「ヘッケルの息づかいを、いま手にできる奇跡。」
最後の継承者べルント・C.マイヤーが作り上げた、現代に活きるヘッケル・モデル。
[概要]
べルント・C.マイヤーC管ロータリー・トランペット、ヘッケル・モデル。40ミリ幅ニッケルトリム付き126ミリ・ゴールドブラスベル。ドラム式ロータリー仕様。11.15ミリ・ボア(実測)。3番ロータリー抜差しバネ式トリガー付き。ニッケル補強管を除きローズブラス材、ローブラス(ノーラッカー)。楽器重量972グラム。1997年頃の製造品。付属品なし。楽器本体のみの販売品です。
[状態]
ノーラッカーのため変色や水滴痕が散見しますが、目立つ赤サビや腐食はありません。その他は小さなアテ痕、薄いスリ痕が点在する程度。各管調整・整備済み。
[特徴]
歴史的工房F.A.ヘッケルの正統後継者として、1996年に前任のアルノ・ヴィンディシュ氏から工具と資料をすべて受け継いだべルント・C.マイヤー。そのマイヤー氏が手掛けた、まさに*今を生きるヘッケル”と呼ぶべき一台です。ヴィンディシュ氏が2010年に逝去し、マイヤー氏自身もすでに製作から退いている現在、ヘッケルの理念を直接継いだ職人の作は、もはや新たには生まれません。
マイヤー氏が製作したヘッケルタイプは大きく分けて2種。第一に、往年のヘッケル・トランペットを可能な限り忠実に再現した“ヘッケル・モデル”。管全体のレイアウト、マウスパイプとベルの形状、スモール・バルブボア、S字支柱など、ディテールまでヘッケルそのもの。さらに、オリジナル同様のドラム式ロータリーと通常ロータリーの2仕様を製作しました。
第二に、オリジナルパーツを用いて製作された完全復刻版F.A.ヘッケル・モデル。フェーダーシュバンナ(ロータリードラムに装備されたバネ調整機構)を備えたドラム式ロータリー、コパー×洋白のツートン・ドラム、40ミリ幅のベルクランツには『F.A.Heckel gem. 』と大きく打刻(下に小さくBerndt C. Meyer Dresden)。しかし、この完全復刻版はストックしていたオリジナル・ヘッケルパーツが尽きたことで早期で製作完了となりました。
今回の入荷品は、完全復刻版のために用意されたと思われるベルやツートン・ドラムのロータリーを備えつつ、フェーダーシュバンナは未装備。ボアも完全復刻版(10.8ミリ)よりわずかに大きい 11.15ミリと、マイヤー氏が並行して製作していたヴィンディシュ・モデルに近い数値です。全体としては、ほんの少しだけボアアップされたヘッケル・モデルといえる構造になっています。
軽快なレスポンス、安定した操作感、そしてオリジナルを凌ぐほどの美しいフォルム。柔らかさと深い陰影を伴った“ウィーン伝統の音”を備えつつ、現代のステージでも活きる一台です。ヘッケルの魂を、現代の舞台で響かせることができる逸品です。