この度は大久保管楽器店にてフルートをご購入いただき、ありがとうございます。楽しいフルート・ライフを送っていただく為には、日常の正しいお手入れが必要不可欠。ここでは、楽器の組み立て方と、日常のお手入れ方法をまとめています。
赤字部分は、特に気をつけて戴きたいポイントです。お使いになる前に、目を通してくださいね!
《フルートの組み立て方》
※楽器を触る前は手を綺麗に洗いましょう。洗面所が近くにない場合は、ウェットティッシュやハンカチで手のひらの汗をしっかり拭き取ってください。手汗は、管体の汚れやメッキの傷みの元になるだけではなく、キィ不良の原因にもなります。
●楽器をケースから取り出す際は、キイやリッププレート部分を握らないように気をつけましょう。
●指輪をしたまま握ると、ご自分でも気づかないうちに楽器にキズをつけてしまうことがありますのでご注意ください。
●頭部管のヘッドキャップとリッププレートのあいだの管内にコルク栓・反射板が入っています。この反射板の位置がずれていると、音程のバランスが崩れてしまいます。
●掃除棒の先端に一本線がはいっています。コルク栓・反射板の位置がずれていないか、これで簡単にチェックができます。
掃除棒の線が入っている方を、先端が反射板に当たるまでそっと差し込みます。
リッププレート中央の穴=歌口の真ん中に掃除棒の線があれば正しい位置です。もし左右どちらかにずれていれば、楽器店で診てもらいましょう。
ご自分で調整するのはお勧めできません。ヘッドキャップが緩んでいる場合は、軽く閉めるだけにしてください。
●ジョイント部分は、たとえ小さなゴミでも異物がついたまま接続するとキズがついてしまったり、抜き差しがきつくなる、さらには抜けなくなる事もあります。
組み立てる前に毎回、ジョイント部分の内側・外側両方をキレイな布で拭き取ってください。
●足部管と主管を組み立てます。それぞれの手の人差し指と親指の間にキイの芯部分をつつみこむようにしてやさしく持ちます。斜めから接続しないように充分に注意してください。体の正面にジョイント部分を持ってきて接続すれば、まっすぐに差し込む事ができます。
足部管のキィカップがついている心棒と主管のキィカップの中心が同一直線上に並ぶ位置が基準となります。
●主管と頭部管を組み立てます。主管はキイの少ない部分をやさしく持ち、頭部管はリッププレートを避けて持ちます。斜めから接続しないように、体の正面に楽器を持ちまっすぐに接続します。
歌口の中心と主管のキィカップの中心が同一直線上に並ぶ位置が基準となります。
●ジョイント部分は非常に繊細な部分で、斜めに接続すると曲がってしまいます。息の流れに影響し、音程や音色のいい状態を保つ事ができなくなりますので、組み立て・分解の際は十分に注意してください。
《演奏後のお手入れ》
●組み立ての時と同じように、キイに注意しながら分解します。分解するときも、斜めに抜かないよう楽器を体の正面に持って少し回しながら引き抜きます。
●掃除棒の穴に柔らかく清潔なガーゼ(淵が縫われたガーゼハンカチのタイプ)の端を少し差し込み、掃除棒の先端が出ないようにガーゼをかぶせます。掃除棒が露出しないように、一定方向に回しながら掃除棒にガーゼを巻きつけます。
●掃除棒を、ガーゼを巻きつけたのと同じ方向に回しながら管内の水分を拭き取ります。頭部管の水分がとりにくい場合は、掃除棒に最初に通すガーゼの端を、ガーゼを巻きつけるときに外に出しておきましょう。一旦ガーゼの巻きと同じ方向に回した後、少しだけ反対方向に回し、再度同じ方向に回すとキレイに水分を拭き取れます。
●ガーゼは定期的に交換をしてください。ガーゼがほつれたり破れた場合は新しいものに買い換えてください。
※管内の水滴は演奏中もどんどん溜まっています。トラブルを防ぐためにも、水滴がもっとも溜まりやすい頭部管の拭き取りは、練習の合間にも行ってください。
●長時間吹いてタンポに水分が着いた場合、クリーニングペーパーでタンポについた水分をとります。タンポとトーンホールの間にクリーニングペーパーを差し込み、何度かパタパタとキイを動かします。
このとき、キイを閉じたままクリーニングペーパーを引っ張らないでください。タンポが痛むだけでなく、クリーニングペーパーがちぎれてタンポにくっついてしまします。
●クリーニングペーパーに粉がついた【パウ○ーペー▲ー】が販売されていますが、お勧めできません。
※一時的にはベタつきが収まっても、タンポに残ってしまった粉が水分や汚れを呼び寄せてしまい、タンポの寿命を縮めたり、調整が狂う原因となります。
●フルートのタンポは非常に繊細な為、クリーニングペーパーを頻繁に使うとタンポの表面が傷んで寿命が縮む事があります。
クリーニングペーパーを使用するのはタンポに水分がついた時だけにしましょう。
●柔らかく綺麗なクロスで楽器を拭きます。キィやカップはとても繊細です。
カップ部分を拭くときは、矢印の方向に、優しく拭き取ってください。
●手汗や脂分が取れにくい場合は、市販のスプレーボトルに消毒用エタノール(無水エタノールは要希釈)を入れて、クロスに軽く吹き付けてから拭き取ると良いでしょう。
●楽器を拭くときなどにクロスや指が引っ掛かり、バネが外れてしまう事があります。急に変な音しかでなくなった!と思ったらバネが外れている可能性がありますので楽器店で診てもらいましょう。
●キィや管体のくすみや黒ずみを取りたい場合は磨き剤を使いますが、キィパイプの隙間部分に磨き剤が入り込み、キィ不良の原因になることや、タンポに磨き剤が付着し傷めてしまうことなどがあります。なるべく楽器店で磨いて貰うのが良いでしょう。
●ご自分で綺麗にしたい!という場合は以下の点に充分注意してください。
・直接楽器に磨き剤をつけるのではなく、柔らかく繊維の細かな布に磨き剤を極少量(米粒大)馴染ませてから磨いて下さい。
・キィ部分の磨きは特に注意が必要です。キィパイプの隙間部分は磨き剤が少量でも入り込むと、キィ不良の原因になります。隙間部分は避けるのはもとより、キィ部分は無理に磨かないようにしてください。
・タンポに磨き剤が付着しないようにしてください。
・最後に必ず乾拭きをし、細かい部分には綿棒などを使い、磨き剤を残さないようにしましょう。
●サイズの合ったケースに優しく楽器を入れましょう。
楽器とケースの間にガタつきがあると、持ち運びの間に楽器が振動を受けやすくなり調整が狂う原因になります。
●足部管・頭部管の向きは合っていますか?特に頭部管は逆向きでも、押し込むとケース内に収まってしまうせいか、間違って仕舞っている方が意外に多いようです。リッププレートやキイに負担がかからないよう、正しくケースに収めてください。
●楽器の上に楽譜や物を乗せてケースを閉めないでください。キイが歪み、バランスが崩れてしまうことがあります。
●ケースのチャック、留め具の閉め忘れにご注意を!いったんケースに入れたら、すぐにチャックや留め具を閉める習慣をつけましょう!
●ケース内、管内に湿ったガーゼなどを入れたままにしないでください。湿気で調整が狂いやすくなりますし、カビの原因にもなります。使ったガーゼは、ケースカバーのポケットにいれましょう。
●楽器から離れるときは、いったん水分を拭き取ってから楽器をケースにしまってください。楽器から離れる=演奏しない時間です。
無防備に水分を残したまま楽器を放置しないようにしましょう。
●楽器をイスや机の上に置いたまま席を外さないようにしましょう。非常に危険です。
●自転車のカゴ、車のダッシュボード、電車の網棚などには楽器を置かないで下さい。振動で調整が狂う原因になります。必ず肩に掛ける等、楽器になるべく振動が伝わらないようにしましょう。
●夏の暑い時期でなくても、自動車内は高温になってしまいます。タンポの痛みの原因になりますので自動車内に楽器を放置しないでください。
いかがでしたか?
フルートの基本的なお手入れ方法は以上です。
わかっていても、ついついお手入れをサボってしまう。そんなことありませんか?
日ごろのメンテナンス次第で、調整が長持ち。調整費用もお安く済みます。
正しいお手入れ方法を身につけて、演奏を楽しんでください。