『操作性では、勝負しない。音でしか、語れない。』
セルマー MARK VI ソプラノ 14万番台
[概要]
セルマー・パリ製 MARK VI(マークシックス)、ソプラノサクソフォン、ベル彫刻模様入り。14万番台。1967年製。付属品:国内にて新品販売時の純正ハードケース(外に製造番号・年式書きあり)
[状態]
経年と使用によるラッカー塗装の変色が広範囲に見受けられます。キイ、彫刻部分はラッカーが剥がれています。新品製作時のネジ留め式のストラップフックは外されており、新たにリングタイプの台座がバランスの良い位置に取り付けられています(台座痕残)。サムフックの留めネジは非純正パーツです。管内洗浄、全タンポ(CHANUプラスチック・レゾネーター)、コルク、フェルト全交換によるオーバーホール調整済み。
[特徴]
Selmer MARK VI ソプラノサクソフォン。14万番台、1967年製の個体です。
まず目を引くのは、吹き込まれた楽器ならではの佇まい。ラッカーの変色、彫刻まわりやキイの剥離。均一ではないその風合いが、長い年月を経た歴史を静かに物語っています。息がスッと入り、音が自然に前へ出る。小慣れた個体ならではの軽やかさがあります。枯れ一辺倒ではなく、高音域には明るく艶やかな伸びを備えているのもこの個体の魅力です。音程バランスも、『ソ』がやや高めになる傾向を除けば整っており、演奏上大きく破綻することはありません。
一方で、このモデルを語るうえで避けて通れないのが操作性。テーブルキイやサイドキイの配置は、アルトやテナーのMARK VIとは感覚が異なり、設計思想はより古い時代の流れを色濃く残しています。現代的なエルゴノミクスとは無縁。奏者が楽器に歩み寄ることを求められます。
それでも選ばれ続ける理由は、やはり音にあります。
柔らかく立ち上がり、フレーズが有機的に溶け合う感触。甘さと芯を併せ持つ中低音、抜けながらも痩せない高音域。現行モデルでは置き換えのきかない、明確な個性です。
音の色気と揺らぎを求めるなら――
このMARK VIソプラノは、今なお唯一の存在です。
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☆サックスの正しいお手入れ方法