2007年7月号 - TC楽器 - TCGAKKI
Premium Selections 雑誌撮影こぼれ話
Player Player 7月号(2007年)
Believe in your Partner

絶体絶命!下は荒れ狂う海、そしてこの断崖絶壁から無事生還できるかっ!

おっと、そこに現れたのは相棒のマーシャル!自らの危険をかえりみず、体を張って助け出すのだあ〜。

 
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photo今月はアンプの登場である。ギターほどヴィンテージと騒がれないが、もちろんアンプにも存在する。

我々は代表的な三台を登場させるにあたり、紙面構成と写真、それにメッセージをどうするか、と、またしても悩み始めた。
そして数々の案から決定したのがあの
「ファイトー! いっぱぁーつ!」
であった。

力を描写するのではなく、「良き友」「信頼のパートナー」をメッセージとして描きたかったのだ。
そして構想は膨らむ・・・

photo「誰かが崖で落ちそうになっているのがイイ〜♪」
ふむ、いいだろう。

「崖の上でその相棒を助けているのがアンプ君だね」
ふむふむ、いいんじゃない。

構想は完成した。

続いていつものように難問がでてくる。

どこにそんな崖があるのか・・・、誰が落ちるのか・・・。
おいおい、落ちないだろ!

熟考の後、富田店長に崖落ちの役がきまった。しかし撮影場所が見つからない。

近くの公園など探してみたが、どうもしっくりこないのだ。

だが釣り好きな方からナイスなご意見を頂き、ようやく場所が確定した。

photo都内では桜真っ最中の四月上旬、撮影部隊は動き出した。

午前9時50分アンプと着替え、カメラなどを積み込み新大久保を出発する。

関越道の練馬から高速に乗り、一路新潟方面を走る。

photo途中、三芳パーキングエリアで朝食ストップ。

ふらふらっと中へ入っていくと、ナント!マイセンのカツサンドを発見!

迷わず三個入りのパックを購入した。

photo後は飲み物・・・と自販機の前へ行くと大きく「世界初!」とあるではないか。

いったい何が世界初だというのだ。

近くへ行き、よく見てみる。

「あなたのためにドリップ中♪」

・・・

photo天気の良い朝に世界一のコーヒー片手にマイセンのカツサンドをほおばる我々・・・いとをかし。

とても気持ちよかった。

そして車に戻り、先を急ぐことにする。

高速を降りて川岸を通る一車線道路をゆっくり走っていると、大きな橋が見えた。
photo道筋に小さな駅を見つけ、そこに車を止めて川の様子を確認するため歩いて橋の中央へ。

思っていた以上に川幅があるんだな、これが。
ずいぶんと昔、荒川の土手の広場で野球をしたことを少し想いふけってみる。

さあ、目的地はもうすぐだ。急ごう。

15分ほどして長瀞駅に到着する。

超がつくほど重いブギーのアンプを持って行くのでなるべく川に近いパーキングを探した。
photo[一日500円]

安い!都内では一時間700円とか平気で取られるぞ。

構内へ停めて辺りを見渡すと誰もいない。

ふと目をやると柱に何やら黄色い箱がある。

[料金入れ]

なるほどここは駐車する人の自主性に任せているようだ。(奥に注意書きもあったな・・・)

五百円玉を取り出し箱に近寄ると、下の方に駐車券が置かれている♪

これをダッシュボードに置いておく訳ね。なるほど。

photo荷物を取り出し、起伏の激しい岩畳をブギーのアンプを持って歩く我々。

昼食を広げて楽しんでいる方々を横目にひたすら川を目指す。

 

 

photo撮影現場に着くと早速富田店長の着替え。

周りから熱〜い視線を受けて

強靱な肉体

をさらけ出す[男]富田。

装備はシャツ&パンツは自前で、どこから持ってきたのかロッククライミング用のハーネスやカラビナ、プロテクター、サイクリンググローブ・・・最後にヘルメットを装着して準備完了。

photoアンプを崖上まで持って行き、向きや角度などを調節しながら落ちないように配置した。

富田店長には崖下でスタンバイしてもらう。

足下には平らな場所があるが、万一足を滑らせれば荒川に転落は免れない。

本人からは先ほどまでの笑顔が消えていた。

photoアンプにロープをくくりつけ、そのロープを握り必死によじ登ろうとするクライマー。そんな情景だ。

アンプは友達、親友、相棒であり、お互いが信頼しあって最高の結果を生むものだ。

そんなメッセージを込めてシャッターが切られる。

 

 

photo数分後、富田店長からアイディアがでた。

ロープの代わりにシールドを差してみてはどうだろう。

さすが、アンプ担当?年。アンプの気持ちを知り尽くしている。

どうやらこのブギーは縛られるより

挿される方が好き

なようだ。

photoそしてシールドを使ったバージョンで撮っていると遠くの方で威勢の良いかけ声が・・・。

「あっ」

名物ライン下りの船がやってきた♪

唖然として見ている船頭さん、そして何を勘違いしたのか手を振る乗船者たち。

しばし休憩・・・

photoそしてギャラリーが居なくなったところで撮影再開。

ちょっとしたハプニングで更にやる気を振るわせた富田店長の必死なポーズ・・・。

デジカメのメモリいっぱいまで撮り、終了。

photo装備品の着替えが終わり、疲れた体で「相棒」のアンプを回収し、足場の悪い川岸をよれよれと車の待つ駐車場へ戻っていった。

 

 

photo長瀞の桜を少々楽しみつつ、その場を後にする我々。

 

 

店に戻り、写真を確認する。

「おお、イイじゃない」

「でも、ちょっと迫力に欠けるねえ」

「・・・」

「言ってしまったね・・・確かにそう思うんだよ、しかしここまで苦労したんだからと思って黙っていたんだけど・・・どうする?」

一同に緊張が走る。

「プレミアムセレクションズの広告なんだよね・・・やっぱり中途半端では後悔すると思う。」

皆の眼がキラリと光った。

「その通りだ、中途半端はやめよう。」

力強く拳を握る我々・・・
意志は固く、再考に入った。

写真の見せ方でごまかすのはやめよう。本当に断崖絶壁でなければ緊張感が伝わらない!

photoしかし問題は撮影場所だ。

「そうだ!伊豆にある!」

去年の春、社員旅行で行ったあの場所なら何とかなるかもしれない。

我々には時間がなかった・・・決まりである。

photo多忙を極める撮影部隊と富田店長、スケジュールを確認すると今度の金曜しかない!

天気の状況を確認すると金曜の午前中がチャンスだ、午後には雨が・・・。

撮影部隊は前日の夜に伊豆入りし、富田店長は始発の新幹線で到着予定である。

photo木曜の夜に現地に到着した撮影隊は海沿いに向かった。
しかしここは海・・・真っ暗である。

特大懐中電灯もむなしく足下を照らすだけであった。

仕方がないので早朝に調べることにした。

photoその夜は伊豆の某所で焼き肉を食べたわけだが、これが現実離れした美味しさである。

伊豆に来てなぜ魚じゃないのか!、という質問は聞かなかった事にして、我々のオーダーした食材を紹介しよう。

タン刺し、ミノ刺し、特上塩カルビ、特上ハラミ(たれバージョン)。

ミノの刺身だぞ!

東京の各所で焼き肉屋へは行ったが、さすがにミノ刺しを出すところはここしかない!

photoそれにカルビは厚くてデカくて甘くて柔らかい・・・ああ、腹減ってきた、もうやめよう。

まあなんだ、充実した夕食を堪能したという事である。

 

 

 

さて宿場に帰ったのはなんだかんだで夜中になってしまった。

途中コンビニで買ったビールを飲み、明日に備えて消灯。

午前6時に目覚ましが鳴り、シャワー&着替えの後ピーナッツパンをコーヒー牛乳で流し込み、撮影場所探しに宿場を後にする。

外は良い天気だ、涼しい海風が股間をすり抜ける。いやあ、すがすがしいとはこういう事なのだなあ・・と実感しながら歩いていると、ふと職務を忘れそうになる。

photo海岸線を歩くと宿場のすぐ近くに見事なロケーション発見♪

車を出して他の場所も探してみたがやはり最初の所が一番良かった。

ちょっとだけ危険だがここに決定。

photoそうする内に、富田店長が最寄り駅に到着する時間だ。

午前8時2分、富戸駅にローカル電車が入ってきた。
そしてまばらな人混みに富田店長発見。

早朝からご苦労さまでした。
今朝は5時半起きだったとか・・・。

photo撮影隊と合流するとすぐに現場に向かう。

慣れた手つきで装備の装着を行う富田店長。

着替えと、マーシャルのヘッドとキャビネットを下ろし、高低差のある岩場をゆっくり移動する。

 

 

 

photo前回の反省?から迫力を兼ねて大型アンプを持ってきたのだ。

重い・・・デカイ・・・そんな弱音は一切吐かず、我々の気持ちは常に全力投球である。

しかし現実は甘くない。自然もこちらの都合良くならない。

photoまずは日照の問題。アンプ面とバックの空や海の位置関係から残念ながら逆光である。

そして足場。岩の隆起が激しくアンプが安定しない。

そして一番の問題だったのが風である。

この日は南からの強風で不安定な場所に設置したアンプがあおられてしまうのだ。
持ち運びを考えてキャビネット内部のスピーカーユニットを全部外してあったのが更に不安定さを助長した。

photo万一アンプが倒れようものなら一大事だ。

その方向によっては富田店長を直撃である。最悪アンプが崖から転落しても何とかなるが、富田店長が落ちては・・・背筋がぞっとする。

本場の崖を選んだときに、同時にその危険も選択した訳だ。

細心の注意を払うのと同時に用意した秘密兵器を取り出した。

軍用ライフベスト!

これは右胸の辺りにある紐を引っ張ることで圧縮空気がベスト内に注入され、浮き輪として機能するものだ。

ちょうど飛行機に設置してあるライフベストのようなモノだ。

入手先は秘密だが富田店長が万一海へ転落した場合の事を考え装着した。

photoそして強風の中、撮影がスタートした。

アンプ、人、カメラ、日照の位置を確認しながらシャッターが切られる。

 

 

photo撮っては確認、その繰り返しだ。

デジカメのメモリがいっぱいになった頃、更に強風になったため撮影中止。

 

photoアンプを安全地帯まで移動し、富田店長の無事を確認したところで安堵の息が漏れる。

雑誌の写真だけでは分からない撮影作業の雰囲気が少しでも伝わるだろうか。

こうしてプレミアム・セレクションズ撮影史上、最も危険な場所での撮影は完了した。

photo車に乗り込み帰路につく。途中海老名のサービスエリアで昼食を・・・。

お約束なのでパチッと撮影。桜エビのそば、ショウガ焼き定食、トンカツ御膳を前に本日の撮影内容を雑談ながら落ち着いた時間を過ごした。

photoそして午後2時ごろ、新大久保のお店に到着。

 

お疲れ様でした。

 

 

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