知る人ぞ知る、名門オーケストラが選んだ“幻の名器”。ベンジ太管テナーバス・トロンボーン190F。
[概要]
ベンジ太管テナーバス・トロンボーン。F管オープンラップ・モデル。8.5インチ二枚取りゴールドブラスベル。13.89ミリ・スライドボア。スライド外管、エンドクルーク管ともにイエローブラス製。ゴールドラッカー塗装仕上げ。1990年製造品。付属品:RITTERソフトケース
[状態]
グースネック、スライドバレル、アウタースライド、チューニング管カーブの一部にラッカー塗装落ち。ベルフレア、スライドアウター、エンドクルークにスリキズ点在。凹みや事故歴はありません。管内、ロータリー分解洗浄。軟モノ交換、整備済み。
[特徴]
ベンジと聞いて、多くの方が思い浮かべるのはハンドメイド・トランペットではないでしょうか。実際、同社はアメリカを代表するトランペット・ブランドとして一時代を築きました。しかしその陰で、極めて完成度の高いトロンボーンを世に送り出していたことは、今ではあまり知られていません。190Fは、そんなベンジが1980年代に製作した太管テナーバス・トロンボーンの名作です。
ナロースライドに8.5インチ二枚取りゴールドブラスベルを組み合わせた設計はCONN 88HRを想起させますが、いち早くF管にオープンラップを取り入れ、スライドエンドクルークはラウンド形状を採用しています。柔らかく包み込むような響きの中に、芯のあるシンフォニックな厚みを備え、オーケストラの中で自然に溶け込みながらもしっかりと存在感を示します。その完成度の高さを物語るのが、当時のクリーヴランド管弦楽団のトロンボーン・セクションが、このモデルを含むベンジで揃えていた事実です。流行や話題性ではなく、純粋に「現場で使える音」を評価された結果と言えるでしょう。
現在はメーカー自体が姿を消し、生産も完全に終了。使用者も多くはなく、市場で語られる機会も限られています。しかしその分、当時のクオリティを考えると驚くほどリーズナブルな価格で手に入れることができます。人とは違う一台を探している方、オーケストラでの実用性を重視する方にこそ、ぜひ知っていただきたい“隠れた名器”です。