り付けるミュートは以前までと同じでした。
(写真は1967製ですが、バーブリッジ搭載の過渡期のもの。ミュートパーツは以前と変わらず)

・1968年
ウォルナットカラーが登場

・1969年
ボディ&ネック:3ピースマホガニーネックに変更

・1970年
EB-0と時を同じくして、スロテッドヘッド仕様となりました。
EB-3も1969~1970年が生産本数のピークを迎えており、年間約2000本のEB-3が出荷されました。

更に、EB-0Lと同じタイミングでロングスケールバージョンのEB-3Lが発売。
リアピックアップ搭載でロングスケールになることにより、ブーミーなサウンドから、より輪郭のあるサウンドへと変化。
EB-3Lはショートスケールと同じボディで、ブリッジが後方に配置されています。

ボディ&ネック:3ピースマホガニーネック、19フレット
(写真2枚目はロングスケールのEB-3L)

・1972年
またEB-0と同じく、ソリッドヘッドストックへと戻り、3ピースのメイプルネックへと仕様変更されます。
ボディもマホガニー製のままながら、厚みが増し、ネックボリュートも設けられ、耐久性が大幅に上昇。その耐久性の高さからか、生産本数は減少していながらも現存する個体は比較的多いと言われています。

フロントピックアップの位置変更も同じタイミングでした。
ピックアップ自体は変わらないものの、低音の抑えられた設計となり、より多くのバンドサウンドで使いやすくなったと言えます。

ボディ&ネック:3Pメイプルネック

ピックアップ:フロントPUが後方へと移動。ピックアップ自体は同じですが、この仕様変更によりサウンドに大きな変化がありました。

パーツ:ブリッジ下のミュートは1971年から段階的に廃止され、トップジャックに戻るのもEB-0と同じ変遷をたどります。

(写真はブリッジ交換個体)

・1976年
EB-0とほぼ同じ仕様変遷を辿るEB-3ですが、1970年代に入り少数生産ながらいくつかのカラーバリエーションを増やしました。
これまでチェリー/ウォルナット/ナチュラル/エボニーとEB-0と同じバリエーションでしたが、1976年にはEB-3だけホワイトが登場します。
終売までの4年間でたったの69本の生産で、ナチュラルとエボニーよりは多いものの、非常に希少性の高いカラーとなっています。


・1979年
1973年にはEB-0の出荷数を抜き、約2,500本(EB-3L含む)が生産されましたが、翌1974年からは大きく生産数を減らし、1979年には生産終了となります。

 

MUSIC MAN/StingRay 1979

 プレシジョンベースに近いボディシェイプですが、ギター同様コンターはなし。
 何よりも最大の特徴であるハムバッカータイプのピックアップを1基搭載したこのスタイルは、今では「ミュージックマンタイプ/スティングレイタイプ」と呼ばれるように、プレシジョンベース、ジャズベースに並ぶエレキベースの大定番のひとつとなりました。

 MUSIC MANの一番のヒット作となったStingRayベースはFenderベースとは全く違ったサウンドキャラクターながらも、スラップ奏法の流行やシンセサイザーの台頭によりベースサウンドが大きく変化した時代にマッチし、市場で広く受け入れられました。

 アクティブサーキットを搭載し、指弾き、ピック弾き、スラップなどの奏法に素早く対応できることから曲の中でエレキベースという楽器の演奏の幅を広げ、ひいては音楽の発展の一因となっていることから、Fender時代に続いてレオの功績は計り知れません。

使用アーティスト

Jack Bruce(ジャック・ブルース)

Creamのベーシストで、EB-3の名を世界に知らしめた、ロック史上最大の立役者です。
太くうねるようなディストーション・サウンドや、独自の歌うようなベースソロは、MarshallのアンプとEB-3の組み合わせによって生み出されました。ベースという楽器を「伴奏」から「アンサンブルの主役」へと押し上げた功績があります。

 

Bill Wyman(ビル・ワイマン)

The Rolling Stonesの絶頂期を支えたベーシスト。
ベースを垂直近くに立てて構える独自の「縦持ちスタイル」でチェリーレッドのEB-3を愛用。タメの効いた粘り強いプレイとEB-3特有のアタック感が絶妙に噛み合い、ストーンズの泥臭くグルーヴィーなロックンロールの土台を築き上げました。

 

Andy Fraser(アンディ・フレーザー)

1968年に15才でFreeを結成した伝説的なベーシスト/ソングライター。
アンサンブルの空間を活かした隙間の美しいフレーズと、EB-3のロータリースイッチを駆使したタイトで存在感のあるトーンで、ロック史に誇る唯一無二のグルーヴを築き上げました。

 

3.汎用性の低さこそが美学〜試行錯誤が生んだ唯一無二の存在感〜

Precision Bassというモデルチェンジはあれど単一のモデルしか製造していませんでした(Jazz Bassの登場は1960年)。

Fenderがポピュラーミュージックにおける「ベースサウンドの基準」を早々に完成させていたのに対し、Gibsonは1970年代に入るまでその汎用的なサウンドに迎合することなく、独自の進化と試行錯誤を愚直に続けました。

その始まりは、コントラバスからの移行を躊躇するベーシストや、既存のギター顧客層に向けた保守的なアプローチだったのかもしれません。しかし、時代の音(アンプの大音量化やアンサンブルの複雑化)に合わせて変化を繰り返してきた歴史は、図らずもその時代の音楽シーンの空気感をそのまま楽器の中に閉じ込める結果となりました。

Gibsonのベースは、決してエレキベース界の「絶対的なメインストリーム」にはなれませんでした。歴史的に見れば、Fenderの後波を追う形になっていたのかもしれません。

しかし、だからこそGibsonのサウンドは誰にも真似できない唯一無二の個性を獲得しました。
「万能ではない」という汎用性の低さ。扱いづらさと引き換えに手に入る強烈な存在感。それこそが最大の魅力となり、一癖も二癖もあるミュージシャンたちを惹きつけるアイコンとして、今なお多くのベーシストの心を狂わせる憧れの存在であり続けているのです。

この記事を書いた人:小田(TC楽器 ベース担当)

TC楽器にてエレキベースコーナーを担当。メジャーでのバンド活動を経ており、豊富な経験を活かして、ミュージシャン視点に特化した気付きやプロモーションが魅力。メインベースはFender CS Jazz Bass。

保有資格・実績: 楽器鑑定士歴3年、動画出演多数

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