Gibson '60s
HUMMINGBIRD Gallery

Advance Guitars Presents

〜ハミングバードの歴史〜

J-45等のラウンドショルダーが主流であったGibsonのラインナップにスクエアショルダータイプが加わるのが1960年のこと。その最初のモデルとして登場するのがこのHimmingbirdである。
その形だけ見ればMartin社のドレッドノートモデルと似ているが、ボディ幅が約16インチ(Martin D-28は15と5/8インチ)と大きめに仕上げられているのが特徴。そこにハチ鳥の彫刻が施された大型のピックガードが装着され、パールのインレイやゴールドパーツとも相まって華やかなデザインとなっている。

また、マホガニーボディやアジャスタブルサドルなどGibsonに欠かせない重要なエッセンスが取り込まれている。昨今のビンテージ高騰を背景に、Gibson/Martin等のビンテージフラットトップモデルが軒並み枯渇状態に陥る中、Advance Guitarsの立ち上げでビンテージギターが一堂に会することに。今回は、もう集まることはないであろう、ハミングバードの初年度を含む60年代モデルに迫っていく。

こちらのSJ-200資料集で計測した内容を今回のハミングバード特集の参考にしました。

Gibson 1960年製 Hummingbird Honey Sunburst

超希少!ハミングバード発売初年度の個体


1960年、ギブソンのスクエア・ショルダー・シェイプの第一弾モデルとして登場するのがこちらのハミングバード。
初年度に出荷された本数は、なんとわずか156本。翌年には出荷本数も増え、595本に。その華やかな見た目がロックミュージシャンにも受け人気を博し、3年後には出荷本数が1364本にまで膨れ上がります。この記録だけでもいかに初年度が希少であることがわかり、60年以上経った今ではまずお目にかかれないレジェンダリーな個体です。そんな初年度の特徴としては、チェリーサンバーストカラーの色味ではないでしょうか。

バーストと呼ばれる1958年〜1960年に製造されたレスポールスタンダード同様に、当時のサンバーストカラーは経年による退色の仕方が様々。これは顔料系のイエローの塗装を施した後に、染料系の塗料を使うことでリム部分に赤みを出していくのですが、その赤みは退色しやすいという特性があり、経年によるさまざまな影響を受け1本1本が違う表情を浮かべるからです。

1960年というとバーストでは、赤系の塗料に変更があり、現在でも鮮やかな赤いサンバーストを保つ個体が多い。こちらのハミングバードについては、リム部分の赤みが退色し、薄いブラウンカラーとなり、全体としてはいわゆるハニー・バーストと言われるような表情に仕上がっております。個体差もあるので一概には言えませんが、こうした綺麗な仕上がりになっているのはまさに奇跡といえるでしょう。


Gibson 1960年製 Hummingbird Tabacco Sunburst

初年度にしてレアカラー


こちらも発売初年度である1960年製の一本。
当時のカタログではチェリーサンバーストフィニッシュしか載っておりませんが、
こちらの個体はタバコサンバーストフィニッシュのイレギュラー仕様です。
滅多にみることができない貴重なカラーリングで、チェリーとは一味違う風格です。


Gibson 1961年製 Hummingbird Cherry Sunburst

至高のロックサウンドを奏でる初期型


かくして1年後に出荷された個体がこちら。初年度に比べるとリム部分の赤みが残っており、鮮やかなチェリーサンバーストを浮かべております。ラッカー塗装は痩せて薄くなり、木材ともしっかり馴染んでいるのがわかります。

この他の特徴としては翌年に発売されるDoveと同様、25 1/2 インチのロングスケールである点です。

ロングスケールから繰り出されるサウンドは圧巻。6弦のEを弾くだけでもあの頃のロックシーンが蘇る方もいるのではないでしょうか。ハイポジションの音は鮮やかな張りを放ち、ハカランダ特有のリッチなトーンを堪能できます。メンテナンスを繰り返し、大切に弾き込まれてきたからこそこうした音色を現代でも奏でてくれるのでしょう。


Gibson 1962年製 Hummingbird Cherry Sunburst

ロックテイスト溢れる1本


ハミングバードが1962年までに出荷された本数は1254本と、1963年の1年間に生産された本数よりも少ないです。
初期の個体は現在では滅多に出回ることがない大変珍しい品物となっております。ブリッジサドルは土台のローズウッドにボーンのストレートサドルがマウントされた特別な仕様。当時のリプレイスメントパーツか、サウンドや実用面を考えて交換したことが想像できます。


Gibson 1963年製 Hummingbird Maple Cherry Sunburst

幻のメイプルサイドバック


1960年にリリースされたHummingbirdは、斬新なルックスかつダイナミックなサウンドで当時のミュージシャンの魅了し圧倒的な支持を集めます。

そしてその爆発的なヒットが同じくスクエアショルダーであるDoveの発表(’62年)へと繋がっていきます。ただ、DoveはHummingbirdに比べて、値段が35%高かったことから、62年以後も人気の的はHummingbirdに集中。Doveの生産を実売よりも多くしていたGibson社が、生産の追いつかなくなったHummingbirdのラインにDoveのボディを追加し、’62年と’63年にはロング・スケールでボディにメイプル材のHummingbirdを造ってしまったという逸話があります。

こちらのギターがまさにそのメイプルサイドバック仕様のハミングバード。保存状態がとてもよくプレミアムな一本です。


Gibson 1963年製 Hummingbird Cherry Sunburst

プラスチックブリッジが残る貴重な前期個体


Gibsonのプラスチックブリッジは1960年代のLG-1やB-25といったスモールサイズに使用されることが多いのですが、実はこのハミングバードも1963年に限り、プラスチック製トップ・ベリーのブリッジが採用されております。サドルはセラミック製のアジャスタブル。このコンビネーションが独特なサウンドを生み出します。

こちらの個体は一度他のブリッジに付け替えられた痕がありますが、わざわざプラスチックブリッジに戻していることがわかります。このようにプラスチックブリッジの個体はブリッジそのものが交換されていることが多いため、こうして戻したくなるくらい本当に出会えるチャンスが少ないんです。

特有の明るく開放的な音色というのがまた堪りません。


Gibson 1963年製 Hummingbird Maple Cheery Sunburst

こちらもサイドバックがメイプル仕様の一本。




Gibson 1964年製 Hummingbird Natural

1963年 ハミングバードのラインナップにナチュラルフィニッシュが加わります。
こちらは1964年製の一本。ネックやサイドバックのチェリーカラーのフィニッシュがとても美しいです。


Gibson 1965年製 Hummingbird Natural

1965年はヘッド角度が17度から14度へと移行する年です。
こちらは14度ヘッド角の一本。レギュラーグリップ最終年の個体でもあります。
トラスロッドカバーの白い縁取りもこの時期より細くなります。


Gibson 1966年製 Hummingbird Natural

ナット幅約42mm〜43mmだったレギュラーグリップは、1965年よりスリムになります。
こちらはナット幅40.3mmのナローネック。1966年製です。
幅は狭くなる一方でネックの厚みはやや厚くなっているのがわかります。


Gibson 1967年製 Hummingbird Natural

この時期よりヘッドのクラウンインレイの位置が少し下がります。


Gibson 1967年製 Hummingbird Cherry Sunburst

こちらも1967年製の個体。この年よりチェリーサンバーストフィニッシュの赤みが強くなります。ひとつ前のナチュラル個体との違いとしては、ピックガードの柄が黄色と白色のツートーンになります。


Gibson 1968年製 Hummingbird Natural

ピックガードの柄が黄色と白色のツートーン。ピックガードのエッジ側にネジ止めが5箇所されているのが特徴です。


Gibson 1968年製 Hummingbird Natural

この個体のように1968年ごろからダウンベリーブリッジの個体がみられるようになります。
新たな時代である1970年代へと差し掛かる、その序章といえる一本です。


Gibson 1968年製 Hummingbird Cherry Sunburst

チェリーサンバースト&ダウンベリーの個体。
SJ-200資料集でも用いたトランスペアレント・イメージ・システムによって、ブレーシングパターンの確認ができます


Gibson 1969年製 Hummingbird Cherry Sunburst

この年よりみられるi ドットなしのGibson ロゴマークが特徴的です。


Gibson Hummingbird Natural

とてもユニークでおしゃれな一本。
シリアルレンジは1968年ですが、3ピースマホガニーネック、シャーラー製のチューナー、ダウンベリーブリッジ、トラスロッドカバーの"Hummingbird"の文字など1970年代に特徴的な仕様です。
またナット幅が約43mmと、この時期にたまに見かけるレギュラーネック。
ボディバック内のセンターの割れ止めがなく、ボディバック側にはおしゃれなバックストリップが入っていたり、エンドピン部分にセルが埋め込まれていたり素敵なデザインです。


年表

※あくまで統計的なデータとしてご参考いただければ幸いです。イレギュラーや特別な仕様を"見かけた"、"持っている"という方はぜひ下記メールアドレスまで情報提供をお願いいたします。
メールアドレス:aco@tcgakki.com
Advance Guitars 井上 宛

 

1960年

ギブソン初のスクエアショルダーモデルとしてリリース。
初年度の出荷台数は156本。
初期はCherry-red finish(Cherry Sunburst)のみがカタログに記載されているが、
今回紹介したようなHoney SunburstやTobacco Sunburstの個体も確認されております。

〜主な仕様〜
【ボディトップ】:スプルース
【ボディサイド・バック】:ホンジュラス・マホガニー
【ネック】:ホンジュラス・マホガニー
【指板】:ブラジリアン・ローズウッド(ハカランダ)
【ブリッジ】:ブラジリアン・ローズウッド(ハカランダ)
【ブリッジプレート】:メイプル(スモールサイズ)
【ブレーシング】:ノン・スキャロップド・Xブレーシング

【サドル】:アジャスタブル・セラミックサドル(艶あり)
【ペグ】:クルーソン・デラックス・ゴールド
【ピックガード】:樹脂製/透明/柄は黄色一色

【スケール】:約645mm(ロングスケール)
【ナット幅】:約43mm(レギュラーネック)
【ヘッド角度】:17度

ここで注目したいのがロングスケールが採用されている点です。
これについて、前期モデルではミディアムスケールが採用されているという説明も目にしますが、
これまで当店に入荷した1960年代のハミングバードで記録に残っているものは全てロングスケールで、ミディアムスケールは確認できておりません。
おそらく当時はロングスケールが通常仕様で、ミディアムスケールと云われるようになったのは、
ギブソンの1962年のカタログで24 3/4 スケールと紹介されていることから、このような一次情報のいくつかが主流になっていたのではないかと考えております。

1963年

ナチュラルカラーがリリースされます。
前年に同じスクエアショルダーモデルのDoveが登場し、
Doveのナチュラルカラーのリリースも1963年からとなっております。
この年のハミングバードの出荷本数は1364本とモデルとして飛躍的な進歩を遂げておりますが、
ナチュラルカラーは97本と希少性がとても高いです。
ギブソン社の威信をかけて2本のスクエアショルダーモデルを展開していったことが想像できます。

仕様にも変化がみられます。

〜主な仕様〜
【ボディトップ】:スプルース
【ボディサイド・バック】:ホンジュラス・マホガニー
【ネック】:ホンジュラス・マホガニー
【指板】:ブラジリアン・ローズウッド(ハカランダ)
【ブリッジ】:ブラジリアン・ローズウッド(ハカランダ)
【ブリッジプレート】:メイプル(ミディアムサイズ)
【ブレーシング】:ノン・スキャロップド・Xブレーシング

【サドル】:アジャスタブル・セラミックサドル(艶あり)
【ペグ】:クルーソン・デラックス・ゴールド
【ピックガード】:樹脂製/透明/柄は黄色一色

【スケール】:約645mm(ロングスケール)
【ナット幅】:約43mm(レギュラーネック)
【ヘッド角度】:17度

今回の調査でわかったこととして、ブリッジプレートのサイズが1962年から1963年にかけて一回り大きくなるということです。Martinでもこの動きが1969年にみられます。
この年での変化はわずかなものですが、ブリッジやトップ材の補強を高めたかったということが考えられます。

1962年製 Hummingbird

1963年製 Hummingbird

また、今回紹介した個体のように一部ではメイプルサイドバックを持つ個体や、プラスチックブリッジを持つ個体が確認されております。

 

1965年

〜主な仕様〜
【ボディトップ】:スプルース
【ボディサイド・バック】:ホンジュラス・マホガニー
【ネック】:ホンジュラス・マホガニー
【指板】:ブラジリアン・ローズウッド(ハカランダ)
【ブリッジ】:ブラジリアン・ローズウッド(ハカランダ)
【ブリッジプレート】:メイプル(ラージサイズ)
【ブレーシング】:ノン・スキャロップド・Xブレーシング

【サドル】:アジャスタブル・セラミックサドル(艶なし)
【ペグ】:クルーソン・デラックス・ダブルライン・ゴールド
【ピックガード】:樹脂製/透明/柄は黄色一色

【スケール】:約645mm(ロングスケール)
【ナット幅】:約43mm(レギュラーネック)と約40mm(ナローネック)が混在
【ヘッド角度】:14度

この年を代表するギブソンの仕様変更といえばヘッド角14度とナローネックです。
ハミングバードも例に漏れず変更が行われております。
また、アジャスタブルサドルも艶なしのセラミックサドルやウッドサドルが確認されており、こちらも1960年代中盤の仕様変更のひとつです。

 

ペグもダブルラインに変更

この他としては、トラスロッドカバーの白い縁取りが細くなったり、ブリッジプレートがさらに大きくなっていることがわかりました。

 

1964年製 Hummingbird

1965年製 Hummingbird

1965年製 Hummingbird

1966年

〜主な仕様〜
【ボディトップ】:スプルース
【ボディサイド・バック】:ホンジュラス・マホガニー
【ネック】:ホンジュラス・マホガニー
【指板】:ローズウッド ※ハカランダ混在
【ブリッジ】:ローズウッド ※ハカランダ混在
【ブリッジプレート】:メイプル(ラージサイズ)
【ブレーシング】:ノン・スキャロップド・Xブレーシング

【サドル】:アジャスタブル・セラミックサドル(艶なし)/ウッドサドル
【ペグ】:クルーソン・デラックス・ダブルライン・ゴールド
【ピックガード】:樹脂製/透明/柄は黄色一色

【スケール】:約645mm(ロングスケール)
【ナット幅】:約40mm(ナローネック)
【ヘッド角度】:14度

ナット幅は狭くなりますが、ネックの厚みが厚くなる傾向があります。
こちらはハミングバードだけでなく、私の経験としてはギブソンフラットトップ全体に言えることです。
“幅は狭くなっても意外と厚みがあって握りやすい”ということもあると思いますので、好みに合わせて選べると思います。1967年〜1968年は1966年に比べてネックが薄くなるイメージです。
数多くのデータを取れているわけではありませんが、1960年代ギブソンを選ぶ際の参考になれば幸いです。

また、カラーリングについても一見“ナチュラルカラー?”と思うような退色したチェリーサンバーストの個体がみられます。日本では秦基博さんが使用されているJ-45をイメージされる方も多いかと思いますが、ハミングバードにもみられます。こちらは1963年〜1966年まででよく見かけます

 

※写真は1966年製 J-45

1967年

〜主な仕様〜
【ボディトップ】:スプルース
【ボディサイド・バック】:ホンジュラス・マホガニー
【ネック】:ホンジュラス・マホガニー
【指板】:ローズウッド ※ハカランダ混在
【ブリッジ】:ローズウッド ※ハカランダ混在
【ブリッジプレート】:メイプル(ラージサイズ)
【ブレーシング】:ノン・スキャロップド・Xブレーシング

【サドル】:ウッドサドル
【ペグ】:クルーソン・デラックス・ダブルライン・ゴールド
【ピックガード】:樹脂製/透明/柄は黄色一色、樹脂製/透明/柄は黄色と白色の二色、ネジのあり・なしで混在

【スケール】:約645mm(ロングスケール)
【ナット幅】:約40mm(ナローネック)
【ヘッド角度】:14度

ピックガードやフィニッシュなど外観面での変更がみられます。
ピックガードは柄が黄色一色のものから、黄色と白色の二色もみられるようになり、
ネジ止めがみられるのもこの頃です。ネジ止めピックガードはJ-45のカスタムカラーでも使用されており、
カスタムカラーが登場するのが1967年で同じ年にハミングバードでもネジ止めピックガードが採用され始めるという感じで覚えております。

1967年製 Hummingbird

1968年製 Hummingbird

1967年製 Hummingbird

1968年製 J-45 Ebony Black

 

フィニッシュはチェリーサンバーストのリムの赤みが非常に強くなります。
よく見ると指板エンドの両側にも色が載っているのを確認でき、これを見て時代を感じております。

 

1967年製 Hummingbird

※写真は1967年製 J-45

ヘッドのクラウンインレイの位置が少し下がるのも特徴です。

1966年製 Hummingbird

1967年製 Hummingbird

1968年

〜主な仕様〜
【ボディトップ】:スプルース
【ボディサイド・バック】:ホンジュラス・マホガニー
【ネック】:ホンジュラス・マホガニー
【指板】:ローズウッド ※ハカランダ混在
【ブリッジ】:ローズウッド、アッパーベリー or ダウンベリー ※ハカランダ混在
【ブリッジプレート】:メイプル(ラージサイズ)
【ブレーシング】:ノン・スキャロップド・Xブレーシング

【サドル】:ウッドサドル
【ペグ】:クルーソン・デラックス・ダブルライン・ゴールド
【ピックガード】:樹脂製/透明/柄は黄色と白色の二色、ネジのあり・なしで混在

【スケール】:約645mm(ロングスケール)
【ナット幅】:約40mm(ナローネック)
【ヘッド角度】:14度

1968年になるといよいよ1970年代の気配が近づいてきます。
ブリッジ形状の膨らみが下部方向となる"ダウンベリー"もこの頃からみられます。
"ダウンベリーといえば1969年"というイメージはありますが、
数多くの個体をシリアルナンバーで照合していくと1968年にも意外と多いです。
ハミングバードとしては少しマーティンのスタイルに近づいたと言っても良いでしょうか...

1969年

〜主な仕様〜
【ボディトップ】:スプルース
【ボディサイド・バック】:ホンジュラス・マホガニー
【ネック】:ホンジュラス・マホガニー ※1ピースと3ピース混在
【指板】:ローズウッド ※ハカランダ混在
【ブリッジ】:ローズウッド、ダウンベリー ※ハカランダ混在
【ブリッジプレート】:メイプル(ラージサイズ)
【ブレーシング】:ノン・スキャロップド・Xブレーシング ※ダブルXブレーシング混在

【サドル】:ウッドサドル
【ペグ】:クルーソン・デラックス・ダブルライン・ゴールド or シャーラー製(ギブソンロゴ入り)
【ピックガード】:樹脂製/透明/柄は黄色と白色の二色、ネジのあり・なしで混在

【スケール】:約645mm(ロングスケール)
【ナット幅】:約40mm(ナローネック)or 約43mm(レギュラーネック)
【ヘッド角度】:14度

1969年になるとさらに1970年代色が強くなります。
1970年代はギブソンの経営母体が変わり、ダブルXブレーシングの採用など、ギター作りやリリースされるモデルにも変化がみられます。
一般的には"人気のない"時代とされておりますが、ギブソンの歴史を俯瞰してみるとどこか可愛げがあり愛着が湧いているという方もいるのではないでしょうか。

1969年の主な仕様としては、ブリッジがいよいよダウンベリーが主流となります。
またイレギュラースペックとしてナット幅が約42mm〜43mmの個体がみられます。
一部では、ボディバックの内側にあるセンターの割れ止めがない個体があり、
ボディバック側にはおしゃれなバックストリップが入っていたり、エンドピン部分にセルが埋め込まれていたりします。

 

トラスロッドカバーに"Hummingbird"という文字が入るのもこの頃で、モデル名なしのカバーと混在しているようです。

 

ヘッドのロゴマークのiのドットがない仕様やスリピースマホガニーネックを見かけるのもこの頃です。

 

さらに、ダブルXブレーシングやブロックのポジションマーク、シャーラ製のギブソンロゴ入りチューナーなど、1970年代の仕様を纏った個体も確認されております。

 

ネック材について

ホンジュラスマホガニーがいつまで使用されるかについて、いくつかの一次資料を調べてみました。
まずエレキギターにおいて、1968年にレスポールカスタムが再販されますが、
ここで当時のカタログを参照すると、Les Paul Standard(再販のGold Top P-90 Type)ではmaple top with mahogany bodyと紹介している一方で、Les Paul CustomではSolid Honduras mahogany bodyと紹介されていることが確認できます。
明確な使いわけが行われているようでとても興味深いです。
フラットトップにおいては、1970年のカタログにてハミングバードはホンジュラスマホガニーと説明され、
B-25はマホガニーと説明されており、ここでも使いわけが行われていることが考えられます。
こちらの情報をもとに、今回の記事では1960年代のハミングバードは全てHonduras Mahoganyと記載いたしました。

 

ブレーシングについて

1969年までは一貫してノンスキャロップドXブレーシングが採用されております。
1969年に1970年代スペックとして一部ダブルXブレーシングの仕様がみられます。
画像の通り並べてみると年が経つに連れて厚みが増しているのがわかります。
1960年のブレーシングでは形状が角張っておりますが、1963年よりやや丸みが出てきます。
1965年になるともう一段階厚くなっております。

 

ブリッジプレートについて

年が経つにつれてブリッジプレートが大きくなっていくのは前述した通りですが、
さらに細かく見ると、プレートの枚数が1ピース、2ピース、3ピースと増えていくことがわかりました。
1963年を過渡期として、以降は3ピースが採用されていると考えられます。

ハミングバードを愛用しているアーティスト、代表曲

キース・リチャーズ (ローリング・ストーンズ)
「Angie」

ジミー・ペイジ(レッド・ツェッペリン)
「Babe I’m Gonna Leave You」

オススメのナンバー

今回この記事をまとめるにあたり、改めて聴き直すとロックテイスト溢れるハミングバードの音はやっぱ格好良いなと思いました。中でもローリング・ストーンズではこのハニートーンを堪能できるのではないでしょうか。「Exile On Main Street / The Rolling Stones」

店長井上が考えるハミングバードとは


やっぱり見た目も音もとにかくカッコイイんです。
1937年のSJ-200から始まる、このアコースティックギターをカッコよく見せるセンスがGibsonにはあるんじゃないかなと思います。華やかなピックガードをのせたハミングバードは、バンドのフロントマンやロックギタリストに絶大な支持を受け人気を博していくわけです。

日本ですと忌野清志郎の使用で有名ですよね。こうして考えるとハミングバードはロックなアコースティックギターだなと思います。

至極のハニートーンを披露


今回紹介したギターの中でも、これは!と思ったのが1961年製の個体でした。この低音を聴いた日にはハミングバードの虜になってしまいますね。

 

どんな人におすすめ?


中々手に入らないモデルでございますので、あの往年のロックサウンドに憧れていた!という方には是非手に取っていただきたいです。レコードで聴いていたような音色がすぐそばで体験できるって最高だと思いませんか?

 

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