TC-TUNE
アコースティックギターの弦交換方法
アコースティックギターの弦交換で、
「チューニングするとブリッジピンが浮いてくる」
「ピンを強く押し込まないと弦が抜けそうで怕い」
「一応交換できたけれど、正しく張れているかわからない」
と感じたことはありませんか。
アコースティックギターの弦交換は、弦を穴へ入れてブリッジピンを差し込むだけに見えますが、ブリッジの中でボールエンドが正しい位置に収まっていないと、チューニング中にピンが浮いたり、弦をうまく固定できなかったりすることがあります。
今回は、一般的な左右に3個ずつペグが並んだヘッド形状かつブリッジピン式のアコースティックギターを使って、古い弦の外し方からブリッジ側への取り付け方、ペグへの巻き方まで順番にご紹介します。
古い弦を緩める
まずはペグを回し、古い弦を十分に緩めます。
弦に張力がかかった状態でいきなり切るのではなく、音程がなくなるまでしっかり緩めてから外しましょう。
ブリッジピンを抜く
ペグ側の弦を外したら、ブリッジピンを抜きます。
弦を十分に緩めた状態でサウンドホールに手を入れ、ギターの内側からブリッジピンの先端を押し出します。内側から押すとブリッジピンの頭が少し浮くので、そのまま外側から引き抜きます。ブリッジピンを抜いたら、弦のボールエンドをブリッジの穴から引き抜きます。
ペグ側の弦を外したら、ブリッジピンを抜きます。
弦を十分に緩めた状態でサウンドホールに手を入れ、ギターの内側からブリッジピンの先端を押し出します。内側から押すとブリッジピンの頭が少し浮くので、そのまま外側から引き抜きます。ブリッジピンを抜いたら、弦のボールエンドをブリッジの穴から引き抜きます。
掃除
弦がない状態は、指板やフレット、ボディ、ブリッジ周りを掃除する絶好のタイミングです。
クロスを使って、ほこりや汚れを取り除きましょう。
TC楽器やAdvance Guitarsの専用クロスがおすすめです。
私たちも実際に使用している道具なので、安心してお使いいただけます。
クロスの使い方はこちら
ポリッシュの使い方はこちら
また、指板が乾燥している場合は、専用オイルで適度に保湿することもおすすめします。
使用しているオイルはこちら
新しい弦をブリッジへ取り付ける
新しい弦のボールエンドを、ブリッジの穴へ入れ、ブリッジピンを差し込みます。ブリッジピンはピンの溝を弦が通る方向、つまりサドル側へ向けます。
ここで、ブリッジピンを力いっぱい押し込む必要はありません。ピンを指で軽く押さえながら、弦を上へゆっくり引っ張ります。弦を引いた途中で止まり、ボールエンドが引っかかった感触があれば、ブリッジの中で正しい位置に収まっています。
ここで、ブリッジピンを力いっぱい押し込む必要はありません。
ピンを指で軽く押さえながら、弦を上へゆっくり引っ張ります。
弦を引いた途中で止まり、ボールエンドが引っかかった感触があれば、ブリッジの中で正しい位置に収まっています。
ブリッジピンで弦を押さえるわけではありません
アコースティックギターの弦交換で、最も間違えやすいのがブリッジ側の取り付けです。ブリッジピンは、ボールエンドを真上から押さえつけて固定するためのものではありません。正しく取り付けられている状態では、弦を引っ張ったときにボールエンドがギター内部のブリッジプレートへ当たり、そこで固定されます。
ボールエンドがブリッジピンの先端に引っかかっているだけだと、弦を巻いて音程を上げる途中で、ボールエンドがピンを上へ押し出してしまいます。ブリッジピンが浮いてくる場合は、さらに強く押し込むのではなく、一度弦を緩めてください。弦を緩めた状態でピンを軽く押さえ、もう一度弦を上へ引っ張り、ボールエンドをブリッジプレートへ引っかけ直します。
ブリッジピンが浮いてくる場合は、さらに強く押し込むのではなく、一度弦を緩めてください。
弦を緩めた状態でピンを軽く押さえ、もう一度弦を上へ引っ張り、ボールエンドをブリッジプレートへ引っかけ直します。
弦の余らせ方(巻きしろの作り方)
適度な長さを余らせてから巻くことで、安定した巻き数を作ることができます。今回の余らせ方は、次の長さを目安にします。
・6弦・5弦:ペグ約1個分
・4弦・3弦:ペグ約2個分
・2弦・1弦:ペグ約3個分
この長さはあくまで目安です。使用する弦やペグの仕様によって、適切な巻き量は多少変わります。
特にアコースティックギターの3弦〜1弦は切れやすいため、巻き数が少なくならないよう、目安より少し長めに余らせても問題ありません。
巻き終わったときに、ペグポストの横穴が巻いた弦で隠れ、一番下の巻きが横穴より下の部分まで進んでいる状態を目安にしてください。ただし、ペグポストの長さや横穴の大きさによって、必要な巻き数は変わります。弦が重なったり、ペグポストの下からはみ出したりしない範囲で調整してください。
6弦・5弦
弦をペグの横穴に通しヘッドの先端方向へ引っ張り、隣のペグの位置まで引き出します。
その状態から、弦を元のペグ位置へ戻します。これで、ペグ約1個分の余りを作ることができます。
5弦も同じ方法で余りを作ります。
4弦・3弦
4弦
4弦をペグの横穴に通し、ヘッドの先端方向へ引っ張ります。
その後、6弦ペグの位置まで弦を戻します。これで、ペグ約2個分の余りを作ることができます。
3弦
3弦をペグの横穴に通し、ヘッドの先端方向へ引っ張ります。
その後、1弦ペグの位置まで弦を戻します。これで、ペグ約2個分の余りを作ることができます。
2弦・1弦
細いプレーン弦は、巻き数を少し多めに取るため、ペグ約3個分の余りを作ります。
2弦
2弦をペグの横穴へ通し、ヘッドの先端まで引き出します。
左手でつまんだ位置を変えずに、弦を2弦ペグの位置まで戻します。
次に、左手でつまんでいる位置を3弦ペグの位置へ持ち替えます。
そのまま、もう一度2弦ペグの位置まで戻します。これで、ペグ約3個分の余りを作ることができます。
1弦
1弦をペグの横穴へ通し、ヘッドの先端まで弦を引き出します。
その後、1弦ペグの位置まで弦を戻します。この距離が、ペグ約3個分の余りになります。
ペグを巻く
弦をペグに通し、余らせた長さを確保したらペグを回して巻いていきます。
巻く際のポイントは以下です。
- 螺旋を描くように下方向へ巻く
- 巻きが重ならないようにする
- ナットに向かってまっすぐ引かれる状態にする
弦は写真のように力をかけるよう持つことで正しく巻いていくことができます。
弦を軽く引きながらペグを回して巻いていきます。
ペグを90度ほど回したところで、ペグポストから出ている余分な弦を真上へ折り曲げ、シャフトにぐるっと巻き付けます。
その後は、弦がペグポストの上から下へ向かって並ぶように巻いていきます。
弦が重ならないように、軽く押さえながら巻いてください。
余った弦を切る
弦を巻き終わったら、ペグポストから余っている部分をニッパーで切ります。
弦の先端は非常に鋭いため、手やギター、ケースを傷つけないよう注意してください。
切った弦も小さくまとめ、安全に処分しましょう。
巻き数を確認する
弦は、ペグポストの上から下へ向かって、重ならずに並んでいる状態が理想です。
巻き数がちょうど良い状態
巻き数が少ない状態
巻き数が多い状態
巻き数が多すぎると、巻いた弦同士が重なったり、ペグポストの下側へはみ出したりします。
巻き数は多ければ良いわけではありません。
弦が重ならず、きれいに並んでいる状態を目指しましょう。
チューニングする
すべての弦を張り終えたら、チューナーを使って少しずつ音程を上げていきます。
チューニング中は、ブリッジピンが浮いてこないか確認してください。
ピンが浮いてきた場合は、そのまま音程を上げず、一度弦を緩めます。
ピンを軽く押さえながら弦を上へ引っ張り、ボールエンドをブリッジプレートへ引っかけ直してください。
シャフトが短い・穴の位置が低いペグの場合
一部のペグにはシャフトが短いもの、穴の位置が低いものがあり、その場合は十分な巻き数を確保できないことがあります。
特に6弦などの太い弦は、最初の一周だけペグポストの横穴より上を通し、残りを下方向へ巻いても問題ありません。弦の先端を上下から挟む形になるため、短いシャフトでも収まりやすくなります。
まず、弦をペグポストの横穴へ通し、通常どおり巻きしろを作ります。
次に、写真のように持っている弦を、ペグポストの横穴から出ている弦の上へ一周巻き付けます。
上側へ一周巻き付けた状態を保ちながら、ペグを回して巻き始めます。
二周目以降は横穴より下を通るように弦を誘導し、巻きが重ならないよう、下方向へ巻いていきます。
巻き終わると、横穴より上に一周、その下に残りの巻きが並んだ状態になります。
この方法は、シャフトが短く、6弦などの太い弦を下方向だけに巻くと十分な巻き数を確保できない場合に使います。通常の巻き方で問題なく収まる場合は、行う必要はありません。
まとめ
アコースティックギターの弦交換では、次のポイントが重要です。
- 弦を十分に緩めてから外す
- ブリッジピンはサウンドホールの内側から押し出して抜く
- ボールエンドをブリッジプレートへ正しく引っかける
- 弦ごとに適切な巻きしろを作る
- 弦をペグポストの下方向へ整列させて巻く
- チューニング中にブリッジピンが浮いてこないか確認する
特に大切なのが、ブリッジ内部でのボールエンドの位置です。
外側から見ると弦が張れているように見えても、ボールエンドがブリッジピンの先端へ引っかかっているだけの場合があります。
ブリッジピンが浮いてくるときは、ピンを強く押し込むのではなく、ボールエンドがブリッジプレートへ正しく掛かっているか確認してください。
何度取り付け直してもピンが浮く場合や、ブリッジピンが極端に緩い、ボールエンドが穴へ深く入り込んでしまう場合は、弦交換の方法ではなく、ブリッジピンやブリッジプレート側に原因がある可能性もあります。無理に作業を続けず、気になる場合はTC-TUNEまでご相談ください。
この記事を書いた人:茂木(Advance Guitarsスタッフ | 現在:TC-TUNEスタッフ)
楽器への興味と愛情を抑えきれなくなり、楽器業界に飛び込み。憧れでもあったTC楽器に入社した期待の新人。
プライベートではエレキギターを演奏。Advance Guitarsにてアコースティックギターを勉強し、現在リペア部門であるTC-TUNEにてリペア修行中。
保有資格・実績: 楽器鑑定士歴2年
▶︎執筆記事はこちら
Epiphone 黄金時代を築いた職人と名器たち
ギター別 弦の張り方ガイド
▶︎第1回 フロイドローズ
▶︎第2回 Fenderタイプ(6連)
▶︎第3回 Gibsonタイプ(3+3ヘッド)
▶︎第4回 アコースティックギターの弦交換方法
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