『今はなき名工房ベンジが残した、個性派フリューゲル。』
ラージスロート5ベルが生む、太くストレートなサウンド。
[概要]
ベンジ・フリューゲルホルン、5FLモデル。ラージスロート155ミリ・イエローブラスベル(5ベル)。460"ミディアムラージボア。マウスピースレシーバー・ラージシャンク(ヤマハシャンク)。ラッカー塗装仕上げ。楽器重量1194グラム。1990年代製造品。付属品:純正シングルハードケース
[状態]
ベル後方カーブ手前側面に凹み修正痕(ラッカー落ち)。3番バルブケーシングの一部、ベル胴にラッカー落ち、プツプツとしたピンホールあり。その他、薄いスリ痕が点在。3番抜き差し管のバネ式トリガー後付け加工(ヤマハ・パーツ)。管内洗浄、軟モノ全交換。各管整備済み。
[特徴]
ハンドメイド・トランペットの名工房として名を馳せた、今はなきベンジ。本機5FLは、そのベンジが製作したフリューゲルホルンの中でも、標準モデル3FLとは大きく異なるキャラクターを持つ一台です。
最大の特徴は、極太スロートの5ベル。ベルが広がる手前の部分が非常に太く設計されているため、ベルフレアの開きは控えめに見え、一般的なフリューゲルホルンとはひと味違う個性的なルックスを備えています。
吹奏感も独特です。一般的なフリューゲルホルンは、トランペットより細めのボアによる手前に抵抗を感じるコンパクトなフィールが特徴ですが、本機はトランペットと同じ.460"ミディアムラージボアを採用。ラージスロートベルとの組み合わせにより、息がスムーズに入り、フリューゲルとしてはかなり開放的な吹き心地です。
サウンドは、いわゆる柔らかく奥ゆかしいフリューゲルトーンとは少し異なります。音の輪郭は太く、響きはストレート。丸く包み込むというより、息の流れをそのまま音に変えていくような、ビューグルに近いフィーリングを持っています。
音程のスロットは一般的なフリューゲルよりやや広めですが、コントロールが難しいほど散らばる印象はなく、奏者の意図を受け止める余地として感じられます。深いVカップのマウスピースよりも、Uカップタイプと組み合わせることで、音色のまとまりや操作性の面でより良いバランスが得られそうです。
ベンジらしい発想と、5FLならではの太くストレートな吹き心地を味わえる、非常に興味深いフリューゲルホルンです。