連歌や茶の湯と並び、武将や僧侶・貴族に嗜まれた一節切(ひとよぎり)
[概要]
一節切(ひとよぎり)古管。江戸時代の製作品と思われます。煤竹籐巻き。竹管は拭き漆塗りが施されています。金線は陶器の技法ではお馴染みの金継の一種。製作段階でひびが入った部分の漆の埋め痕に蒔絵と同じ技法で金を蒔いています。唄口の保護蓋付き。笛筒入り。
[状態]
唄口裏、三の指孔上に表面のひびが見受けられますが、貫通していませんので演奏に支障ありません。一節切に造詣の深い尺八師範の方に試奏確認依頼。通常演奏出来ることを確認済みです。
[特徴]
籐巻きが施されていることから江戸期に入ってからの製作品と思われます。(江戸以前は巻きのないシンプルな姿が大半のようです。)竹管裏に祐の焼印が見受けられますが作者については不詳です。節の張りの良い竹管に銘の蒔絵文字が映える姿の良い一管です。
※一節切(ひとよぎり)…一尺一寸一部(約33.6センチ)、指孔は表四、裏一。鎌倉時代より連歌や茶の湯と並び、当時の文人や武将に嗜まれました。一休さんこと、一休宗純和尚もこの縦笛に熱心だった様子が『狂雲集』などから読み取ることが出来きます。当時は一節切とは呼ばずこれを尺八と呼んだようです。調子は黄鐘 (A管)です。