緊急事態! ローズウッド 規制の裏側に迫る 第三弾 - TC楽器 - TCGAKKI
ハカランダに代わるべく現れた”ニュー・ハカランダ”(Vol.2参照)
と呼ばれる高級ローズウッド達も今や希少材。
そんな中続いて現れた”ポスト・ハカランダ”材達。
同じくすでに希少材となっているものが多いですが、
様々なメーカーで様々希少ローズウッド種が使用されています。
音響特性の良いものが多く、
中にはハカランダと肩を並べて取引をされているものも…!
今回はその一部をご紹介!

樹種名に”ローズウッド”とは入っていませんが、ハカランダを初めとするローズウッド種と同じDalbergia属に属する正真正銘のローズウッドです。
“中南米ローズウッド”と呼称される木材の1つに数えられ、MartinやTaylorなどの大手メーカーから、ハイエンドな個人工房まで幅広く使用されています。
他のローズウッドと比較しても赤みが強く、ハカランダに引けを取らないほどのエキゾチックな杢目は非常に美しく、
ハカランダに比べ硬く、油分が多く重心の低い艶やかでジューシーなサウンドは他のローズウッド種と比較しても非常に上質な感触のサウンド。
絶滅の危機にさらされており既に希少材として高値で取引されています。

Martin D-45

Martinの最高峰D-45。
近年様々な復刻版やカスタムモデル、リミテッドモデルが発売されています。
高級ランクには近年、マダガスカルローズの他、ココボロを使用したモデルも作られています。


こちらは2012年製、D-45 CTM-D Style42 Cocobolo。

D-42スタイルの本機はトップに高級材イタリアンアルパインスプルース採用。
真っ直ぐに透き通った杢目が美しく、明るい赤みのある部分と黒く濃い部分の濃淡がハッキリとしています。
ずっしりと硬質なサウンドはパワー十分で極上と言えます。
材が希少なこともあり、レギュラーでは生産されていないカスタムモデルです。

Taylor

Martin,Gibsonに並んで現在、海外産アコースティックギターで人気があるのがこのTaylorです。
伝統的なスタイルでは無くプリアンプ搭載モデルやカッタウェイ、ボルトオンジョイントなど、現代の音楽に適応できるようにモダンな要素が盛り込まれたギターが特徴。
コンピュータ制御の工法を取り入れるなどの革新も起こしつつも、木材の拘りにも定評があり、様々なモデルが展開、人気を博しています。

こちらは2002年製、714ce LTD。

国内でも1番の人気を誇る小さめのボディにカッタウェイのGAシェイプ。
Taylorでは定期的に限定生産でリミテッドモデルを発売しており、希少材であるココボロも高級モデルに度々採用。

仕込み精度の高いTaylorの弾きやすくレスポンスの良い感触に非常にマッチし、明るく良い反応を持ちながら、しっとりとウェッティな質感も上質に感じ取れます。

“メキシカン・キングウッド”とも言われるカマティロ。一般的に有名なキングウッド(Brazilian Kingwood)のメキシコ産のものが指されると見られ、情報の少ない木材です。こちらもココボロと同じく正真正銘のローズウッド種(Dalbergia属)で、鮮やかな紫色の杢目が特徴。
ココボロに似たエキゾチックな杢目が特徴で、他の種と比べても非常に美しいです。
比重が高く硬質で乾いた質感。ガランとしておりハリのあるサウンドが特徴です。

Yokoyama Guitars

元MorrsのクラフトマンでMorris Sシリーズの開発をしたことでも知られる、横山正氏が長野にて工房を構え1人で製作をしています。
フィンガーピッカーを初めとした技巧派のプレイヤーに多く支持され、そのレベルの高い木工技術で作られるギターは1本1本個性があり、
温もりが感じられます。他のメーカーがあまり使わないような希少材を用いた幅広いスペックのギター達が特徴です。

こちらはYokoyama Guitarsの人気モデルの1つ、SJFシリーズからSJF-WC。

スモールジャンボにフローレンタインカッタウェイという組み合わせに、贅沢に使用されたカマティロ材が美しい1本。
縦横無尽にエキゾチックな杢目が流れる3ピースバック。
サップの入り方もクールです。
現在Yokoyama Guitarsの他にカマティロ材を採用しているアコースティックブランドはほぼ無く、他のメーカーには実現不可能な唯一無二のギターサウンドとなっています。

こちらも同じYokoyama Guitarsから、一番人気のモデルARシリーズのAR-GCのバック。

2ピースバックながらむしろ”ほぼ”サップで出来上がっている非常に珍しい木取り。燃えるような杢目と真っ白なサップの見栄えは非常に個性的です。

横山氏の工房では希少材ゆえ材が入手困難になることもあり、定期的にカマティロモデルの製造・オーダーをストップしており、材が確保できると限定的に生産。近年では3ピース~5ピースのバック材も多く、材の入手困難さが伺えます。

標準和名は”シタン”と呼ばれるローズウッド。
学名であるDalbergia cochinchinensis自体はタイやベトナムにも分布しています。
別名:タイ・ローズウッド、ベトナム・ローズウッド、サイアミーズ・ローズウッド、パイオン、など、原産国などによっても呼称が変わってきます。ここではカンボジア原産のカンボジアン・ローズウッドについて記載します。

Water Road Guitars

ビルダーの増田 明夫氏が製作する知る人ぞ知るハイエンドギターブランドWater Road Guitars。
“Water Road”とは直訳で”水の道”を意味し、増田氏の本業が水道工事業であることから由来しているとのこと。

オリジナルのデザインやインレイなどの他、薄めのネックを実用的にすべくカーボンを補強に取り入れるなど様々な拘りの見られるギターを製作しています。

こちらはWater Road Guitarsのスモールジャンボタイプ、Libero Arte。

モデルによって様々な希少材を採用している当工房ですが、こちらは非常に貴重なカンボジアン・ローズウッドを採用。
アコースティックギターで採用しているメーカーは少なく、
この材のサウンドを体感できる貴重な1本です。
インディアンローズウッドに似つつも、独特の赤みとうねりが特徴の杢目が美しく、ブックマッチ部にはサップも見られます。
手工品らしい仕込みにより、ウッディでレンジが広く、底なしに音の密度が濃く、明瞭かつ大音量で鳴る個体。
カンボジアン・ローズウッドのポテンシャルが垣間見えます。

あとがき

今回はマダガスカルローズやホンローズなどの
ニューハカランダの陰で活躍している希少なローズウッド種をご紹介しました!
もはやニューハカランダは
代替材ではなく、それぞれに価値があり、重宝されています!
楽器には非常に向いているにも関わらず、
取れる本数が少なかったり採用しているメーカーが少なかったりと、
希少すぎて情報を集めるのも大変です。。。
そして、ポスト・ハカランダ達の襲来はまだまだ続く。。。

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