アコースティックギター 「へ~!!」と言わせる小話50選
TC楽器で一番の食いしん坊ことスタッフ新沼が語るアコースティックギターに関する小話!
「当然知ってるよ!」そんな簡単な小話から、本気の「へ~!!」まで!ドーンと集めました小話50選!
ぜひご一読くださいませ!!
第1弾! アコースティックギターと言えば、やはりこの2大ブランド!【Martin】と【Gibson】に関する小話を絞り出しました!その数50話!!
「Martin ドレッドノートってどんな意味かしら?」
ギターのボディサイズの表現として登場する「ドレッドノート」。
これってどういう意味なんでしょう?ご説明いたします!
「ドレッドノート」はMartinギターのとあるサイズのギター。まさに主力となるこの「ドレッドノート」は全売上の80%を占めるそうです!
写真は弊社店頭にございます1948年製のD-28!超ド級です! |
オリジナルは1916年に登場します。
Martin社が取引先のディッドソン社専用に製作したのがその始まり。そうです。オーダーの特殊なモデルとしての登場だったのです!
当時は小型のギターが主流。「なんだこのデカいギターは!?」きっと誰しもがそう思ったのではないでしょうか!?
そのデカさと驚きから、当時のイギリス海軍の超大型戦艦「ドレッドノート号」の名前で呼ばれるようになったのです!
ちなみに日本語でも「超ド級!」などと表現しますが、この「ド級」の「ド」は「ドレッドノート号」のことなんです!
その後ディッドソン社廃業後の1931年、改めてMartin社の正式なラインナップとしてD-18とD-28が製造される様になるのでした。
「Martin D-35の誕生秘話」
Martin社が誇る伝統的な3モデルと言えばD-18、D-28、D-45の3モデルが思い浮かぶと思います。
この3モデルとは異なった個性で長年に渡って高い人気を誇るモデルといえば・・・そうです「D-35」です!
「D-35」は1965年に3ピースバックのモデルとして登場しています。
基本的にMartin社のギターはバックは2ピース。
3ピースと言えば1800年代中期のMartin社の歴史の最初期にシュタウファーモデルまで遡らないと存在しませんので、実質3ピースバックの初めてのモデルは「D-35」と言っても過言ではありません。
1960年代、モダンフォークブームによってMartin社のギターは生産も追いつかないほどに売れまくっていました!
ギターの主なスペックはハカランダ単板でした。
これらの木材は丸太から四分の一しか採れない「クォーター・ソウン」と呼ばれる「本柾目」を使用しておりました。なんとも贅沢!
当時ハカランダのストックも乏しくなってきておりました。
ある日、Martin社のコンピューター部門で働くボブ・ジョンソン氏が小さな板からでも木材の供給が期待できる3ピースバックを提案します。
このアイディアに社内では猛反対!それもそのはずボブ・ジョンソン氏はギター製作に関しては全くのド素人!
それでも一応作ってみるかとできた試作品。これが低音の抑えられた落ち着いた音色のギターとして完成してしまったのです!「D-35」の誕生です!
写真は弊社の1969年製の「D-35」、せっかくですから後ろ姿をご紹介です! |
1970年代の中頃にはD-28をも超える販売台数を叩きだしてあっという間に人気モデルとなってしまいました!
反対しつつも試作品を作った製作チーム、なによりコンピューター部門から意見がでるなどMartin社のフレキシブルな仕事っぷりが銘器を生み出すきっかけになっていたなんて、何だか良い話ですよね☆
「すいません、間に合わないんで3年待ってもらえますか?」
第二次世界大戦後のアメリカの反映は人々の生活も潤し、アメリカン・ミュージックも大きく発展していきました。
もちろんフォーク・ムーブメントを先駆にアコースティック・ミュージックに対する大衆の関心の高まりもうなぎのぼり!
1948年頃から1970年代までのおよそ30年間、Martin社はかつてない成長を遂げておりました。
そのためにMartinギターの需要は製造能力の限界を遥かに上回り、1960年代にはバックオーダーがなんと3年分以上あったそうです!
写真は1965年製のD-28です! |
どうやら製造能力が上がらなかった原因は工場設備にあったようです。
何度も増改築された工場は複雑に入り組み、階段も多く効率とはほど遠い施設であったそうです。
1964年、ついに当時のMartin III世が大掛かりな工場建設に着手し、新たな時代へとすすんでいくことになりました。
このギターも発注から複数年待たされていたのでしょうか?
「Martin D-28のバック・ストリップ」
Martinギターの中でも最もポピュラーで人気の高いD-28。
このD-28のバック材、センター部分の接合材を「バック・ストリップ」と呼びます。
実はこの「バック・ストリップ」には2種類のデザインが存在します!
写真右側が通常見かける柄通称「チェッカー」です。 |
1947年以降のD-28で標準使用されている柄です。
そして問題の2パターン目が写真左側の通称「ジグザグ」!
1934年~1947年までの間に生産されたD-28に使用されている柄なのです!!
もし何気なくお持ちのD-28の「バック・ストリップ」パターンが「ジグザグ」だったとしたら・・・
こりゃ大事ですよ!!!
「Martin 接着剤にご注目!」
Martin社では1975年を境に接着剤が変わります!
それまで使用されていたのは動物性の接着剤【ニカワ】であったものが、近現代では定番の工業用接着剤【タイトボンド】に変わります。
どちらが良いかと言う話題になると、小話ではなくとてつもなくデカい話になってしまいますので置いておいてw
やはりクラシカルな【ニカワ】が良い!
そんな方は1974年製までの1本を!
いやいや、ボクは接着剤なんて気にしないよ!その個体の良さを感じたいんだ!
そんな方は1976年製以降をぜひ!
写真は1976年製のD-28! |
接着剤がどっちかわからないなんて、ドキドキですよ!
そんな方はぜひともピンポイントの1975年製をお探しください!
ほら!どことなく接着面の雰囲気が・・・いや見ても分かりません。
「Martin ピックガードの素材」
Martin独特のティアドロップ・スタイルのピックガードはスチール弦とピックの使用が普及しだした1930年代にオプションとして登場し、ドレッドノートの人気とともに標準仕様となっていきました。
ピックガードを付け始めた当時は「本べっ甲」も使用しておりましたが、ほとんどはタータスシェル・カラーのセルロイド。
1967年にアセテートの黒のピックガードに変更されていきます。
当時は輸出入の条例があるわけでもなく、外観も豪華な「本べっ甲」の使用が中止になったのには理由がございます!
「本べっ甲」、カメの甲羅は水の中にいれても膨張伸縮しません。対してギターのトップ材は湿度や温度の変化で毎日の様にわずかな膨張伸縮を繰り返しています!
写真は1976年製のMartin D-28! |
変化しない「本べっ甲」と変化するトップ材が貼り合わさっているのですから、さぁ大変!
トップ材のヒビ割れにつながってしまうのです!
ではなぜピックガードの素材がセルロイドに統一されたかというと、木材の変化率に一番近しいのがセルロイドだったからなのです!
クラフトマンの経験と研究、スゴイです!
セルロイド製、黒のピックガードとなります!
「Martin スモールピックガード」
ピックガード、ごくごく自然にアコースティックギターには付いているものと思いがちですが、元々はオプションとして存在していて、オーダー時に取り付けの有無をユーザーがセレクトしておりました!
写真は戦前のスタイルで製作されているOM-28Vです! |
そんなピックガードを標準装備としたのは実はMartin社なのです!
1929年に誕生したOMモデルが最初!
小ぶりなティアドロップタイプでべっ甲柄セルロイド製のピックガード「スモールピックガード」でございました!
もちろん「スモールピックガード」です!
「Martin ピックガード遍歴」
ギターのトップを弾きキズから守ってくれるピックガード。
外観を彩る装飾品としても必須。アコギ界の最高峰Martin D-45にも勿論搭載されております!
ここでちょっと考察。年式によって異なるピックガード、あなたのMartin D-45のピックガードは黒?べっ甲柄?
【1932年頃~】
この頃からピックガードがオプションで付けられる様になりました。
1934年からはトートイズ(べっ甲柄)ピックガードが標準装備となります。
戦前のD-45には同タイプのものが採用されております!
【1966年頃~】
この年からべっ甲柄から黒色アセテートのピックガードに変更されます。
1968年に再生産されたD-45も当時の仕様に合わせ黒を搭載。
ボディに塗装をする前に接着されておりますので、塗装はオーバースプレー。
【1985年頃~】
ピックガードの色は黒。
しかし1984年までは前述の塗り込みピックガードでしたが、これが原因で塗装クラックを生じやすいという事案が発生。
1985年からは塗装後のボディにピックガードを貼る方式に変更されました。
【1980年代中期~】
べっ甲柄ピックガードが1983年発売のD-45Vを筆頭とする一部のヴィンテージ・リイシュー・モデルで復活。
90年代に入るとこれが標準装備へと変わっていきます。
材質はアセテート製からナイトレイト製へと変更されました。
写真は1988年製のD-45のピックガード! |
黒色で塗装面の上に貼ってあるモデルとなります。
D-45に限らず、お持ちのMartinのピックガードをぜひ一度チェックしてみてください☆
「Martin 微妙なペグの差異」
Martin社のギターの中でもとりわけ人気の2機種D-28とD-18。
この2機種は生産開始依頼様々な微細な仕様変更を遂げていますが、外観上でもあきらかなものに【ペグ】の変更がございます!
どちらも共通で1979年から2007年は【シャーラー】が搭載されていますが、実は1992年で外観はわずかながらも大きな仕様変更が行われております!
1979年から1991年までは【シャーラー】ですが、なんと1992年~2007年は【ゴトー】社のシャーラー・タイプのペグなのです!
写真左は1990年のD-18!【シャーラー】です! 写真右は2001年のD-28!【ゴトー】です! |
汎用性のパーツはそれぞれメーカーロゴが入っていますので一目瞭然なのですが、どちらも【Martin】ロゴのため、パッとみてもどちらか分からないのです!
しかし、2社のペグを並べてみると・・・あら!けっこー違います!
比べると【ゴトー】の方がロゴが入った正面の面積が大きく、ペグに繋がるシャフト部分も角度の付いた円錐形であることが分かります!
だからって、どっちが良いとか悪いとかの話ではないのでどちらでも良いんですが、みなさんもお持ちのギターのペグを一度確認して見て頂ければ面白いかと思います!
「Martin ヘッド裏に銀色に輝くステッカー」
1970年代のMartinギターを手にすると、まれにヘッド裏に【銀色に輝くステッカー】を見つけることができます。
これ、Martinを日本で始めて輸入販売した【カワセ楽器】さんのステッカーです!
正規代理店が輸入・調整・管理していますよ!
そういう意味合いを込めてヘッド裏に貼ってあるんです!
当時のMartinファンからすれば、【カワセ楽器】はまさに聖地!
当時学生で買えなった、けれども今なら買えるんです!
そんな思いを心に秘めながら1970年代のMartinをお買い上げになる方!
このステッカーを見て当時を思い出し、偲ぶこともあるのではないでしょうか☆
「Martin D-28ブリッジとサドルの遍歴」
ブリッジは弦振動をボディに伝える重要なパーツです!
D-28には今日まで【ベリー・ブリッジ】が搭載されております!
これまでにブリッジの上下の高さ、サドルの仕込み角、ブリッジ・ピン・ホールの位置、と微細な変更が数多く行われております!
その理由はブリッジの強度を向上させるためやチューニングの安定感や正確性を求めてのことなんです。うーん、企業努力!
写真右は2011年製のD-28、そして写真左は1948年製のD-28!
左の1948年製は少し高さも低いですし、サドルも横長のロング・サドル!
この写真1枚でもだいぶ違いますね☆
「Martin ヘッドストックの移り変わり その1」
ヘッドストックにはギターメーカーが各々形状に特徴を持たせ、独自性を主張する重要な箇所です!
Martinのヘッドストックは上部が角ばり、下部に連れて細くなるシンプルなデザインです!
その表面には一貫して【CF Martin&Co.EST 1833】の文字が記されております!
年代によって全体の幅、角の形状、ロゴの書体などに変化がありますが、今日は1950年代と1960年代のヘッドを見比べてみましょう!
写真右側は1950年代のヘッドストックです!
幅が少し狭く、角も若干丸い形状です。
対して写真左は1960年代のヘッドストック!
1950年代よりもわずかに幅が広く、角はさらに丸くなっています!
ヘッドの特徴で音色が変化するわけではないのですが、年式による違いは面白いですよね☆
「Martin ヘッドストックの移り変わり その2」
Martin ヘッドストックの移り変わりをご紹介です!
1970年代~1980年代、そして1990年代以降のヘッドをご紹介です!
写真左側は【1970年代~1980年代のヘッドストック】です!
1960年代に一旦少し狭くなった幅は再度広めになり、角が少し尖った仕様になっております!
対して写真右側は【1990年代以降のヘッドストック】!
角がさらに尖ってきてシャープな外観に!写真のロゴはヴィンテージスタイルですが、1994年からはロゴが金箔に変更されます!
現行品のヘッドがやけにピカピカしている印象を受けるのはこの金箔の影響も大きいですね☆
「Martin フォワード・シフテッド・Xブレーシング」
トップ材裏面に組み木されている【ブレーシング】、サウンドに多大な影響を及ぼしますので、ギターにとって非常に重要な箇所であります!
Martinで最も有名なものは【Xブレーシング】です。
この【Xブレーシング】の中でも1934年~1938年までの期間で採用されていた組み木は通称【フォワード・シフテッド・Xブレーシング】と呼ばれております。
元来トップ材の強度を保つために用いられておりましたが、ブリッジと干渉して振動率が悪くなってしまうことを受け、ややサウンドホール側へ移動させることになります。
これが【フォワード・シフテッド・Xブレーシング】です。
【フォワード・シフテッド・Xブレーシング】は高音から低音までのレンジが広くのが利点ですが、反面強度に疑問符が付けられたり、サウンドそのものが輪郭を失い、拡散してしまいがちと言う意見もあります。
どちらが良いというよりも好みと言えるかもしれません。
近現代でもリイシューモデルなどには積極的に【フォワード・シフテッド・Xブレーシング】が採用されておりますので、ぜひともギター選びの際の一つの項目にしてみてください!
写真は2つのブレーシングを並べて撮影したものです!
左が【フォワード・シフテッド・Xブレーシング】!なんとサウンド・ホールの中に【ブレーシング】が見えております!
「Martin C.F.Martin の C.F って何だろ!?」
Martinギターのロゴには「C.F.Martin」と表記がありますが、この「C.F」ってなんでしょう?
実はMartin社の正式名称は「C.F.Martin&Co」となり、創業者の「クリスチャン・フレデリック・マーティン」の名前を冠しているのです!
ファミリー経営を主としている「C.F.Martin&Co」、現在も代々ご家族が社長さんでいらっしゃいます!
写真はMartin 000-42の縦ロゴ!「C.F」が確認できます☆
「Martin GOLDEN ERAってなんぞや?」
写真は弊社のD-18GE、「GOLDEN ERA」の1本です! |
「GOLDEN ERA(ゴールデン・エラ)」とは「古き良き黄金時代」を表す言葉として用いられております。
Martin社では1930年代初頭から1940年代の中期頃までに製作していた、いわゆる戦前モデルを復刻したシリーズに付けられる名称です!型番の最後にGEと付きますので非常に分かりやすいんです!
「Martin ロッドの遍歴」
長年ギターを製作していく中で直面する木材の曲がりによる「ネックの反り」。
Martin社ではなんとか曲がらないネックを作れないものかと試行錯誤、1934年に初のロッド「T型スチール・バー」をギターに採用します!
さらに1967年にはD-28のネックに埋め込まれていた「T型スチール・バー」が「四角型スクエア・バー」に変更されます。
現在通称「SQロッド」と言われるのはこの「四角型スクエア・バー」の「スクエア」部分をアルファベットで表記しているためでございます!
ちなみに「T型スチール・バー」から「四角型スクエア・バー」への変更は工作上の問題であったと考えられております。
同様の強度が保たれるのであればより効率的に製品を製作できる方法を研究していたんですね!
そこからさらに時間は流れ、1985年にはMartin社のギターのロッドはさらに革新を経て「アジャスタブル・ロッド」へと変更されていきます!
こちらは現在広く「トラス・ロッド」と呼称される物であり、仕込まれた金属の棒をレンチで回しネックの曲がりを補正するという画期的なシステムでありました!
趣味・主観もありますが、やはり「SQロッド」の方がネック内の密度など含め音響的に良いと言われることが多いかと思います。
反面、四季があり年間を通して気候変化の激しい日本では、その度ネック・コンディションを調整できる「アジャスタブル・ロッド」が重宝されます。
どちらが絶対に良いということはありませんので、皆様のご使用用途で「SQロッド」のギター、「アジャスタブル・ロッド」のギター、どちらを手にするか決めるのも楽しみの一つではないでしょうか☆
図は上から「T型スチール・バー」、「四角型スクエア・バー」、「アジャスタブル・ロッド」の断面図でございます!
「Martin ネックのジョイント」
Martinの「ネック」についての小話です!
ギター製作当初から材料は一貫してマホガニー材が使用されておりますが、ネックの形成はクラフトマンの手作業であったため、同様のモデルでも微妙にサイズの違いなどがございました。
当初全て「12フレット・ジョイント」でギターが製作されておりましたが、1929年にバンジョー・プレイヤーであるペリィ・ベクテル氏のアイディアで「14フレット・ジョイント」のモデルが誕生し、現在のスタンダードな形が出来上がりました。
試作品を経て完成された初の「14フレット・ジョイント」の機種は「OM-28」でございました!
写真は1970年製の「12フレット・ジョイント」のD-28Sです! |
その後も「12フレット・ジョイント」のギターはもちろん存在いたします。
D-28など「12フレット・ジョイント」と「14フレット・ジョイント」のモデルが混在していきます。
「12フレット・ジョイント」はボディサイズもやや大きく、サウンドもよりふくよかな事が特徴となりますので、ユーザーが好みなギターを選ぶ基準の一つになっていくのです!
「Martin 特徴的なインレイ 」
D-45やD-42のヘッドで見られる、いわゆる「C.F.MARTIN」が縦書きで表記されているロゴを「タイプ・フェイス・インレイ」と呼びます!高級機種にのみ採用される、まさに良いギターの証!w
指板上に施されたポジション・マークにも特徴的なインレイが3種類!
まずは雪の結晶型の通称「スノーフレーク・インレイ」!
さらに四角や菱型に切り込みを入れてダイアモンドを型どったものは「ダイアモンド・インレイ」!
そして猫の目の様な切れ長のデザインのものは「キャッツアイ・インレイ」と呼ばれます!
写真は弊社のMartin D-42!
ナント上記4種のインレイ全てを兼ね備えた豪華絢爛モデルです!!
「Martin TREE OF LIFE 」
Martinギターの中でも非常に特別なモデルの指板、ピックガード、ブリッジに施される装飾があります。
その名も「TREE OF LIFE」!
つる巻き状の「生命の木」を表したパール・インレイとなっております!
中々「TREE OF LIFE」を生で見る機会はないの・・・
あれ!!!!!
弊社店頭にございます!!!
1993年製 D-45 Deluxe に「TREE OF LIFE」が施されております!!
もはや芸術品です!一見の価値あり!
「Martin ヴォリュート」
ネック背面のヘッド根本部分に設けられた突起、これを「ヴォリュート」と呼びます!
Martin社ではその形状から「ダイアモンド」とか「トライアンギュラー」などとも呼ばれております。
従来はナット部分でのネック折れを防止するためのものと考えられていましたが、近年ではヨーロッパのクラシックギターに多く見られるデザインを受け継いだ装飾としての意味合いが強いと言われております。
「ヴォリュート」があるとゴージャスでカッコいいね!ということです☆
写真はMartin D-28の「ヴォリュート」!
ちなみにD-35には「ヴォリュート」が付いておりません☆
だからと言ってカッコ悪くはないですが、並べるとなんとなくさみしい!
「Martin トップ材 スプルース」
アコースティックギターを弾いた瞬間、弦振動を受け振動を起こすギターの音作りのまさに入口となるトップ材。
そのトップ材の中でも圧倒的に使用されているのが「スプルース」となります。
「スプルース」はマツ科トウヒ属の常緑針葉樹。軽軟で弾力性があり、肌目は緻密で加工性に優れ仕上げも良好に決まります。
マツ科特有の脂もほとんど無く無味無臭の良材としてあらゆる木材の製品に使用されております。
おそらく皆様のご自宅にも1枚はあるのではないでしょうか、まな板!なんと「スプルース」使用されております!
と、余談はおいといて楽器店で見るMartinギターのトップ材「スプルース」ですがおおまかに4種類の物があります。
【シトカ・スプルース】
1946年以来、メインで使用されているのがこちら!
カリフォルニアからアラスカにかけての北米の北西部に育つスプルースです。
実は割材として多くはアジアに輸出されております。色はピンクがかった明るい茶色です!
【イングルマン・スプルース】
1980年代以降のカスタムモデルで使用されているスプルース。
ロッキー山脈エリアで育つスプルースとなります。シトカより軽量で色はごくわずかに赤みがかった白色。
耐性の強い材質ではありませんが、音質は超良好!1068年頃からの再生産のD-45や発売当時のD-41などに採用されておりました!
【アディロンダック・スプルース】
1946年まで使用。その後50~60年代にもまれに使用されておりました。
90年代以降は特殊な限定モデルで使用されております。ゴールデン・エラなどハイエンドモデルでの使用が有名です。
別名レッド・スプルースとも呼ばれ、ニューヨーク州のアディロンダックからメイン州にかけて育つスプルースです。
シトカとイングルマンの中間の性質。木目は広く。トラ目は少なめ。とにかく入手が困難で取り引き価格がべらぼうに高いのです!
【ジャーマン・スプルース】
再生産のD-45の中で1968年から1970年代初頭までのものに採用されているスプルース。
その名の通りヨーロッパ原産です。ヨーロッパ系のスプルースの特徴として時間が経っても赤くならないと言う性質があります。
ヴィンテージ市場、特にD-45ファンにはお馴染みのスプルースです。
それぞれの年代やモデルを代表するトップ材のスプルース。
Martinユーザーの方も、これからユーザーになられる方も、ぜひスプルースの種類にも着目してみてください!
どれでなければダメということはありませんが、ちょっとお時間がある時にぜひ☆
写真は弊社在庫の2013年製「D-45 Commemorative」!
トップ材は【アディロンダック・スプルース】でございます!!
「Gibson アジャスタブル・サドル」
ヴィンテージギターの中でも人気の高い60年代のGIBSON J-45。
そのほとんどは「アジャスタブル・サドル」を搭載しております。
そもそもこの「アジャスタブル・サドル」は1956年よりオプションとして用意されるようになったパーツです。
Martinのフラット・トップギターにはないユニークな機構でブリッジ/ボディトップ/ブリッジ・プレートを貫通するスロットにセラミック、またはローズ・ウッドのサドルを搭載するものでありました。
ギ
ター本体に2本のスクリュー/アンカーを用いて吊り下げてあります。
サドル下には補強用として金属板が挟まれている使用もございました。
60~70年代にかけては日本のメーカーも導入していきましたので、当時の国産ヴィンテージギターをお持ちの方はGIBSONユーザーではなくとも「アジャスタブル・サドル」に馴染み深い方も大勢いらっしゃることかと思います。
弦高調整が簡易にできることは意外にも嬉しい結果。
サウンド面ではコードプレイ時のまとまりの良さ、サウンド全体の歯切れの良さと言ったもともとGIBSON J-45が得意としている音居特性に強調するかの様です。ある種GIBSON J-45への搭載は必然だったのかもしれませんね。
50~60年代のヴィンテージGIBSON J-45をご検討の方はもちろん、現行品でもカスタムショップ製などのもので「アジャスタブル・サドル」搭載モデルがございます。
ぜひとも「アジャスタブル・サドル」のサウンドも比較検討の際の項目に追加してみてください!
「Gibson アジャスタブルサドルの素材をチェック」
1956年から1969年のJ-45に用いられていた【アジャスタブル・ブリッジ】。
当初サドルの材質は【セラミック】でしたが1965年頃からは【ローズ・ウッド】も採用されています!
ではこのサドルを比較してみましょう!
材の真筆という意味ではトップクラスといえるのが【セラミック】!
【牛骨】や【ローズ・ウッド】の様な当たりハズレがなく、フラットでいつも安定したサウンドを手に入れることができます!
対して独特な中低域を得られてサウンドもやわらかになるのが【ローズ・ウッド】!
若干アタックが弱くなりますが、ナチュラルで太いサウンドを得られます!
前述した通り当たりハズレがあり、交換時のサウンドのギャップなどは欠点ですね。
写真左が【セラミック】!写真右が【ローズ・ウッド】でございます!
ブリッジ部分は共通ですので、サドルだけ交換してサウンドの変化を楽しむのも贅沢な遊びですね☆
「Gibson ラウンド・ショルダー」
ラウンド・ショルダーまたはジャンボとも呼ばれる、ギターのボディシェイプのことです。
リーガル、ナショナルといったメーカーが開発したジャンボ・ボディシェイプを取り入れたものとなります。
Martin社では14フレット・ジョイントへと移行する際にボディ・シェイプを変化させてのに対して、Gibson社ではラウンド・ショルダー形状を維持しながらブリッジ位置を移動させて対応しました。
こうして生き残ったラウンド・ショルダーのシェイプが1969年頃までGibson社ギターのスタンダードなボディシェイプとした多用されていきました!
ヴィンテージ、近現代のギターともにこのJ-45を代表するボディシェイプのギターが「Gibson ラウンド・ショルダー」と呼ばれております!
「Gibson スクエア・ショルダー」
前日のラウンド・ショルダーに対して本日は「Gibson スクエア・ショルダー」をご紹介させていただきます!
フラット・トップ市場におけるMartin社の人気に後押しされる形でGibsonでも採用されたドレッドノート・シェイプが「スクエア・ショルダー」です!
ラウンド・ショルダーに対してサウンド・ホール横のギターの肩部分が角ばった形状になっております。
写真は「スクエア・ショルダー」の代名詞ともいえる「Hummingbird」です! |
もちろんこのタイプのギターにもGibsonの特徴的なサウンド・キャラクターは受け継がれています!
70年代にはほとんどのフラット・トップの生産機種が「スクエア・ショルダー」でしたが、近現代はGibsonの中では「ラウンド・ショルダー」の人気が高くリイシューモデルを中心とした一部のモデルでのみ「スクエア・ショルダー」を手にすることができます。
「Gibson スーパージャンボ」
ラウンド・ショルダー、スクエア・ショルダーに対して本日は「Gibson スーパージャンボ」をご紹介させていただきます!
丸っぽいダルマ型のボディ形状が特徴となるスーパージャンボ。
Gibson社のアーチトップの主軸機種L-5から流用されたデザインでございます。
同じ流れを汲むメイプル材の採用は、Gibson社のサウンド・カラーを端的に表す力強さのあるサウンドをも継承しております。
独自に開発されたこのシェイプはGibson社のイメージを決定付け、後に「フラット・トップの王様」とまで言わしめる様になっていきます。
写真は弊社店頭にございます豪華絢爛!そして激鳴り!至極の1本の1970s SJ-250 Specialです!
「GIBSON トップベリー」
GIBSONのヴィンテージギターをお探しの方、特にJ-45をお探しの方はブリッジの形状の違いに戸惑うことありますよね?
今回は50年代の1本に注目!
こちらは「トップベリー」と呼ばれるブリッジです!
ブリッジからヘッド方向、トップ側に山があるデザインからそう呼ばれます。
ちなみに1949年頃からの製品に搭載された「トップベリー」は1959年からブリッジ上のサドルがショート・サドルになり、両端のパールドットの間に収まる形となりました。
ロング・サドルに比べて音質的にもショート・サドルはソフトなテイスト!
アジャスタブル・サドル > ロング・サドル > ショート・サドルの順番で硬質なサウンドからソフトな音質に変化していきます!
ギター探しの際のチェック項目にぜひ追加してみてくださいませ☆
「Gibson レア仕様のブリッジ」
Gibsonのブリッジは通常木製、ローズ・ウッドでできていますが、1962年から1964年頃のJ-45にはアジャスタブル・ブリッジが【プラスティック】製のアッパーベリーのものが存在します!
写真は1964年製!セラミック製のサドルが搭載されております! |
パッと見ては気がつかないかもしれませんが、黒塗りで杢目も無いため、目の前でじっと見つめると違いが分かります!
「Gibson J-45のサウンドホール・リングの変化 その1」
Gibson J-45のサウンドホールの周りには【サウンドホール・リング】と呼ばれる装飾があります!
発売当初の1942年から1945年までは通称【ワン・リング】と呼ばれる装飾です!
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埋込み式で素材はセルロイド。白/黒/白/黒/白/黒/白の7層のデザインとなっております。
遠目からみるとこの7層のまとまって厚手の一つのリングに見えることから【ワン・リング】なんです!
「Gibson J-45のサウンドホール・リングの変化 その2」
Gibson J-45のサウンドホールの周りには【サウンドホール・リング】と呼ばれる装飾があります!
1945年後期から1963年初頭までは白/黒/白の【ワン・リング】が装備されます!
写真は1956年製のJ-45!【ワン・リング】が確認できます! |
1942年から1945年前期までと同様に埋込み式で素材はセルロイドです!
同じ【ワン・リング】でもパッと見の質感もけっこー変わってきます!
「Gibson J-45のサウンドホール・リングの変化 その3」
Gibson J-45のサウンドホールの周りには【サウンドホール・リング】と呼ばれる装飾があります!
1963年初頭から1969年までは内側に7層、やや感覚を空けて外側に3層のリングで飾られる様になります!
通称【ツー・リング】です!
1942年から1945年前期までと同様に埋込み式で素材はセルロイドです!
写真は1964年製のJ-45!【ツー・リング】が確認できます! |
ちなみにこの【ツー・リング】、DOVEやHummingbirdと言った上位モデルには元から使用されておりました!
アコースティック・ギター全般の仕様の共通化を測っての採用だったのかもしれませんね☆
「Gibson 60年代のピックガード」
Gibsonラウンドショルダーのギターのヴィンテージを見ていくと色々な時代の変化を見つける事ができます!
今回はピックガードに注目!
1955年~1964年は【薄いラージ・タイプのピックガード】ですが、64年からは厚さが変わり【厚いラージ・タイプのピックガード】に変更されるのです!
写真右が1964年まで採用された【薄いラージ・タイプのピックガード】、左は【厚いラージ・タイプのピックガード】!
ちょっとしたことですが外観の印象も変わってきます!
ヴィンテージギターを見る時のお楽しみの一つに加えてみてください!
「GIBSON ピックガードの呼称」
Gibsonのピックガードの遍歴をちょっとご紹介!
1954年頃までのJ-45に用いられたのが涙型のピックガード、通称【ティアドロップ】です!
ちなみにごく初期型のJ-45にはストライプの柄模様が入ったセルロイド材が用いられていました!
これも【ティアドロップ】なんですが、別に【ファイア・ストライプ・ピックガード】とも呼ばれます!
1955年頃からのJ-45には【ティアドロップ】よりも大型の【ラージ・ピックガード】が登場します!
先日の小話でも取り上げました、厚さが変わるやつですね☆
写真左から【ティアドロップ】、【ファイア・ストライプ・ピックガード】、【ラージ・ピックガード】となります!
皆さんはどれがお好みでしょうか!?私は【ラージ・ピックガード】にグッときます!
「Gibson ヘッドロゴ」
Gibson J-45は伝統的に【シルクスクリーン・ロゴ】が採用されています。
塗装の上から転写してロゴを貼り付けているわけです!
対してSouthern Jumboなどでは【マザー・オブ・パール】のインレイでヘッド・ロゴが作られています!
どっちが良いって話ではないのですが、ギターをピカピカのしたいからと【シルクスクリーン・ロゴ】をゴシゴシと磨きまくると・・・剥がれてしまいます!これは要注意ですね!!
写真左がJ-45のヘッド、【シルクスクリーン・ロゴ】!
写真右はSouthern Jumboのヘッド、【マザー・オブ・パール】のインレイです!
「Gibson J-45バナー・ロゴ」
【Gibson ヘッドロゴ】からさらに【Gibson J-45バナー・ロゴ】の小話をひとつ。
J-45では発売当初から右上がりのロゴが入れられていますが、1946年までの個体には【ONLY A GIBSON IS GOOD ENOUGH】と帯状に書き込まれた通称【バナー・ロゴ】が採用されています!
これはLGを含めた低価格帯のモデルにだけ採用されているのです!
そうです!昨日小話で取り上げた【シルクスクリーン・ロゴ】のギターにだけ採用されたのです!
これは想像ですが、きっと手間をかけないで装飾を豪華にしようとしたのではないでしょうか?
それとも同じく【バナー・ロゴ】を使用していたEpiphoneへの何かしらの思いがあったのかもしれませんね、実に面白い!
「Gibson J-45 ポスト・ウォー・ロゴ」
ヘッド表面に入れられるGibsonのブランド・ロゴの中でも1947年ごろから採用された、筆記体で斜めのものを通称【ポスト・ウォー・ロゴ】を呼びます!
戦後の時期の生産品のため【ポスト・ウォー】なんですね。
このロゴのJ-45を見つけたら、お値打ち物でございます!!
「Gibson クラウン・インレイ」
Gibson社のアコースティックギターを見るとヘッドに鎮座する王冠模様の装飾を見かけると思います。
これが通称「クラウン・インレイ」です!
マザー・オブ・パールを用いて作られた、まさにGibson社を代表するヘッド・インレイです。
SJ-200やSouthen Jumbo、Country Western、J-160E、Hummingbird、DoveなどGibson社のラインナップの中でもハイエンド・モデルと位置づけされる機種に用いられていることが多い装飾です!
写真は弊社在庫の1956年製J-185の「クラウン・インレイ」です! |
「クラウン・インレイ」があるから音が良い!と、言うわけではありませんが、ちょっと偉くなった気分になれる不思議な装飾です☆
「Gibson 指板インレイあれこれ」
Gibsonギターの指板を彩るインレイ!
ポジション・マークとしての機能だけではなく、外観を決める重要な装飾でもあります!
そこでこんな2つをご紹介!
まずは【トラペゾイド・インレイ】!
お皿を横から見た様なデザインのため、【ディッシュ・インレイ】とも呼ばれます!
Southern JumboやJ-160Eでの使用が有名です!
そして次は【ダブル・パラレログラム・インレイ】!
平行四辺形が2つ並んだデザインのインレイです!
同じくSouthern JumboやCountry Westernでの使用が有名です!
写真上が【トラペゾイド・インレイ】!
写真下側が【ダブル・パラレログラム・インレイ】です!
皆様はどちらがお好みでしょうか!?
「Gibson J-45ブレーシングの変化」
アコースティックギターの音色を決める【トップ・ブレーシング】。
定番機種Gibson J-45にももちろんトップ・ブレーシングがございます。
Martinドレッドノートを模倣したXパターンを基本とし、一貫してメイプル材にて製作されてきました。
実はこのJ-45の【トップ・ブレーシング】には年式ごとに違いがあるんです!
大まかに3パターンがありますので違いを見てみましょう!
【発売当初】
メイン・ブレースは経が高く、幅が狭いタイプが用いられております。
スキャロップ加工も施されております。
【50年代以降】
メイン・ブレースは同じく背が高く幅も狭いものですが、スキャロップ加工の幅が狭くなっています。
過渡期のためか、部分的にスキャロップ加工がほどこされていないものも存在します。
【60年代中期以降】
メイン・ブレーシングは以前よりも背が低くなり、幅も広く変更されています。
スキャロップ加工は無しとなります。
ブリッジ・プレートは60年代末にかけてより幅が広く厚手のものへと変化していきます。
こうしてそれぞれの年代ごとの特徴を備える【トップ・ブレーシング】は、同じJ-45でも生産時期ごとに異なった形を形成しております。
これはGibson社が時代の流行に対応して、常にトーンキャラクターに試行錯誤を繰り返していた証ではないでしょうか!?
写真は60年代後期のJ-45のトップ・ブレーシングを撮影してみました!
皆様もヴィンテージJ-45のトップ・ブレーシングをぜひ一度チェックしてみてください☆
「GIBSON ヘッド角度について」
1965年以前のGibson社のヘッドストックには、フィンガーボード面に対して【約17度】の角度が付けられていました。
木材での製品であることも原因とは思われますが、個体によって角度にややばらつきも存在しております。
お店でも再三測ってみましたが、かなり角度に差があります!
ま、だいたいなんですかねw
写真は1963年製、ヘッド角【17度】期のGibson J-45です! |
本来はナット部分での音の漏れを防ぐために付けられたヘッド角ですが、同時にヘッド・クラックという事故要因も多発してしまいます!
Gibsonギターを倒した時にヘッドがポッキリ折れてしまうのは、この角度が影響しているんですね。
上記理由に加えて生産性の向上も含め、1965年にはほぼ全てのギターでヘッド角を【14度】に変更しております!
「Gibson ペグ・ブッシュの仕上げ」
スゴイ地味なパーツのご紹介!
アコースティックギターではほとんどのギターの仕様として、ヘッドに弦を通す穴の空いたポストが貫通し、ポストに弦を巻き付けて弦を張り様になっています。そのポストにつながっているペグをぐるぐると回してチューニングを行うわけです。
このポストが通っている場所には木材を傷めないように【ブッシュ】とよばれる金属パーツが付いております。
この【ブッシュ】、当社は【ニッケル・メッキ】が施されておりましたが、1965年前半より【クローム・メッキ】に変更されております!
【クローム・メッキ】は【ニッケル・メッキ】よりもくすみにくく、外観の輝きも青白くなっておりますのでピッカピカに見えやすいのです!
想像するにおそらく新品のギターをよりキレイに魅せるためにこのメッキ材の変更をしたのではないでしょうか!?
いや、もしかしたら生産工程での経費の問題かもしれませんが・・・
写真右は1963年製のJ-45、【ニッケル・メッキ】!ちょっと落ち着いた色味です!
写真左は1969年製のJ-45、【クローム・メッキ】です!どーですか、ピッカピカじゃないですか!?
ヴィンテージ・ギターなのでピッカピカなのはちょっと・・・そんな意見も聞こえてきそうですが、ギターの年式やパーツの交換情報をしる上でも豆知識として使えますね☆
「Gibson ファクトリー・オーダー・ナンバー」
1940年代から1960年代初頭のGibsonアコースティックギターには【ファクトリー・オーダー・ナンバー】と呼ばれる製造ロッド番号がスタンプされています。
場所はサウンド・ホール内、ネック・ブロック部分です。
その中でも1952年~1961年ごろまでの【ファクトリー・オーダー・ナンバー】は頭文字にアルファベットが付き、1952年の【Z】を始めとして1年ごとに【Y】、【X】と遡っていくことから【リバース・アルファベット・システム】と呼ばれています!
アルファベットを頭として3~4桁の数字が入り、スペースを開けてさらに1~2桁の数字が入る仕様です。
写真はJ-160Eのネック・ブロック。
ピックアップの下に確認できるのが【ファクトリー・オーダー・ナンバー】!
【Y】から始まる数字列のため、1951年製であることが確認できます!
「Gibson ヘッドのシリアル・ナンバー刻印」
1961年からGibsonの全てのギターに【シリアル・ナンバー】が記される様になり、ヘッド裏の上部に刻印され管理されていきます!
しかし当時の10000番以降の【シリアル・ナンバー】は非常に複雑、そしてややズサンw
同一の番号が複数の年度に使用されている例も確認できたり、【シリアル・ナンバー】から推測される製造年では仕様に違いがあるなど整合性のとれないケースが多々存在します。
特に1961~1969年の期間は【シリアル・ナンバー】を絶対視せずに各部の仕様をそれぞれチェックした上で製造年を確定させる必要があります!
ちなみに1970年~1975年にかけても上記期間の【シリアル・ナンバー】が再登場してしまいます!・・・ズサンすぎw
1970年前期以降は【シリアル・ナンバー】の下に【MADE IN U.S.A】の刻印も入りますので、その有無も目安にしてみてください☆
写真左は1960年製のJ-50、刻印がありません!
そして写真右は1963年製のJ-45、刻印ありです!
「Gibson J-45 ピックガードのロゴマーク」
1968年から1969年製のJ-45の一部にはピックガード上方に【Gibsonのロゴマーク】が印刷されております!
これは同時期のGibsonのシンボル・マークです!
この印刷、ものすごい剥げやすいのです!そのため、経年変化で焼失しているものがほとんど。
オリジナルの個体でシンボル・マークも残っているギターを手にしたなら相当にラッキー!ぜひ探してみてください!
写真は近年ものの復刻J-45!
【Gibsonのロゴマーク】入ってます!!
「Gibson レア仕様のペグ」
Gibsonのペグは通常クルーソンかグローバーとイメージされるかと思いますが、1960年代後半の短期間のみ【GOTOガット】社製のペグが採用されているのです!!
な、なんか変な感じ!
このペグが付いてるギターを見つけたら、ちょっとレアなヴィンテージですよ☆
「Gibson ネック・グリップ幅の変化」
今では当たり前のアジャスタブル・トラスロッド、実はこれGibsonの発明です!
1923年に特許も認可されています!
トラスロッドが無かった時代、ネックの反りを簡易に修正することができなかったため、弦の張力に負けないように太さのあるネックでギターを製作していました。
しかし!アジャスタブル・トラスロッドの登場でそれまでよりも細身のネックでギターが作れるようになるのです!
時代の流行もありますが、1940年代と1960年代ではネックの太さもかなり差があります!
ナットの裏側、ネック外周を計測してみると以下の様に変化しているのが確認出来ます!
【Gibson ネック・グリップ幅】
1940年代 72~78mm
1950年代 69~70mm
1960年代前半 64~69mm
1960年代後半 60~66mm
1960年代後半は【ナローネック】の登場で格段に【ネック・グリップ】も細くなります!
写真上が1940年代のネック、下が1960年代後半のネックです!
見て分かるほどに太さが違います!
「Gibson 60年代のナット幅変化」
Gibsonのギターは1960年代にナット幅に大きな変化が生まれます。
1965年ごろからナット幅が極端にせまくなるのです!通称【ナローネック】と呼ばれます!
1940年代は約42~46mm、1950年代から1960年代中頃までは約42~43mmの数値だったものが【ナローネック】時期に入ると約39~40mmと極端な変化を遂げます!
その後およそ1969年まで【ナローネック】のギターが市場に出回ることになります!
人間とはすごいものでわずか数ミリの差を手は感じ取ります!
どちらが良いと言うわけではありませんので、ヴィンテージGibsonmをご検討の際はぜひとも両方のギターを確認してみてください!
写真上が1960年代初期のネック、下が【ナローネック】です!
下のギターの方がナット幅が狭く、ネックが細身です!
「Gibson J-45のフレット数」
アコースティックギターを弾く人であれば誰もが一度は欲しくなるGibson J-45!
エレキギターと違ってハイポジションでの演奏は少なく、そのフレット数を数えることなどほとんどないとは思いますが、その数は20!
しかし!実はJ-45は当初19フレット仕様だったのです!
これが20フレット仕様になったのが1955年中期なんです!
写真は1951年のJ-45!
最終1つマークのポジションが15フレットなので・・・ほら19フレットしかございません!
「Gibson 1970年代スクエア・ショルダーの時代」
1969年末、Gibsonのフラット・トップは大きな変貌を遂げます。
1960年に発売されたHummingbirdは始めてスクエア・ショルダーを採用したフラット・トップとして登場します。
1962年には上位モデルとしてDOVEが登場。
それぞれハチドリとハトのデザインのピックガードなど外観のファッション性もあり大ヒット!
好調なセールスもあって、スクエア・ショルダー仕様路線へ加速します。
1962年の暮れにはSouthern JumboとCountry Westernもスクエア・ショルダーに変更。
ピックガードもHummingbirdの様な3ポイント・タイプを搭載しました。
そして1969年には最後の牙城J-45、J-50もスクエア・ショルダーへと仕様変更され、ラウンド・ショルダーの歴史は一度幕を閉じることとなります。
スクエア・ショルダー、ティアドロップ型のブラック・ピックガード、ノーマルのベリーブリッジなど1970年代のJ-45とJ-50はMartin ドレッドノートを彷彿させるデザインへと変貌を遂げていきます。
ピックガードはすぐにラージポイント・タイプに戻されましたが、スクエア・ショルダーはその後も継続され、なんとラウンド・ショルダーの復活は1984年まで待たされることとなります。
スクエア・ショルダーの外観がを一概に良い悪いとするのは早計ですが、ブレーシングの仕様も災いしたのかそのサウンドが中々受け入れられず、この時代のJ-45の人気は低迷してしまいます。
実際、1983年にはJ-45とJ-50の生産は一時停止していた様子ですし、再度ラウンド・ショルダーに仕様変更後の1985年以降はGibson社は再び往年の輝きを取り戻し始めます。
写真は1970年代のJ-45。
歴史を語るスクエア・ショルダーの1本です。