オダと学ぶGibson Les Pualの歴史

GIbson Les Paul。
エレキギターの中でも強い存在感を放ち、今でもエレキギターの代名詞として多くのミュージシャンに愛されるギターです。その歴史は古く、この楽器が存在しなければ現代の音楽は生まれていなかったと言っても過言ではありません。

一見すると似たように見えるLes Paulも、実際にはモデルや年代ごとに仕様や設計思想が大きく異なります。Standard、Custom、Junior、Special、etc…それぞれに明確な役割とキャラクターが存在します。

さらに歴史を辿ると、その背景にはGibsonというメーカーの変遷があり、時代ごとの音楽シーンや生産体制の変化が色濃く反映されています。1950年代の完成期、1960年代の転換、そして1970年代の合理化。Les Paulは常に変化の中にありました。

同じ名前を持ちながら、まったく異なる個性を持つギターたち。その違いを知ることで、自分に合った一本がより明確に見えてくるはずです

ギブソンの創始者

Orville H.Gibson (オーヴィル・H・ギブソン)

1856年 イギリス人移民のジョン・ギブソンの息子として、ニューヨーク州に生まれる

1902年 カラマズーにてThe Gibson Mandolin-Guitar Manufacturing Company, Limitedを設立

 マンドリン製作者だったオーヴィルは当時主流だったボウルバック(リュート型)ではなく、バイオリンのような削り出しトップ/バック構造を採用し、それが後のGibsonギターの設計思想の原点となったといわれています。

1918年 逝去(62歳)

 彼の死後、Gibson社はアーチトップギターを展開し、現在のギターメーカーとしての基盤を築きます。

その名もLes Paul

Les Paul(レス・ポール)ことLester Williams Polfus(レスター・ウィリアムズ・ポルファス)

1915年 ウィスコンシン州に生まれる
1930年代 ジャズ/カントリーギタリストとして活動
1937年 Gibson社のカタログにSuper400を手にしたレスが掲載される
1941年 4×4材の角材にピックアップを搭載した実験的ソリッドギター、通称「The Log(丸太)」を制作
1951年 Gibson社とエンドースメント契約を締結。「公の場ではGibson社以外のギターを弾かないこと」「Gibson社のコンサルタントになること」で合意
1952年 Les Paul Gold Topが発表される
1963年 Gibson社との契約が終了。一時期”Les Paul”の名は消えることに
1980~90年代 Gibson社との関係が修復。本人監修やシグネチャーモデルが発売登場
2009年 逝去(94歳)

Les Paulギターの誕生の背景

1930~40年代は主にフルアコ、アーチトップギターが主流の世の中。時代の流れが変わったのは1950年代でした。
1950年代に入ると、Fender社のTelecasterのヒットの影響を受けてGibson社もソリッド・エレキギターへの進出を計画。
ミュージシャンでありエンジニアでもあったレス・ポール氏と契約を結び、伝説の始まりであるLes Paul Modelが登場することとなります。

Les Paul Standard

もっとも王道のレスポール。レスポールの基本形ともいえるモデル。

主な仕様
・メイプルトップ+マホガニーバック
・ハムバッカー×2
・ローズウッド指板

フレイムメイプルのバーストカラーが象徴的です。メイプルの硬質なアタックと、マホガニーの粘りある中低域。太さと伸びを両立した、いわゆる“レスポールサウンド”の中心的存在です。

1952年

Original Les Paul誕生

ボディ:メイプルトップ/マホガニーバック
ネック;1Pマホガニー
ピックアップ:P-90

Gibson社初のソリッドギター。
1952年にレス・ポール氏のシグネチャーモデルとして発売されました。
当初はゴールドトップ

写真はテールピース交換

豆知識♪「なぜゴールドだったのか?」

1951年にGibson社が1本だけ製作したゴールドフィニッシュのホロウボディギターに由来する。このギターはレスの依頼によるもので、病院で寝たきりの友人にプレゼントするためのものだったそう。

1954年

バー・ブリッジが特徴の’54年製

1956年

チューン”O”マチック・サドルを導入した’56年製、P-90を搭載したレスポールの完成形ともいえる

1957年

ボディ:メイプルトップ/マホガニーバック
ネック;1Pマホガニー
ピックアップ:P-490(=P.A.F)

セス・ラヴァーによって開発されたハムバッキング・ピックアップ(P-490)が搭載される。P-490には特許出願中を示す「PATENT APPLIED FOR」というシールが貼られていることから、”PAF(パフ)”と呼ばれる。

豆知識♪「セス・ラヴァー」

1945年Gibsonに入社。ハムバッカーはP-90のノイズ対策のために開発された。
セス・ラヴァーrについて、詳しくはこちら

ここまでがゴールドトップ。
1954~1958年までのLes Paulはこちらの記事に詳しく記載してます!
コラム「Vintage Guitar 第二章Gibson Les Paul」

1958~1960年

ゴールドトップの時代はカタログには"Les Paul Guitar”と表記されることが多く、1958年に発売されたサンバーストモデルから、"Les Paul Standard”というモデル名が使われ始めた。通称”Burst(バースト)”と呼ばれるのは1958年から1960年に製造されたLes Paul Standardのことで、生産台数が非常に少なく、希少価値の高いギターです。

豆知識♪「レスポール人気に火をつけたギターヒーローたち」

レスポールを語る上で絶対に欠かせないのが、時代を彩ったギターヒーローたちの存在です。たとえば、1960年代に「バースト」の神話を作ったエリック・クラプトン。彼がマーシャルアンプと組み合わせて生み出した極上のトーンは、当時のギタリストたちに衝撃を与えました。そして、No.1、No.2と呼ばれるバーストを愛用したジミー・ペイジも忘れてはいけませんよね。さらに時代は進み、1980年代後半。派手なコンポーネントギターが全盛だった時代に、レスポールを低く構えて弾く姿で再びレスポール人気に火をつけたのが、Guns N' Rosesのスラッシュです。

彼らの存在がなければ、今のレスポールの立ち位置はまったく違っていたかもしれません。

1961年

ボディ:マホガニー
ネック:マホガニー
ピックアップ:ハムバッカー
SGシェイプへと変更。

Les Paul Juniorや他社のソリッドギターの好セールスを受け、Les Paulモデルに大胆なテコ入れをすることにしたGibson社。シングルカットのLes Paul Standardは一旦ここで生産終了を迎えます。

1963年にはレス・ポール氏との契約解消のため、モデル名もSGへと変更されます。

豆知識♪「モデル名」

モデル名のSGはSolid Guitarの略。ちなみにES-335等のESはElectric Spanish、EB-2等のEBはElectric Bassの略です。

1968年

Les Paul Standard復活。

ボディ:メイプル・トップ/マホガニー・バック
ネック:マホガニー
ピックアップ:P-90
‘56~’57年製のゴールドトップを再現した最初のリイシューモデルです。

豆知識♪「Les Paul復活のきっかけ」

1967年。レスのソロコンサートを見に行ったローリング・ストーンズのキース・リチャーズとビル・ワイマンが楽屋を訪れ、「多くのギタリストがレスを敬愛していて、名器と言われる50年代のLes Paulを買い集めている」とレス本人に伝えたそう。

それがきっかけでレスはGibson社にコンタクトを取り、レスとGibsonは再び契約を交わすことなりました。

1970年代前半

後述するLes Paul Deluxeの登場により、レギュラーラインから姿を消しますが、特注では製造されていました。

 *71年製は出荷数25本のみ

1976年

ボディ:メイプルトップ/マホガニー・メイプルのラミネート(=パンケーキボディ)ネック:3Pメイプル

1974年頃から特注で作られていたハムバッカーを搭載モデルが、正式にLes Paul Standardとしてカタログに掲載。

サンバーストフィニッシュも復活し、1978年以降はナチュラルやワインレッドなどのカラーバリエーションも採用されるようになりました。

豆知識♪「マニア心をくすぐる「ノーリン(Norlin)期」

1969年~1986年頃、Gibson社の親会社が「Norlin(ノーリン)」だった時代を、我々ギター好きは愛着を込めて「ノーリン期」と呼びます。 パンケーキボディや、ネック裏の強度を上げるボリュート、3ピースのメイプルネックなどは、まさにこの時期の特徴。大量生産や強度改善に向けた合理化の時代でしたが、この時期ならではの硬質でタイトなサウンドは、70年代ロックに欠かせない個性として今も根強い人気があります!

1979年

Les Paul Standard CMT
ボディ:カーリーメイプル・トップ/1Pマホガニーバック
ネック:3Pメイプル

この時期を機にビンテージギターの人気上昇にともなってリイシューモデルが続出することになります。

こちらはカラマズー工場で限定生産され、カーリーメイプルトップが採用されました。

豆知識♪「カラマズー」

Kalamazoo(カラマズー)とはアメリカ,ミシガン州にある街の名前。Gibson誕生の1890年代から1980年代半ばまでGibsonの本拠地でした。1980年代初頭からテネシー州のNashville(ナッシュビル)にて新しい工場が稼働開始。生産方式の近代化を図り、1984年にカラマズー工場を閉鎖し、ナッシュビルへと移転を完了させました。ちなみにカラマズー工場に留まり、Gibson社を去った熟練工たちはHeritage Guitarsのブランド名でギター製作を継続しました。

1980年

Les Paul Heritage 80 Standard
ボディ:2Pメイプル・トップ/1Pマホガニー・バック
ネック:3Pマホガニー

原点回帰を目指し、ヘリテージの名を冠したスタンダード。

1982年

Les Paul Standard 82
ボディ:フレイムメイプル・トップ/1Pマホガニー・バック
ネック:1Pマホガニー

Heritageの流れを汲み発売されたStandard 82。1983年頃にHeritageシリーズは無くなり、1984年頃に閉鎖されるカラマズー工場。

この原点回帰のシリーズは後述のCustom Shop/Historic Collectionへと流れが移っていきます。

写真はレフティモデル

1987年

Les Paul Standard ‘59 Reissue
59年スタイルを踏襲したモデルとして息を吹き返したリイシュー。

1993年

Gibson Custom Shopが設立され、”Historic Collection”シリーズがスタート。それに伴い、Les Paul Standardはベーシック・モデルとして位置付けられました。

写真は1993年製

2000年代

Les Paul Standard Plus
チェンバード構造を採用。先進的ハードウェアなど最新の技術を取り入れたモデルへと変貌。

写真は2007年製

豆知識♪「レスポールと「重さ」の果てなき戦い(ウェイトリリーフ)」

レスポールといえば「重い!」というイメージがありますよね(笑)。実はGibson社も、長年この重さと戦ってきました。

1980年代初頭からは、ボディ内部の木材を丸くくり抜く「トラディショナル・ウェイトリリーフ(通称:スイスチーズ)」が始まりました。その後、大きく空洞を作る「チェンバード構造」や、音響特性を計算してスリット状に木材を抜く「モダン・ウェイトリリーフ」など、時代とともにさまざまな工夫が凝らされています。年式によって重さや生鳴りが違うのも、レスポール選びの面白いところです。

2015年

G-Forceオートチューナーを標準装備。

2019年〜

Original Collection、Modern Collectionへと整理され、50s/60sなど年代別の仕様で展開しています。

Les Paul Custom

Les Paul Standardの上位機種として登場したLes Paul Custom。

主な仕様
・エボニー指板
・ブロックインレイ
・バインディング
・多くはブラックカラー(Black Beauty)

豪華な装飾とエボニー指板を備えたその姿から、Black Beautyの愛称で知られています。指板材がエボニーになることで、音の立ち上がりはややシャープに。ローズ指板のStandardと比べると、輪郭がはっきりした印象です。見た目の高級感だけでなく、音のキャラクターもややモダン寄り。

豆知識♪「Black Beauty」

ドラムメーカーのLudwig(ラディック)にも同じ名前のものがありますね!
詳しくはこちら

1954年

Les Paul Custom誕生
ボディ:1Pマホガニー
ネック:1Pマホガニー
ピックアップ:P-480/P-90

ゴールドトップのStandardに対して、ブラックフィニッシュ+ゴールドパーツという高級仕様で登場。フロントにP-480(Alnico V)、リアにP-90を搭載し、マホガニー単板ボディ、ワンピースマホガニーネック、エボニー指板という仕様でした。

1956年

トップハットノブ以外の外見的な仕様変更はなし。

豆知識♪

TC楽器に入荷した、1956年製のLes Pual Customについて紹介した記事です。
コラム「1956 Gibson Les Paul Custom」

1961年

Standardと同じくSGシェイプへとモデルチェンジ。3ピックアップ、ポジションマーク、ヘッドインレイ、ゴールドパーツなどの仕様は引き継がれましたが、カラーはブラックからホワイトへと大きな変貌を遂げました。モデル名もStandardと同じく1963年にSG Customへと変更されました。

豆知識♪「なぜ?レスポールからSGへ」

1963年、レス・ポール氏とのエンドースメント契約が解消されたことにより、これまでのLes Paulはモデル名が「SG」へと変更されました。この時期は過渡期のため、ロッドカバーには「Les Paul」の文字が入った個体もあります。

1968年

Les Paul Custom復活
ボディ:2Pメイプル・トップ/1Pマホガニー・バック
ネック:1Pマホガニー
ピックアップ:ハムバッカー(=ステッカーナンバード)

Les Paulモデル人気上昇に伴って、Standard同様にハムバッカーを2基搭載。ボディは50年代と異なり、メイプルトップ、マホガニーバックという仕様でした。

1969年

ボディ:メイプル・トップ/マホガニー・メイプルのラミネート(=パンケーキボディ)
ネック:3Pマホガニー

他モデルと同様に仕様変更。ヘッドの大型化、Gibsonロゴの変更、ネックボリュートの追加など。‘68と’69は過渡期により、仕様が入り混じった個体が散見されます。

豆知識♪「パンケーキボディ」

マホガニー材の間にメイプル材の薄板をサンドイッチ方式で貼り合わせたラミネート構造のボディを通称「パンケーキボディ」と呼びます。1976年頃まで採用されました。

1972年

Les Paul Custom ’54
1954年リイシューモデルが発売。ワンピースマホガニーボディで、ピックアップもP-480が復刻されました。

1974年

Customでもブラック以外のカラーが標準設定されるようになりました。

1975年
ボディ:パンケーキ
ネック:3Pメイプル
ピックアップ:刻印ナンバード

ナッシュビル工場への移転に伴い、各工程の見直しとともに仕様変更が行われました。大きな違いはメイプルネック。また、ピックアップもステッカーナンバードからパテントナンバーがベースプレートに直接打刻された、通称「刻印ナンバード」になります。

1984年

ボディ:3Pメイプル・トップ/1Pマホガニー・バック
ネック:1Pマホガニー

80年代に入って、カスタムカラーやフレイムトップなどのゴージャスな仕様がレギュラーラインで発売されるようになりました。

写真はパールホワイトカラー

1986年

Gibson社はビンテージブームに乗る形で、伝統的な仕様を復活させる流れに。マホガニーネックが復活しましたが、ボディトップはメイプルで’68年頃の仕様に近い。

1990年

ビンテージ色を追求したプレミアム・ラインと、現代的なプレイアビリティを追求したレギュラー・ラインの棲み分けが確立。

1990年代以降

Gibson Custom Shop製のLes Paul Customが市販されるようになり、レギュラーラインのCustomは次第にCustom Shop製へと取って代わるようになりました。

 写真は1998年製Historic Collection 1957 Les Paul Custom 

2004年

2004年を最後にレギュラー・ラインは製造中止となりました。

 写真は2003年製 

豆知識♪「エボニー材の枯渇と『リッチライト』」

Les Paul Customの代名詞とも言えるエボニー指板ですが、2012年頃から数年間、環境保護(ワシントン条約など)の観点から良質な木材の確保が難しくなり、「Richlite(リッチライト)」という人工素材が採用されていた時期があります。 紙の繊維を樹脂で固めたエコ素材で、実はエボニーによく似た滑らかな弾き心地と硬質な音を持っているんです。中古で近年モノのCustomを探す際によく出会う仕様なので、ぜひ覚えておいてくださいね!

Les Paul Deluxe

1968年にLes Paul形状が復活した直後に登場したLes Paul Deluxe。

メイプル・トップ/マホガニー・バックでStandardに近い仕様ですが、最大の特徴はミニハムバッカーを搭載している点。通常のハムバッカーよりも小型で、出力はやや控えめながらも抜けが良く、輪郭が明確です。クリーンやクランチでの分離感に優れ、70年代ロックの相性が良く、人気を博しました。

1969年

Les Paul Deluxe発売ボディ:3Pメイプルトップ/パンケーキボディ(マホガニー・メイプル・マホガニー)バック
ネック:3Pマホガニー
ピックアップ:PU-120(ミニハムバッカー)

Standardと入れ替わりで登場したDeluxe。通常のハムバッカーよりも小型のミニハムバッカーを搭載。

 写真は1972年製 

豆知識♪

P-90のキャビティに収まるサイズであるミニハムバッカーは、もともとEpiphone用に開発されていたものでした。

1975年

ボディ:3Pメイプルトップ/パンケーキボディバック
ネック:3Pメイプルネック

他モデル同様、メイプルネックへと移行。

 写真はピックアップ交換の個体

1977年

他モデル同様、パンケーキボディが廃止となり、1Pマホガニーバックへ。

 写真は1978年製

1980年代以降

1985年
製造中止。

1992年
Les Paul Deluxeのリイシューモデルが発売。1997年に生産終了。

1999年
30周年記念モデルが発売。

 写真は1999年製

Les Paul Junior

1954年に登場したLes Paul Juniorは、Standardの廉価版として設計されたのが始まり。大きな特徴はピックアップにP-90を1基のみ搭載している点。図太いながらも歯切れのよいサウンドは、ロックンロールを代表するギタリストたちに愛されました。

1954年

ボディ;マホガニー
ネック:マホガニー
ピックアップ:P-90
シングルカット。シンプルなストップバー・ブリッジを採用。シンプルなコントロールもビギナーが扱いやすいポイントのひとつです。

 写真は1955年製

 写真は1955年製

豆知識♪

1955年
淡いイエローの「TVフィニッシュ」が登場。

これは当時の白黒テレビでの映りを意図したカラーとなっており、このカラーのJuniorは「Les Paul TV」というモデル名になっており、Les Paul Juniorとの区別されていますが、主な仕様は同じです。

1958年

ダブルカッタウェイに仕様変更。これまでのサンバーストからチェリーレッドのフィニッシュへ。P-90やバーブリッジはそのまま継続して採用されています。

 写真は1959年製

1961年

SG Junior
他モデルと同じくSGシェイプへ。

 写真は1965年製

豆知識♪

1960年からSGの名称が使われ始め、SpecialとJuniorが先行していました。
ややこしいのが、ボディシェイプがシングルカッタウェイ→ダブルカッタウェイ→SGシェイプと変化していく中で、モデル名の変更時期は必ずしも一致していないというところ。1960年製のダブルカッタウェイシェイプでカタログ上のモデル名が「SG Special」となっている個体もあります。

Les Paul Special

1954年に登場したLes Paul Juniorは、Standardの廉価版として設計されたのが始まり。大きな特徴はピックアップにP-90を1基のみ搭載している点。図太いながらも歯切れのよいサウンドは、ロックンロールを代表すaるギタリストたちに愛されました。

1955年

ボディ:マホガニー
ネック:マホガニー
ピックアップ:P-90 x2
Les Paulシリーズの中級グレードという立ち位置。TVイエローがスタンダードカラーとして登場しました。

 写真は1955年製、Bigsbyモディファイ

 写真は1956年製

豆知識♪

1960年からSGの名称が使われ始め、SpecialとJuniorが先行していました。
ややこしいのが、ボディシェイプがシングルカッタウェイ→ダブルカッタウェイ→SGシェイプと変化していく中で、モデル名の変更時期は必ずしも一致していないというところ。1960年製のダブルカッタウェイシェイプでカタログ上のモデル名が「SG Special」となっている個体もあります。

1959年

Juniorから約半年ほど遅れてダブルカッタウェイとなりました。チェリーレッドのカラーが加わったのもJuniorと同じ時期。また、ピックアップの切り替えスイッチの位置がフロントボリュームの左下に取り付けられるマイナーチェンジも。(その後操作性を考慮してか、ブリッジ近くに戻ります)

1961年

SG Special
他モデルと同様にSGシェイプヘ。

 写真は1964年製

1974年

Les Paul 55
シングルカッタウェイ期のリイシューとして発売。

完全なレプリカではなく、チューン-O-マティック型のブリッジが採用され、現代的な仕様になりました。

1981年生産終了となります。

1976年

Les Paul Special Double Cutaway

ダブルカッタウェイ期のリイシュー。前述のシングルカッタウェイのリイシューと違って、分かりやすいモデル名です。

 写真は1977年製

他にも色々!Les Paulと名のついたモデルたち

Les Paul Studio

1983年に登場した、もう一つの大定番モデル「Les Paul Studio」。 「初めてのレスポールはこれだった!」という方も多いのではないでしょうか? ボディのバインディングなどの装飾を省くことでコストダウンを図りつつも、メイプルトップ&マホガニーバックというStandardの基本構造はしっかり踏襲しています。名前の通り「スタジオでのレコーディングワーク」にフォーカスした、実用性重視のストイックな一本です。

Les Paul Personal/Professional/Recording

実験的レスポールの系譜

1969年、Gibsonは従来のLes Paulとは一線を画すモデル「Les Paul Personal」を発表します。

ローインピーダンス・ピックアップを搭載したモデルで、EQやディケイドスイッチなど、通常のLes Paulとは大きく異なるコントロールを持つシリーズとなり、1970年にProfessional、1971年にRecordingを発売しました。

レス・ポール氏の実験的な要素をふんだんに取り入れ、スタジオ用途や音響的な拡張性を重視した設計が特徴です。

Les Paul Signature

Les Paul自体がレスター・ウィリアム・ポルスファス氏のシグネイチャーモデルとして発売されたギターですが、更にレスポール・シグネイチャーを冠名にするギターが1973年に発売されました。

ローインピーダンス・ピックアップを搭載したホロウ・ボディ・バージョンです。ピックアップの製作家としても有名なビル・ローレンス氏が製作に関わり、ES-335をベースに開発されました。

ES-335とLes Paulのルックスとサウンドを加味したいいとこ取りのモデルです!

 73-75年製 Les Paul Signature

豆知識♪「Bill Lawrence(ビル・ローレンス)」

そのままブランド名にもなっているビル・ローレンスですが、実は1968年から1972年までGibsonに在籍していました。

コラム「固定概念に囚われないビル・ローレンス」

ひとこと:
Les Paulと一言に言っても、そのモデル展開は多岐にわたります。それぞれのモデルがどのような変遷を経てきたのか、ざっくりとまとめました。掲載している写真はほぼ全てTC楽器に入荷したことのある個体たちです。手前味噌の話になりますが、35年以上の歴史を積み重ねてきた今だからこそ書けた記事だなぁと思います。

この記事を書いた人:小田(TC楽器 ベース担当)

TC楽器にてエレキベースコーナーを担当。メジャーでのバンド活動を経ており、豊富な経験を活かして、ミュージシャン視点に特化した気付きやプロモーションが魅力。メインベースはFender CS Jazz Bass。

保有資格・実績: 楽器鑑定士歴3年、動画出演多数

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