『百年を越えて、なお“楽器”である。』
1920年代 Robert Schopper テナーバス・トロンボーン
[概要]
ロバート・ショッパー製作テナーバス・トロンボーン。235ミリ・ゴールドブラスベル。ベルクランツ(トリム):ニッケルシルバー。スライドボア:13.2ミリ。スライド内管ニッケルシルバー。F管アタッチメント差し替え式。純正テナーボーゲン付き。1920年代製作品。付属品:セミハードケース、マウスピース(W.Chr.Schmidt/R.Shopper)
[状態]
製作時はアンラッカー仕上げですが、現在はクリアラッカー塗装が施されています。現状での目立つキズや凹みはありませんが、過去の凹み修正痕がベルフレア等に見受けられます。インナースライドは演奏可能な状態です。ただし、無垢のニッケルシルバー仕上げのため現代のトロンボーンのような軽いアクションではありません。予めご了承ください。アウタースライドのクロスバーの片側は固定されていない作りです。スライドのストッパーリングはなし。本体のジョイントはロックリングではなく差し込み式です。ロータリー、管内洗浄・点検済み。
[特徴]
1859年、ザクセン地方アードルフに生まれたロバート・ショッパー。
ペンツェルをはじめ、ツェッチェ、ヒルスブルナー、F.A.ヘッケルらのもとで研鑽を積み、1888年にライプツィヒで自身の工房を構えました。のちに宮廷御用達の称号も受けた、当時を代表する金管楽器製作家のひとりです。
本機は、ショッパーが円熟期を迎えていた1920年代に製作されたテナーバス・トロンボーン。235ミリのゴールドブラスベルに、ニッケルシルバー製のベルクランツ。特徴的なF管レイアウト、チューニング管やスライド・エンドクルークに施された精緻な蛇飾りなど、随所に当時ならではの意匠が見られます。
F管アタッチメントは丸ごと差し替える構造で、付属のテナーボーゲンを使用すれば、シンプルなテナートロンボーンとしても演奏可能。当時の設計思想をそのまま伝える、興味深い仕様です。
第二次世界大戦の空襲によってショッパーの工房は壊滅。そのため戦前に製作された楽器の現存数は多くありません。ましてや、製作から百年以上を経たトロンボーンが、これほどまとまった状態で残り、現在も演奏できること自体が貴重です。
もちろん、吹奏感は現代の楽器とは大きく異なります。無垢のニッケルシルバー製インナースライドには重量感があり、現在のクロームメッキ・スライドのような軽快なアクションではありません。操作性や扱いやすさを求めるのであれば、新しい楽器に分があります。
しかし、息を入れたときに返ってくるのは、この時代ならではの密度と華やかさを持った響き。均一に整えられたサウンドとは異なる、有機的で存在感のある音を実際に鳴らせることこそ、本機の大きな価値でしょう。
単なる歴史資料でも、ショーケースに飾るためだけの楽器でもありません。
一世紀前の製作家が作った一本を、いまの奏者がもう一度鳴らす。
その時間まで含めて引き継いでいただきたい、極めて稀少なロバート・ショッパーです。
※こちらの商品につきましては演奏不可の症状以外の返品・交換を承ることはできません。予めご承知くださいませ。