中古サックスが店頭に並ぶまで

<第一回> 〜分解編〜

大久保管楽器は、管楽器の聖地・新大久保に店舗を構えて35年。
都内最大級の中古楽器専門店として、古今東西、数えきれないほどの中古楽器を扱ってきました。

当店では、フルート、クラリネット、サックス、金管楽器とそれぞれの楽器ごとに専門の技術者が修理を担うことで、店内すべての楽器のクオリティーを高めるよう努めてきました。

一昔前は、中古楽器は寿命が短いのではないか、前の人のクセがついているから難しい、などどいう声もありましたが、近年では、”きちんと整備された状態の中古楽器”というものを知っていただけるようになり、物価高の影響も相まって、楽器を選ぶ選択肢として中古楽器の需要が高まっています。

でも、中古楽器はなんとなく不安…という方もまだまだいるかも知れません。

そこで今回は、
実際に当店に入荷したサックスがどうようにして店頭に並ぶのかを、順を追ってお見せしたいと思います!

ではさっそく、題材にする楽器はこちら↓

<Selmer paris A.SAX SERIE2>

サックス吹きなら一度は憧れるセルマー。その中でも、言わずと知れたロングセラーモデルです。
この個体は、シリアル395×××、1986年製造。現在まで続くSERIE2の初期型ですね。
かなり使い込んできた様子なので、手がかかりそうな予感ですが…。

手始めに、全分解していきます。

組み上がった状態から始めるので、言うなれば”逆”ディアゴ⚪︎ティー二状態ですね。

まずは、キイを外しやすくするために、かかっているバネを外します。

A hand cleaning or adjusting a saxophone on a workbench.

オープン・クローズキイどちらもこのバネの力でキイを動かしています。
針バネは、キイポストに開けられた穴に固定されていて、直径が太いほどキイを動かす力が強くなります。

「針バネ」の取り付け前の状態↓

ただし、パームキイ(とモデルによりLowC#キイ)は、キイそのものの裏側に板状のバネをネジ止めしています。
この力でキイが閉じた状態を保っているというわけです。

バネには2種類あるというのをお分かりいただけましたでしょうか。

どんどん分解していきます。

次に、この無数のキイがどのように取り付けられているか。2つのパターンがあります。

一つ目は、「ケンネジ」による固定方法

ポストにネジ止めしているケンネジが、両端からキイを挟んで固定しています。

もう一つは「芯金」による固定方法
ポストには芯金が通る穴が開いていて、パイプ状になったキイの中を通し、芯金自体は終点のポストにねじ止めで固定します。

ポストには芯金が通る穴が開いていて、キイパイプの中を通します。終点のポストにはネジが切られており、芯金自体を固定します。

この楽器一本に使われている芯金はこちら。
右手・左手のように複数のキイを通す芯金は長く、パームやtC・tAキイ等はキイごとに芯金が割り当てられているので短めです。

この調子で全てのキイを分解しました!

あとは、キイガードやサムフックを外し、さらに管体を分解するためにベル支柱・胴輪を外していくのですが、、

おっと!接着がされておらず、ベル支柱を外した途端にスポッと外れてしまいました。
Selmerはゴムパッキンがあるからか、接着剤が付いていないことがほとんどですね。もっと後の年代になると、ビニールテープが巻かれている時期もあります。

と、いうことで、これでやっとすべての分解が完了しました!

このあと、消耗品を取ったあとで洗浄をして、サビも落として、新しい消耗品を付けて組み立てていく流れになるわけですが、
果たしてどんな仕上がりになるのでしょうか!

作業内容が多岐に渡りますので、複数回に分けて連載していきます。
(普段は目にできない楽器の細部や専門知識も大放出!メカニック好きの方はとくにブックマーク推奨です)

次回もお楽しみに!

この記事を書いた人:菊池 (大久保管楽器 金管楽器リペア担当)中学校の部活動で吹奏楽部を選んでから、それ一筋でここまで来ました。

略歴:
ESPエンターテインメント東京 楽器技術科 管楽器リペアコース卒業

保有資格・実績:
これまで2000本を超える金管楽器を整備しております。

▶︎執筆記事
安心して楽器と長く付き合うために〜トランペット編

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