世の中には数え切れないほどのエフェクターブランドが存在します。
ヴィンテージ回路をとことん追求するブランド、最新技術で理想のサウンドを実現するブランド、プロミュージシャンの要求に応えるブランド…皆様もご存知の通りどれも素晴らしいものばかりです。
しかし、その中でも「こんなペダルを作れるのは世界中探してもこのブランドしかない!」と私が断言できるブランドがあります。
それが、オランダ発のブティックペダルブランド DR.NO Effects(公式ページ)です。
DR.NO Effectsの素晴らしき世界
DR.NO Effectsとは
オランダのEindhovenを拠点に、創業者のRoel Aben氏(通称 DR.NO)が立ち上げたペダルブランドになります。
公式サイトによれば、DR.NOは2003年頃からギターペダル製作を開始し、現在に至るまで数々の芸術的ペダルを生み出しています。
なんと言っても私、佐野が大好きなペダルブランドであり、なかなかこれだけのモデルが一気に集合することは珍しく、これが千載一遇のチャンスだと思いこの場を借りてまとめてみたいと思いました。
このコラムでは当店に入荷歴があるものも含め、本ブランドの中でも特に芸術性の高いペダルをご紹介させて頂きます!!
多くのブティックペダルメーカーは”最高の音”を追求しますが、DR.NOはそれはもちろんのこと物語性/造形美/限定性を非常に重視している作品に溢れています。創業者のDr.No自身が「2003年から、芸術のエッセンスを加えながら1台ずつ手作業で作っている」と語っているように、大量生産とは対極である限定代数生産による少数入魂の姿勢を貫いています。
当店のDR.NO Effect製品はこちらから
Necrofuzzicon
“魔法使いシリーズ第一弾!中世に存在した魔導書のような轟音ファズ!”
これがショーケースの中に展示されていると「これは本ですか?」とまずは聞かれます。まさにハリーポッターシリーズに出てきそうな外観。分厚い百科事典のような本に、まさか電源やシールドをブッ刺すなんて誰も想像することができないでしょう。
H・P・ラヴクラフトが創作したクトゥルフ神話世界に登場する架空の魔道書で、禁断の知識や宇宙的存在に関する儀式/呪文が記されたとされる書物である、”Necronomicon”を少し文字ったネーミングも非常にユニークです。ちなみに金属製の筐体でコンパクトにアレンジされた”Necrofuzzicon II”も存在します。
Moon Canyon "Blood Moon Edition"
皆既月食の際に月が赤銅色(赤っぽい色)に見える現象を指すブラッディームーンを表現した作品です。
“月の魅力、漆黒の空に浮かぶワンダームーン!オーバードライブ+リバーブ+ディレイをまとめたマルチエフェクトユニット!”
“音楽を演奏するための機材”としてではなく、”ひとつの物語や世界観を体験するための作品”として製作されたエフェクターです。共同開発者であるギタリストSarah Lipstateの幻想的で映画のような音楽の世界観から着想を得ています。
このペダルはオーバードライブ、ディレイ、リバーブ、エフェクトループといった複数の機能を備えていますが、その目的は単に多機能であることではありません。音を重ね、広げ、変化させながら、演奏者が新しい景色や感情を探検できるよう設計されています。名前の「Moon Canyon(月の峡谷)」も、現実と夢の境界を旅するようなイメージを表しています。
DR.NOは本モデルを”一冊の小説”(外箱が本の形状をしています。)に例えており、演奏者がペダルを操作しながら自分だけの物語を紡いでいくことを意図しています。そのため、決まったサウンドを再現するためのツールというよりも、偶然性や発見を楽しみながら独自のサウンドイメージを創造するための楽器に近い存在といえます。
つまり本モデルのコンセプトは、機能性や効率性を優先させ追求したエフェクターではなく、演奏者の想像力を刺激し、サウンドによる旅や物語を生み出すためのアート作品としてのエフェクターだと言えます。
2018年から2025年までの生産で合計350台限定のモデルです。各リリースごとに25台または50台ずつ製造され、2019年3月21日の満月の日に初リリースされました。そこから50台のハンドメイド限定版が完売するまで販売されました。(2022年以降は、新作開発のため一時的に小規模なシリーズで製造されています。)
Mother Brain
“3つの脳が生み出すヴィンテージディレイサウンド”
「記憶」と「脳」をテーマにしたアート作品として設計されたクラシックで上品なトーンを生み出すアナログディレイペダルです。
なんとノブは"脳ミソ"!? コントロールも"MEMORY(記憶)”、”INSANITY(狂気)”、”PRESENT(現在)”という3つ。アナログらしくディレイ音には丸みがあり、少し飽和しているのが特徴です。ポップなデザインにリアルな脳型オリジナルノブが3つというなんとも言えないコントラストが奇妙です。
DYBBUK "LEGBA VIBE"
“アート作品とヴィンテージUni-Vibeの融合”
まずは外観的特徴であるこの”角”に驚かされます。本物の角?にコントロール部分は本物の骨?
DR.NOは、オカルト、魔術、神話という3つのテーマに深く傾倒していました。彼はこれらのテーマからインスピレーションを得て、SORCIÈREプロジェクトを発足。
そのプロジェクトによって生まれた、パパ・レグバ(Papa Legba)にちなんで名付けられた「レグバ・バイブ」です。
パパ・レグバは、人生の岐路に立つ時、悪魔に魂を売る際に現れる重要な人物です。この取引は多くの恩恵をもたらすと言われていますが、その代償として魂を差し出さなければなりません。パパ・レグバの儀式と特徴が内部のプリント基板に描かれているようです。(残念ながら完璧にゴム足が取り付けられているため、それは所有者のみが確認する事ができるでしょう。)
全250個限定生産で、50個ずつ順次販売されるという発売方法にてリリース。発売当時€666.00で売られていました。本モデルには、手刷りシルクスクリーン印刷が施された美しいデザインのオリジナルボックス、アンティーク調のコットン製収納ポーチなどが付属します。
The Djinn
鬼才DR.NOとアラン・ヨハネス共作による魔法使いシリーズ第二弾ペダル!
第1弾ファズ「Necrofuzzicon/ネクロファジコン」に続き、アラン・ヨハネスとの長年にわたる緊密なコラボレーションを経て、4年かけてついに実現した個性派ペダルです。ブースター?ファズ?それらとは違うペダルです。あらゆる楽器の特性を引き出すエフェクトと表現するのが最も適切かもしれません。隠された魅力が浮かび上がり、トーンはよりクリアになり、楽器のダイナミクスは向上し、このペダルが支配するギター、アンプ、その他のエフェクターから、これまで知られていなかった特性が引き出されます。エフェクトチェーンの最初でも最後でも機能します。信号の特性を色付けするのではなく、楽器やエフェクターの特性を強調し、引き出します。ゲインを高く設定すると、非常に心地よい自然なクリッピングを生み出しますが、信号自体に色付けはしません。温かみを感じる木製パーツ、ヴィンテージテイストのポーチや鳥の足の形をした呪物のようなアクセサリーが一層謎めいた世界観を演出しています。
Road Runner ‘2023
“Octave Fuzz Wah Flying Machine”を掲げるRoad Runnerは、David Catching(別名 Diamond Dave、Darlin' Dave、Davey Jo Snohawk)とのコラボレーションによって誕生したモデルです。本品は2023年製のスペシャルバージョンになります。
ワウペダルで表現できるサウンドの可能性を極限まで追求した超個性派モデルで、甘く歌うオクタビアファズとワウエフェクトを融合。シタールを思わせるエキゾチックで繊細なトーンから、鋭く切り裂くようなヘヴィファズワウサウンドまで、幅広い表現力を備えています。そのサウンドは一筋縄ではいかず、ペダルを踏み込む位置やギター側のボリューム操作によってもさまざまな表情を見せてくれます。まさに“Flying Machine”の名にふさわしい、予測不能で刺激的な一台です。
私は初めて見たときに、不覚にも日本の有名アニメに登場するキャラクターを思い浮かべてしまいました。それほどポップでユニーク、そしてどこか愛嬌のあるルックスも本モデルの大きな魅力です。
Holy Wahcomoly "10th Anniversary Reissue"
鬼才DR.NOが送り出す究極のハンドメイドロッカーワウペダルです。
オランダのペダル業界が誇る鬼才DR.NOによるなんとも独特なデザインをあしらったワウペダルです。本モデルの初登場から10年、長らく姿を消していましたが、スペシャルエディションとして期間限定で復活したバージョンです。インダクターは非常に汎用性が高く、人気の高い、極めてノイズフリーなUltimate Original “Myth” Haloタイプ(600mH)を採用。同ブランドの名ワウペダル"RoadRunner"と同様に、DR.NOがヴィンテージのFlock加工技術(静電気を帯びたFlockを塗布することで、柔らかな質感を生み出す伝統的な加工技術)を採用しています。
キワモノに見られがちですが作りは本格派。3つのサウンドを選択できるロータリースイッチも搭載。消しゴムのようなトップロゴとペダルゴム部分(インクつけたらスタンプにできそう…絶対にやらないでね。)、まるでぬいぐるみのようなベルベット生地に覆われた筐体(ノブやブッシュゴムまでもが…)、もう一度見たら二度と忘れられないような外観です。
KFC Crystal Boost
2017年にリリースされた、"SOUCE DISPENSER”なるクリーンブースターです。
Koen FuとDr. Noによるコラボレーションモデルで、完全ハンドメイドにて製作されています。最初は"KFC"というからオイオイと思ったのですが、Koen Fu’s Customshopの略のようです。KFCによるクリスタルスカルテクノロジーが採用されているという謎のペダルで、公式サイトには次のように記されています。「クリスタルスカルはエフェクター内部に内蔵されています。クリスタルスカルに直接触れたり、30秒以上見つめたりしないでください。クリスタルスカルは筐体を通して信号を送受信するほど強力なため、常に蓋を閉じた状態でご使用いただくことをお勧めします。」確かに内部にスカル(頭蓋骨)がある…私はチェックの為、スカルをつい覗いてしまいました。エフェクトをONした時に目を潰しにかかる巨大なブルーLEDも無警戒に直視してしまわないようにお気を付けください。
Skull Fuzz “Original”
別仕様バージョンはこちら。
“原寸大!?頭蓋骨ファズ!”
本物ではないかと目を疑うほど精巧に作られた頭蓋骨型ファズペダルです。
かつてこんなに"本当にヤバい"ペダルがあっただろうか。
DR.NO氏曰く、このペダルのサウンドは、"悪魔が巨大な砥石でトライデントを研ぎ澄まし、重く輝く金属の破片をロケットのように打ち上げ、焼け焦げた大地に降り注ぐ、途方もないノイズを想像してみてください。その破片は、頭蓋骨が散乱する闇の世界へと降り注ぎます。数百万もの魂が呻き、耐え難い苦痛に叫び声を上げながら彷徨う…"とのこと。
コントロールは2つの目玉!大きさはちょうど子供の頭蓋骨ほど…夜、自分の部屋でこのペダルに睨まれたりしたらかなり怖いですね。
TVL Octavia
“今にも動き出しそうな心臓!”
"DR.NO"とモデルのネーミングにもなっているギタリスト、トロイ・ヴァン・リューウェン(Troy van Leeuwen)氏によるオクタヴィアタイプのファズペダルです。
ジミ・ヘンドリックス、バンド・オブ・ジプシーズの"Who Knows"の終わりのソロで聞かれるギターサウンドがまさにオクタヴィアです。特に12フレット以降で魔法のオクタヴィアトーンが炸裂します。50台限定で生産されたものですので、国内はもとより海外でもなかなか見つからないファズペダルとなっています。精巧な小さなスカルノブとエフェクトONで点灯する、鼓動が聞こえてきそうな心臓!?にはまさに度肝を抜かれてしまいます。
THE TURD
“説明不要!禁断の変態ファズ!”
強烈なインパクトを誇るウ◯コ型ファズペダルです。なんだこれ?うっ、汚い!臭い!とつい言ってしまいそうな強烈なインパクトのある外観を持つファズペダルです。こんな見た目な上にド迫力の王道タイプで、コントロールは一切無し。(ファズサウンドは完全固定となります。)なんてったって問答無用でウ◯コだから。ここぞとばかりにしっかりしがみ付いているハエさんがLEDというもの凄さ。
その昔は観光地のお土産物屋さん、よくヴィレバンさんなんかに置いてありそうな個性溢れるアイテムが何故かファズになったイメージである…。エフェクトをONにする為には、このウ◯コを上から力一杯"グイッ!"と踏みつけなければなりませんよ。その感触に抵抗がある人にはこのペダルは使いこなせません。
当店に最初入荷したのがTHE TURDだったので、どんな奇特で変態なブランドなんだろうと思ってしまいましたが、その後知る数々のペダルは全て度肝を抜かれるような芸術作品(!!)ですべてストーリーや夢を感じるものばかりでした。
DR.NO Effectsは、単にサウンドを色付けするためのエフェクターブランドではなく、サウンドとアートを融合させた超個性的なブティックエフェクターブランドだと個人的には思っています。
そのため、定番であったり無難なサウンドを求めているユーザーよりも、自分だけの個性や表現を大切にするユーザーに向いているのではないかと思っています。
特にファズであってもディレイであっても独創的なサウンドを追求する人との相性が良いブランドです。
製品一台一台に独特なデザインやストーリーが込められているため、機材そのものへの愛着や所有する喜びを重視するユーザーに支持され、愛され続けています。誰も持っていないような超個性的なペダルが欲しい、DR.NOに共感を得られた方は是非手にとってみて欲しい作品ばかりです。
総じてDR.NO Effectsは、”音作りのための道具”というよりも、”自分らしいサウンド表現を形にするための1アイテム”を求めるユーザーに適したブランドだと言えるでしょう。
動画を公開させて頂いているモデルに関しましては、ほとんどのモデルをTC楽器にて販売中です!是非店頭にてこの素晴らしい作品たちに直接触れてみてください!!
当店のDR.NO Effect製品はこちらから
この記事を書いた人:TC楽器 店長代理 佐野(さの)- マニアックエフェクター鑑定士
業界屈指のレコード好きとしても知られ、主に‘70sハードロック/プログレッシヴロックに精通。愛器はGibson Flying V。レトロゲームのコレクターとしてもその界隈では有名。
TC楽器不動のエフェクター担当として、年間2,000台以上のエフェクターを査定・検品するエフェクター・マスター。
保有資格・実績: 楽器鑑定士歴20年、ギターマガジン等への執筆・監修協力
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