Ren Ferguson Co. × Advance Guitars シグネイチャーラインナップ
世界最高峰のビルダー "レン・ファーガソン" が辿り着いた境地”
伝説のビルダー、レン・ファーガソンとは
現代アコースティックギターの歴史を語る上で、レン・ファーガソンの名を避けて通ることはできません。
かつてギブソン・モンタナ工場のマスター・ビルダーとして、低迷していたアコースティック部門を劇的に復興させ、その後はフェンダー社アコースティック部門のチーフ・エンジニアとしてその手腕を振るいました。彼が業界にもたらした功績は、現代のアコースティックギター市場における「黄金期」を再来させたと言えます。
■ 科学と効率化が進む時代に、ギターにもう一度「魔法」をかけた存在
彼の本当の凄さをお伝えするためには、当時のアコースティックギター業界の背景を少し振り返る必要があります。
レンがギブソンに加わる前の1970年代から80年代前半、同社のアコースティック部門はたいへん苦しい時期を迎えていました。当時は保証修理などのクレームを防ぐために「とにかく壊れないこと」が最優先されてしまい、木材は分厚く、内部の補強材(ブレイシング)も過剰なまでに強固に設計されていました。その結果、アコースティックギターの命であるトップ板の振動が抑え込まれ、本来の豊かな鳴りが失われてしまうという、楽器として本末転倒な状況に陥っていたのです。
そんな低迷期を打ち破るために現れたのが、レン・ファーガソンでした。彼はそれまでの設計図をすべて見直し、非常に手間のかかる戦前(Pre-War)の「豊かに鳴る構造」へと回帰させます。かつての輝きを失いかけていた名門ブランドを、一人の職人の情熱が再び蘇らせたのです。それはまさに、「世界最高のアコースティックギターを作るんだ」というブランドとしての誇りを取り戻した瞬間でもありました。
また、彼の立ち位置を分かりやすくお伝えするために、あえて「対極の存在」を挙げてみたいと思います。それは、現代アコースティックギターのもう一つのトップブランド、テイラー・ギターズの創業者であるボブ・テイラー氏です。 ボブ・テイラー氏は、コンピューター制御の機械(CNC)やボルトによるネック接合をいち早く導入し、「いつ、誰が作っても、寸分狂わず完璧に同じ品質になる」という素晴らしいエンジニアリングを確立しました。ギター作りを精密な工業製品のレベルへと押し上げた、まさに革命児です。
もし、ボブ・テイラー氏がアコースティックギターを『科学』したのだとすれば、レン・ファーガソンはアコースティックギターにもう一度『魔法(アート)』をかけ直した存在だと言えるのではないでしょうか。
業界全体に効率化の波が押し寄せる中、レンはあえて「ニカワ(ハイドグルー)接着」や「ダブテイル・ジョイント」といった、伝統的でとても手間のかかる製法を守り抜きました。すべてを均一にするのではなく、木材一つひとつの個性や表情を鋭く見極め、手作業で削り出し(ヴォイシング)を行う。そうやって、“そのギターだけが持つ最高の鳴りと魂(ソウル)”を、情熱をもって引き出していったのです。それこそがまさに、当時のギブソンが掲げていたテーマ "Tone, Feel, Appearance(音、弾き心地、そして美しさ)" の体現でした。
通常、こうした芸術品のような「一点物」のギターを作るのは、年間数本しか製作できない個人製作家(ルシアー)の領域とされています。しかしレンの本当にすごいところは、何百人もの職人が働く大きな工場(ファクトリー)の中で、この最高峰のクオリティを実現させてしまったことです。 彼は卓越した技術を持つ一人の芸術家であると同時に、たくさんの職人たちを導く素晴らしいリーダーでもありました。職人たち一人ひとりの意識を変え、自身の技術や哲学をチーム全体に共有することで、量産ラインの中から「奇跡の一本」とも呼べる名器を次々と生み出していったのです。
■ 2大ブランドを救った職人たち:
ボブ・テイラー氏との違いに加えて、アコースティックギターの歴史において、レン・ファーガソンを語る上で欠かせない人物がもう一人います。それは、ギブソンと双璧をなすマーティン(Martin)の歴史に多大な貢献をした職人、マイク・ロングワース氏です。
彼らはともに、アメリカの2大アコースティックブランドを支えた重要な人物ですが、会社に対して果たした「役割」には明確な違いがありました。
マイク・ロングワース氏は、一時生産が途絶えていた戦前の最高級モデル「D-45」を復活させるため、1968年にマーティン社に招聘されました。彼は複雑なパール・インレイ(装飾)の作業を監督し、ブランドの頂点であるD-45を見事に蘇らせました。さらに彼は、マーティンの歴史を自らの足で徹底的に探求し、歴史書『Martin Guitars: A History』を執筆しています。特定の最高級モデルの技術を取り戻し、過去の遺産を正しく保存・継承する「歴史家」としての役割を果たしたと言えます。
一方のレン・ファーガソンは、特定のモデルの復刻にとどまらず、当時品質が低下し低迷していたギブソン・アコースティックの「工場やブランドそのもの」を立て直す総監督としての役割を担いました。設計図の見直しから、内部の構造(ブレイシング)、塗装、品質管理に至るまで、ブランド全体を根底から再建したのです。彼は歴史を尊重しながらも、常に新しい構造やデザインを現場で生み出し続ける「実践的な職人」でした。
■ 今もその手で紡がれる歴史
そして、私たちアドバンスギターズが最も皆様にお伝えしたいのは、彼らの「技術の残し方(継承)」の違いです。
マイク・ロングワース氏がマーティンの歴史を深く研究し、「書籍」という形でその偉大な知識と功績を世の中に残しました。
一方で、レン・ファーガソンは今この瞬間も現役でギターを作り続けています。
ギブソンという巨大な看板を下ろした今、彼は自身の原点である『レン・ファーガソン・カンパニー』に立ち返りました。そして、家族と共に工房に入り、木を削り、インレイを施しています。技術や知識を本やデータとして残すだけでなく、文字通り同じ空間で共に手を動かしながら、「直接的な技術と魂の継承」を現在進行形で行っているのです。
過去の歴史をリスペクトしつつも、歩みを止めず、家族と共に自らの手で新たなギターを作り続ける。
その姿こそ、職人としての最も純粋で美しい在り方のひとつであると思います。
レン・ファーガソン氏による過去の作品の一例
〜 Artists 〜
彼について詳しくない方に彼の「本当の凄さ」を伝えるのであれば、彼と関わりのある著名なアーティスト達を見るのが一番早いでしょう。
■ジョン・レノン
あのオノ・ヨーコからの直接の招きにより、ギブソン・アコースティック工場でのジョン・レノンのトリビュート・ギター製作を任されたのがレン・ファーガソンです。彼は「ロックの殿堂(Rock and Roll Hall of Fame)」に足を運び、展示されていたジョンの愛機(J-160E)を取り出し、楽器の状態からジョンが描いたアートワークに至るまで完全に解析しました。 この時製作されたのは、1本のギターの変遷を辿る「3本セット(トリオ)」でした。1本目は、平和を訴えた「ベッド・イン」の際に描かれたイラストの再現モデル(そこにはジョンの絵に紛れてレン自身のイニシャルが添えられています)。2本目は、青と紫をベースに手描きでオレンジのラインが施された鮮やかなサイケデリック・モデル。そして3本目は、ジョンが自ら塗装を剥がしてペイントを施す"前"の、初期のスタンダード仕様モデルです。 この偉大なプロジェクトの証として、オノ・ヨーコはそのうちの1本を日本の「ジョン・レノン・ミュージアム」へと持ち帰り、寄贈しました。
■ ポール・マッカートニー
名曲「イエスタデイ」をはじめ、ビートルズの数々の名曲を生み出したポール・マッカートニーのオリジナルギター。レンは、その60年代中期の仕様を完全に再現した特別なギターを製作しました。ポールの所有機と全く同じように傷(エイジド加工)まで再現されたこのギターは、後にポール本人のサインが入れられ、チャリティオークションで天文学的な金額で落札されています。
■ ロン・ウッド(ザ・ローリング・ストーンズ)
ロック界の生ける伝説、ロン・ウッドからも直接の指名を受けています。ロンからの「炎のようなものを」というリクエストに対し、レンはアバロンとマザーオブパール(白蝶貝)を用いて指板に燃え盛る炎のインレイ(装飾)を施し、手彫りのピックガードを備えた芸術的な一本(SJ-200)を完成させました。
■ ジョニー・デップ
映画『パイレーツ・オブ・カリビアン』を観ていたレンは、「船とは自由だ」という劇中のセリフにインスピレーションを受け、「ギターもまた、人をどこへでも連れて行ってくれる自由そのものだ」と考え、海賊をテーマにしたギターを製作しました。カリフォルニアの撮影スタジオでこのギターを受け取ったジョニー・デップは、一度も弦を鳴らすことなく、ただ縁石に座り込んで「2時間」もの間、その凄まじいディテールと装飾を無言で見つめ続けていたといいます。その後、彼がそのギターを深く愛したことは言うまでもなく、映画プロデューサーのジェリー・ブラッカイマーまでもが「自分にも同じものを作ってくれ」と追加注文したほどです。
このように、私たちが耳にしてきた数々の名曲や歴史的カルチャーの裏側には、彼が手がけたギターと、トップスターたちとの深い信頼関係が存在しているのです。さらに、現在世界の第一線で活躍している数多くの有名ギター職人たちが彼のもとで技術を学びました。彼はまさに、業界の頂点に君臨する「マスター・オブ・マスターズ(巨匠たちの師匠)」なのです。
〜 Builders 〜
また、現在世界の第一線で活躍しているジョン・ウォーカーやケビン・コップ等数多くの有名ビルダーたちが、彼のもとで技術を学び、巣立っていきました。
まさに「マスター・オブ・マスターズ(巨匠たちの師匠)」と呼ぶべき存在なのです。
〜Works 〜
彼が生み出すギターは、単なる楽器の枠を遥かに超えています。
彼を象徴する緻密で華やかなインレイワーク、音響特性と美観を見極める妥協なき木材の選定。
そして、ギターという構造物を最も美しく構築する卓越した着想と、それを完璧に具現化する世界有数の技術力。
それらが融合して生まれる作品は、もはや一つの芸術品といえます。
事実、彼がGibson時代に手がけたフラグシップモデルは、現在では滅多にお目にかかることができず、
オーナーたちが手放さない至高のコレクターズアイテムとして、その価値を高め続けています。
そんな私たちアドバンスギターズとレン・ファーガソンとの物語は、
彼が1990年代に手がけた至極のJ-200コレクションを当店が所有していたことから始まりました。
※その経緯の詳細は、下記コラムをご参照ください
正直に申し上げると、私自身、これまでは彼に対して「元大手メーカーの重鎮」というイメージをどこかに持っていました。 しかしながら、彼本人と言葉を交わし、彼が現在製作している作品に触れるにつれ、そうした過去のブランドの枠組みだけで彼を紹介するのは、あまりに不十分であると痛感させられました。
彼は現在、自身のブランド『Ren Ferguson Co.』を立ち上げ、家族と共にギター製作を行っています。
メーカー在籍時は、コストや生産効率、ブランドの伝統という「制約」の中で最高傑作を生み出してきました。
しかし今、彼はすべての制約から解き放たれたのです。
自身の経験、センス、そして「作りたいものを、作りたいように作る」という純粋な情熱。そのすべてが注ぎ込まれたギターの凄みは、もはや言葉で語る必要すらないのかもしれません。
ただ触れるだけで、すべてがわかります。
レン・ファーガソンの歴史
1946年
ミシガン州デトロイト生まれ
-1961年
レンは他の人たちと同じように、兄や友達と一緒にギターを弾き始めました。
-1962年
高校時代のレンは、Fスタイルのマンドリンや装飾が施された彫刻入りのバンジョーに強く魅了されていたことから・・・詳しくは下をクリック
経歴を見る
-1946年
ミシガン州デトロイト生まれ
-1961年
レンは他の人たちと同じように、兄や友達と一緒にギターを弾き始めました。
-1962年
高校時代のレンは、Fスタイルのマンドリンや装飾が施された彫刻入りのバンジョーに強く魅了されていたことから、学校の木工室で弟のために「ブルーグラス・バンジョー」を製作することを決意しました。
ちょうどその頃、彼はロサンゼルス国際空港近くの「ウェストチェスター・ミュージック」で働き始めます。そこには、空路での輸送中に損傷した楽器が多く持ち込まれ、修理見積もりが依頼されていました。レンは、そうして損傷した楽器のいくつかを購入することを許され、それが修理職人としてのキャリアの出発点となりました。
-1965〜1967年頃
Dobro Guitars(オリジナル・ミュージカル・インストゥルメント・カンパニー(OMI))で、西海岸地区のセールスマンを務めながら、カスタム・インレイの製作も手がけていました。
-1967年〜1969年
レンは海軍に入隊し、日本の横須賀に停泊していた工作艦に配属されました。
そこで彼は、機械加工(マシニング)の高度な技術を習得しました。
-1969年
軍を除隊した後は、ロサンゼルスのウェストウッド・ミュージックに就職し、販売と修理の仕事に従事しました。
-1970年
カリフォルニア州サンタモニカで、ロブ・エーラスとともに弦楽器の修理事業を立ち上げました。
-1971年
レンはカリフォルニア州ベニスビーチに移り、バンジョーの製作を始めました。
さらに、数人の弟子たちとともに「レン・ファーガソン・カンパニー」という小さなギター工房を設立しました。
-1976年
その会社は工房を閉じ、彼はコロラド州へ移住しました。
-1979年
レンは妻のレニーとともにモンタナ州ビッグティンバーへ移住し、トラッパー(罠猟師)としての生活を始めました。
-1983年〜
シャイロ・シャープス社でガン・ストッカー(銃床職人)としての職を得て、最初の1,000丁のライフルを製造しました。同社のオーナーであるウルフギャング・ドローゲは、熟練の機械工であり工具設計者でもありました。
彼の技術をレンと共有しながら、製造と組立の精度を高めるための治具を設計するようレンに勧めました。
-1985年6月〜
フラットアイアン・マンドリン社で、プロダクトマネージャー兼デザイナーとしてマンドリンの製造に携わりました。
-1987年2月
フラットアイアン・マンドリン社はギブソンに買収され、OEM先として楽器の供給を開始しました。
-1989年3月
新しい工場のための治具設計を始め、テスト用のプロトタイプギターを製作しました。
-1996年〜
ギブソンのマスタービルダーとして、保証サービス、カスタムデザイン、工具設計を統括。
「カスタムライン」やすべての「ヒストリックライン」ギターのリイシューを含む、唯一無二のエリート作品を開発してきました。
-2011年12月
ギブソン社を退職。カスタムショップは、製造の大部分をギブソン工場のフロアに移行していました。ヴァル・ボリソとジェイソン・ジョーンズの協力を得て、一点モノのギターを独自に製作するということはもはや許されなくなりました。さらには、日本への旅行(10月)から帰国した直後、狩猟中に怪我をし、全治3ヶ月の怪我を負っていました。66歳になる彼は、自宅で再び働くチャンス(引退)があるかもしれないと決心しました。
-2012年1月
ギブソン退職後、一時引退を試みましたが、当時フェンダー社の社長だったラリー・トーマスがレンに連絡を取り、ギルド製品の更なる改良を依頼しました。Renはこの申し出を受け入れ、フェンダー社アコースティック部門のチーフエンジニアに就任。彼はその後も、コネチカット州ニューハートフォードのギルド工場とメキシコのエンセナダにあるフェンダー工場の両方で、楽器の設計、製造工程の改善、装飾部品やモデルのデザインなど、幅広く活躍しました。また、当時フェンダー社の子会社であったギルドのシグネチャーモデルも製作しました。
当時、ベンチャーキャピタルグループがフェンダー社を買収。「ギルド」ブランドの売却とニューハートフォード工場の閉鎖が決定されました。
-2014年7月
コルドバ/ギルドの新しいオーナーたちは、カリフォルニア州オックスナードに新しい工場を建設するという職務をレンに打診しました。レンは妻のレニー、息子のティモシーとともにカリフォルニアへ移住し、新工場の再整備に着手しました。
-2017年1月
最先端のアコースティックギター製造工場を開設しようとしていた中国のShadow Electronics社のコンサルタントとして採用されました。
-2019年〜
自身のブランド「レン・ファーガソン・カンパニー(Ren Ferguson Co.)」を再興しました。
彼は子どもたちのヴァージニアとティモシーとともに、長年培ってきた創造性と情熱を結集させたカスタムモデルの製作に取り組んでいます。
「ギターは、ただ飾られるだけのアートであってはいけない。弾き手が思わず手を伸ばし、弾きたくなるような『Functional Art(機能的なアート)』でなければならない」
アドバンスギターズだけに制作される特別な3本
そして、物語は動き出しました。
舞台は2024年のNAMM Show、そして彼と彼のファミリーとのプライベートなディナーの席。
そこで私たちは、互いのギターへの愛、そして製作に対する哲学を深く共有しました。
その対話の中で、私たちが彼に託した言葉は、シンプルかつ究極のオーダーでした。
『Ren Fergusonの可能性の限りを尽くしてほしい』
彼はその想いを受け止め、アドバンスギターズのためだけに3本の特別なギターを製作することを約束してくれました。
それから完成まで、約2年。じっくりと時間を費やし、彼の全精力を注ぎ込んだプロジェクト。
それが『Ren Ferguson × Advance Guitars Signature Lineup』コラボで制作した特注モデルです。
私たちが彼に託したオーダーは、極めてシンプルでありながら、彼への全幅の信頼を示すものでした。
それは「一つの特定のシェイプ(スーパージャンボ等)に偏るのではなく、それ以外の多様なシェイプを用いて、あとはレン、あなたの自由な発想とインスピレーションにすべてを一任する」というものです。
そこには、「日本のプレイヤーたちに、レン・ファーガソンが生み出す多種多様なシェイプのギターを実際に手に取り、その計り知れない魅力を直接体感してほしい」という、私たちアドバンスギターズの強い思いが込められていました。
すべての制約を外された彼が、自身のキャリアと情熱の赴くままに選び抜いた木材とシェイプ。それが以下の3本です。
どれも世界に1本しか存在しない、正真正銘のワンオフ・モデルとなっています。
Advance Guitars 特注モデルのご紹介
- Mahogany Early Slope Shoulder
- Flame Claro Walnut
- Flame Maple Early 985
Advance Guitars Signature
"Mahogany Early Slope Shoulder"
このモデルの最大の特徴は、バックおよびサイド材に採用された、「クリーミー」と表現したくなるほどに美しく均整のとれた極上のマホガニー材です。その落ち着いた温かみのある色合いと滑らかな木肌は、まるで長い年月を生き抜いてきた「戦前(プリウォー)のヴィンテージギター」のような、底知れぬオーラを放っています。
ボディシェイプには、レン・ファーガソンが長年のキャリアの中で最も得意としてきた王道の「アーリー・スロープショルダー(なで肩)」が採用されています。手彫りで滑らかに仕上げられたエボニー・ブリッジ や、ボディの縁を美しく彩る赤・青・黄の独自のマーケットリー(寄木細工)、そしてヘッドトップから指板へと続く精巧なインレイ が、伝統的なスタイルの中に芸術的な気品を与えています。
サウンド面において、マホガニー材はふくよかで温かみのある中音域と、抜けの良いウッディなトーンが持ち味です。この極上のマホガニーとスロープショルダーの深いボディ、そしてショートスケール特有の適度なテンション感が組み合わさることで、弾き手のタッチに対して驚くほど豊かに、そして優しく反応します。
手作業で極限までチューニングされた力木のボイシングにより、新品でありながらすでにヴィンテージギターのように枯れたニュアンスを含んでおり、太くふくよかな芯のある鳴りを響かせます。王道のマホガニー・サウンドを知り尽くした巨匠だからこそ到達できた、最高峰のスタンダードと呼ぶにふさわしい一本です。
Advance Guitars Signature Mahogany Early Slope Shoulder
Body Style:Early Slope Shoulder
Soundboard Tone Wood:Sitka Spruce
Back and Sides:Mahogany
Binding Package:Proprietary Advance Guitars Marquetry Package with Faux Tortious Binding
Neck:Hand Carved Mahogany Neck
Peg Head:Standard with Gaboon Ebony Veneer
Fingerboard & Inlays:Proprietary Advance Guitars Inlay Package
Scale Length & Nut Width:Short 24.75" and 1.75"
Pickguard:Faux Tortious in our Traditional Shape
Bridge:Hand Sculpted Gaboon Ebony
Bridge Pins:Cream
Tuners:Nickle Kluson
Finish:Light Toner Antiquing in Nitrocellulose Lacquer
Case:Custom Hard Case by Ceder Creek
「内部構造はキャビン(小屋)やリビングルームのように、暖かく、招き入れるような空間であるべきだ」
Advance Guitars Signature
"Flame Claro Walnut Dreadnought"
このドレッドノートのバック材に採用されたフレイム・クラロ・ウォルナットを見た時、私が九州で見た樹齢3000年の大楠のような生命力を感じました。
その荒々しくも美しい自然の造形に、ヘッドに施されたアバロンのインレイ と、赤・青・黄が調和する独自のマーケットリー(寄木細工)が品格を与えています。
一般的にウォルナット材はタイトな音響特性を持つとされていますが、この個体のサウンドは、ローズウッドを思わせるような甘く芳醇なトーンを響かせます。さらに、ローズウッド特有の硬質な耳障りさはなく、非常に耳当たりの良いまろやかなサウンドが特徴です。
今回製作された3本の中で、間違いなく「最も音の情報量が多い」モデルです。25.5インチのロングスケールとドレッドノートボディの組み合わせにより、中低域の倍音が豊かに膨らみ、ボディという箱の中で音が渦を巻くような、これまでに経験したことのない深いサスティーンを生み出しています。
Advance Guitars Signature Flame Claro Walnut Dreadnought
Body Style:Dreadnought
Soundboard Tone Wood:Sitka Spruce
Back and Sides:Claro Walnut
Binding Package:Proprietary Advance Guitars Marquetry Package with White Binding
Neck:Hand Carved Mahogany Neck
Peg Head:Standard with Gaboon Ebony Veneer
Fingerboard & Inlays:Proprietary Advance Guitars Inlay Package
Scale Length & Nut Width:Long 25.5" and 1.75"
Pickguard:Faux Tortious in our Traditional Shape
Bridge:Hand Sculped Gaboon Ebony
Bridge Pins:White
Tuners:Nickle Kluson
Finish:Light Toner Antiquing in Nitrocellulose Lacquer
Case:Custom Hard Case by Cedar Creek
「いまでも日本の職人からもらったツールを大事に使っているよ」
Advance Guitars Signature
"Flame Maple 985"
ボディのサイドおよびバック材に採用された、眩いほどに美しい極上のフレイム・メイプルがひと際目を惹く一本です。光の角度によって表情を変える緻密で立体的なトラ杢(もく)は、まさに自然が生み出した芸術品と言えます。
このモデルには、レン・ファーガソン自身のオリジナル・ボディシェイプである「985」(J-185スタイルを独自に昇華させたシェイプ)が採用されています。美しく曲線を描く手彫りのエボニー・ブリッジ や、ボディの縁を彩る独自のマーケットリー(寄木細工)、そしてヘッドトップに輝くインレイ が、メイプルの白く透き通るような木肌に極上のアクセントを加えています。
サウンド面において、メイプル材は一般的に「硬質で音の分離が良く、クリアなトーン」が特徴とされています。しかし、この絶妙なカーブを持つ「985」シェイプと、レンの卓越したボイシング技術が組み合わさることで、単に硬いだけではない、アコースティックギター本来のふくよかな温かみが見事に引き出されています。
一音一音の輪郭がくっきりと浮かび上がりながらも、決して耳に痛くない、瑞々しくブライトなサウンド。アンサンブルの中でも音が埋もれずに心地よく抜けてくるクリアな響きは、弾き手の細かなタッチやニュアンスを余すことなく表現してくれる、まさに「機能的なアート」を体現する仕上がりとなっています。
Advance Guitars Signature Flame Maple 985
Body Style:Ferguson 985
Soundboard Tone Wood:Sitka Spruce
Back and Sides:Flame Maple
Binding Package:Proprietary Advance Guitars Marquetry Package with White Binding
Neck:Hand Carved Mahogany Neck
Peg Head:Standard with Gaboon Ebony Veneer
Fingerboard & Inlays:Proprietary Advance Guitars Inlay Package
Scale Length & Nut Width:Short 24.75" and 1.75"
Pickguard:Faux Tortious in our Traditional Shape
Bridge:Hand Sculped Gaboon Ebony
Bridge Pins:Cream
Tuners:Nickle Kluson
Finish:Light Toner Antiquing in Nitrocellulose Lacquer
Case:Custom Hard Case by Cedar Creek
所有者だけが許された特権
デザインの美しさについては、写真を見ていただければ言葉は不要でしょう。しかし、今回のギターたちで一番驚かされたのは、その「サウンド」です。
新品でありながら、どこかヴィンテージギターのような枯れたニュアンスと、現代のギターとしての豊かな倍音を同時に内包しているのです。
このギターがこれから弾き込まれ、どのように育っていくのか。
その変化の過程は、私ですら体験することができません。
それは、このギターを手にしたオーナー様だけが体験できる、この上ない特権なのです。
正直に言えば、とても羨ましい限りです。
Ren Ferguson Co.のギターは、新しく製作された現代の楽器でありながら、すでに「コレクタブル」な側面を持っています。
どれもがワンオフ(一本物)であり、次はいつ手に入るかわからない。世界にここにしか存在しません。そして、彼の半世紀以上にわたるキャリアと人生が詰め込まれた一本であることを、忘れてはなりません。
新品のギターに対してあまり使う言葉ではありませんが、あえて言わせてください。
Ren Ferguson Co.のギターは、「最高の演奏道具」であり、同時に「最高のコレクターズアイテム」であると。
ひとこと:待望のレン・ファーガソンによる新作ギターです。ここまでに数年に渡って彼とコミニュケーションを取ってきました。魅力が伝わるよう丁寧に書き上げましたが、実機を触ってみなければこの感動を味わうことができません。間違いなく現代の最高峰のギターのひとつです。そして今後の情報も楽しみにしていてください。
この記事を書いた人:Advance Guitars 店長 井上(いのうえ) - ビンテージギター研究家
幼少期より楽器に触れ、数千本を超えるヴィンテージギターの査定・販売に携わるエキスパート。海外のコレクターやディーラーとも太いパイプを持つ。 「ギターの歴史は、色やスタンプひとつで変わる」を信条に、マニアックかつ愛のある解説を心掛けている。
保有資格・実績: 楽器鑑定士歴8年、ギターマガジン等への執筆・監修協力
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