琴古流尺八の名手・歴代最高峰の製管師、三世荒木古童作、三印の九寸管
[概要]
三世荒木古童作、一尺九寸管(C♯)。長さ約59センチ。歌口水牛。継ぎセル巻き。中塗り・本漆朱塗り。歌口内径:横21、縦21、外径幅39ミリ。内袋、共桐箱付属。(歌口カバー欠損)販売時の古童自筆の領収書、18金チギリ仕入れ先伝票在中。昭和丁卯=昭和2年(1927)の製作品。
[状態]
歌口際左右にひび割れ。18金チギリ留めによる修理歴(古童本人による修理)。継ぎ緩みあり。現状お渡しです。
[特長]
尺八史上最高の名人と称された三世古童は製管師としても卓越した才能の持ち主でしたが、演奏や古典本曲の研究に力を注いだため、製管数が少なく、現存する尺八はわずかです。この九寸管は製作まもなく割れが生じたようで、当時上野にあった時計・貴金属の名店、鈴木時計店から仕入れた18K金チギリ金具にて、割れ修理を行っています。管の内側に割れが到達しないよう、表面の割れ隙間は閉じずにチギリで留められています。実際に修理から100年近く経過していますが、割れは歌口際の極薄部分の10ミリ程度の部位以外は、管内にヒビは到達しておらず、修理時と変わらない状態を保っています。この修理技法だけでも、三世古童の竹の状態を見極める凄みが感じられます。澄み切った音色は格別です。